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paco Home>授業関連>演習科目一覧(九州大学)>frontier>[九大]低年次演習2期(06年度)

第13回 強度偽装マンションの建て替え

《杉安報告》
〈もくじ〉
1.耐震強度偽装マンションの建替え方法
2.偽装マンションに対する補助金
3.補助金と偽装建築の責任
〈議論〉
論点は,
①補助金について(建替え費用の国・自治体の負担について)
②自治体の不正な公金支出について(住民訴訟など)
③最高裁判例(平成17年6月24日)について(自治体の責任)
などであった。
〈感想〉
 今日でこのゼミの活動も最後となりました(ゼミ合宿に参加する人はまだありますが)。今までかなり難しい内容を毎回勉強してきましたが,この授業を通して法律学の深さや複雑さだけは分かった自信があります(笑)
 さて,今日の内容に関してですが,「建物の区分所有等に関する法律」の中で,マンション住民の5分の4が建替えに賛成すれば,残りの5分の1が反対しようとも,マンションは壊される…と規定してあることに驚きました。実際建替えには1戸あたり2000万円程度かかるそうです。安全が保証できないマンションの建替えに反対するということは,そのような家庭は経済的に厳しいのだと思います。このような立場(経済的に弱い立場にある上,裕福な賛成派は「これはマンション全体の問題であってお宅の家計の問題ではない!!」となじるかもしれません)の人たちを救う方法はないのかと思いました。でもあまり助けすぎると,「賛成はしたが,実際は家計は苦しく,苦渋の選択だった」という人に対して不公平になるのかもしれません。難しい問題です。。
 長くなりましたが,このゼミで学んだことを,これから法学部で学ぶにあたって生かしていけたらと思います。いや,これだけやったのだから生かせるはずだと思っています。原田先生お世話になりました!(松尾将大)

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13回にわたるゼミが終了しました。意欲的な参加者に恵まれ,質疑が毎回活発に行われたことは,大変よかったと思います。今回のゼミの中では大学4年間で勉強する法律学の科目のうち,かなりの部分についてその「さわり」を取り上げることができました。こうした経験は,この先の学習の中で大きく役立つと思います。法律学の勉強は始まったばかりです。あせらず,しかし着実に進んでいってくれることを期待しています(原田大樹)。

第12回 確認検査機関の問題

《森報告》
〈もくじ〉
1.確認検査の仕組み
2.指定確認検査機関と行政の関係
3.これからの確認検査制度について
《三村報告》
1.指定確認検査機関への立ち入り検査について
2.確認を民間に任せた経緯
3.民間検査機関の現状とこれから

〈議論〉
今回の論点は,
①確認を民間に任せるにあたって,民間検査機関は,そんなには多くならないだろうという,国土交通省の考えは甘すぎるという意見
②処分は,民間検査機関にしか下っておらず,行政内部では処分がされていないことについて
③行政は民間検査機関の数について,予想と反した事態が起きたのに,対策を打とうとしなかった問題
でした。
〈感想〉
今回の報告で,民間の指定確認検査機関の問題は行政の問題認識の甘さが大きく関係していると思いました。(杉安紅美)

第11回 建築士の問題

《梅本報告》
〈もくじ〉
1.建築士の仕事
2.名義貸しの実態
3.名義貸しを防ぎ,安全な家を建てるために
《梶谷報告》
〈もくじ〉
1.建築士法の問題点
2.建設業法と建築士法
3.建築士とは?

〈議論〉
主な論点は,
①建設業法と建築士制度について
②厳罰化について(免許剥奪などの制裁は?)
③建築士の仕事について(広範囲なので専門化した方が良いか)
④名義貸しについて(目的と防止)
であった。

〈感想〉
名義貸しについて興味が湧きました。建築士-無資格者間での名義貸しは理解できる(無資格者が物件を建てたいときに建築士にお金を支払って検査を免れる)けれど,建築士-建築士間の名義貸しは,明らかに責任の擦り付けなのに,なぜ今まで黙認されてきたのか,誰もおかしいと主張しなかったのか,もしくはできなかったのか訳があるようです。あと,今厳罰化についてゼミで話し合っているときに,政府でも厳罰化などのこれからの建築士制度の指針を話し合っているということで,耐震偽装問題はタイムリーでやりがいがあって良い話題だと思いました。(松尾将大)

第10回 ホテル休業と国家賠償

《中島報告》
〈もくじ〉
1. センターワンホテル半田事件の概要
2. 損害賠償について
《松尾報告》
〈もくじ〉
1. 姉歯元建築士によるホテルの耐震強度偽装
2. 国家賠償について
3. 今回の事件で国家賠償は請求できるのか?
〈議論〉
①センターワンホテルは損害賠償を請求できるのか?具体的にはいくらくらいになるのだろうか?
②賠償を請求できる相手は複数可であるか?
などの意見がでました。
〈感想〉
今回の報告は内容がかなり難しく,理解が大変でした。そのため,みんな報告者への質問を多くしていました(杉安紅美)。

第9回 ホテル休業と損害賠償

《中川報告》
〈もくじ〉
1.耐震偽装による全国のホテルの被害
2.耐震偽装に対する損害賠償
《佐藤報告》
〈もくじ〉
1.賠償提訴についての新聞記事
2.センターワンホテルに関するこれまでの流れ

〈議論〉
主な論点は,
①2通りの賠償の方法について(契約責任を根拠にする場合と,不法行為責任を根拠にする場合)
②破産について
③破産制度の是非について
であった。

〈感想〉
色々と新しいことを習いました。破産制度なんかは,知っているようで意外と知らないことも多く,善良な人を救済する良い制度である反面,この制度を巧みに利用する人もでてくるのでは…という意見には,なるほどと思いました。また,破産一つにしても,住民側へきちんとお金が回るか回らないかのかなり重大なものであることも分かり,そのような視点から見ると,住民側とヒューザーのやりとりの意味が実感できた気がしました。(松尾将大)

第8回 刑事法から見る姉歯事件

《川畑報告》
〈もくじ〉
1.耐震偽装問題の展開(警察の方針の経緯)
2.問題とされた罪と立件された罪の相違
《前木場報告》
刑事法から見た姉歯元建築士事件
〈議論〉今回の論点は,
①刑が軽すぎる問題…建築士法と量刑の決め方の見直しをするべきだ。
②マスコミの報道について…マスコミの報道が過度であり,今回の事件の混乱を引き起こしているという意見と,逆に,マスコミのおかげで,問題が浮き彫りとなり,見なおすことができたという,両方の意見がでた。
〈感想〉
量刑の決め方のところで,日本とアメリカの決め方の違いの話になり,私が長年不思議に思っていた,日米の懲役の長さの違いの理由が分かりました。耐震偽装問題の議論を通して,法学の重要な部分を学んでいるのだと実感しました。(杉安紅美)

第7回 強度偽装の背景

《椎葉報告》
『強度偽装の背景』
〈もくじ〉
1,姉歯元建築士事件以前の欠陥住宅問題(1998~2004)
2,住宅品質確保促進法について
3,建築士協会やNPO等による改善のための取り組み
〈議論〉
まず,1の項目に関して,秋田県木造住宅訴訟が紹介された。秋田県と民間が共同で出資・設立した第三セクター「秋田県木造住宅株式会社」などにより,千葉県で多数の欠陥住宅が建築・販売されたという事件である。それから,おおよそ次の2点について議論した。
①住宅品質確保促進法(住宅新法)の問題点
住宅性能表示の先進例としてフランスのキャリテル制度というものがあり,住宅新法はそれを見習って制定された。しかし,両者とも任意制度ではあるが前者は3割の普及率があるのに対し,後者は2004年の普及率がわずか2%であった。そこでこの法律が普及するにはどのような対策が必要か話し合った。
②建築士協会やNPO等による改善のための取り組みに対する意見
奈良県で自然の素材を活かした家作りをする過程で,仕事分担をはっきりさせて責任の所在を明確化しようと努めている”7本の木”や,千葉県で着工から完成までを設計士の監視の元で行っている”首都圏民住宅事業支援協会”などの取り組みに対して長所や短所を話し合った。 
〈感想〉
議論の①について,様々な意見が出たが,住宅新法の普及は先生のおっしゃるとおり法律でしかできないのかなぁと思いました。現状では,この制度は知名度が低く,コストが高く,消費者の信頼をまだ得られていないからです。それに売り手側も,自分達が不利益を被る可能性のある制度を自ら消費者に進めることはないだろうし。ところで,この授業で住宅新法を知った日の夜に某ドラマでこの法律の内容が触れられていたときは「あ!これか」と思わず嬉しかったです(笑) (松尾将大)

第6回 姉歯元建築士事件の構造

《坂口報告》
〈もくじ〉
1.事件関係者の法的関係の概要
2.立件された罪と実際に犯したと思われる罪の違い(先日の8名逮捕について)
3.偽装建築問題のこれからの展望
〈議論〉
坂口君のレジュメで,今回の耐震偽装問題の構造を確認し,関係者の逮捕について議論した。論点は,
①実際の罪での立件ではなく,別件で逮捕された問題…詐欺罪の方が重く,検察は,本当は詐欺罪を使いたい。しかし,刑法の原則からそれは困難である。このような罪を裁くことのできる法律をこれから作っていくべきである。
②名義貸しの罪の方が,耐震強度偽装の罪より重い問題…耐震強度偽装では罰金50万にしかならず,日本の刑罰は軽すぎるのではないか。
であった。
〈感想〉
前回以上に,事件についての深い内容について話し合えたと思いました。また,みんな,レジュメや,先生の補足説明によって,事件の構造について掴めてきたようです。(杉安紅美)

第5回 姉歯元建築士事件の展開

《文岡報告》
『姉歯元建築士事件の展開』
〈もくじ〉
1,姉歯元建築士事件の展開
2,耐震偽装防止について
〈議論〉
文岡君のレジュメで事件の展開を確認してから,なぜ今回の事件は起こったのか,どうすればこのような事件を防げるのかについて話し合った。論点は
①建築業界の構造上の欠陥(注文主,元請,下請[姉歯建築士]の上下関係を三角関係にすることで,建築士への上からの圧力を改善できるのではないか)
②建築士国家試験に関する問題(人間性を見抜けるような試験を実施,定期的に資格を更新,ドイツのマイスター制度を参考…など)
③チェック機能について(国家機関による建築確認を強化する,住人が自費で民間へ安全確認を依頼する…など)
であった。
〈感想〉
今回からゼミらしい活動を開始しました。最初に事件の展開を確認できたので全体の流れが見えて良かったです。レジュメの中で分からない用語を質問したり,具体的な改善方法に関する意見を述べたりと,みんな積極的に手を上げて発表していてとても良い雰囲気でした。ただ,始めてということで,話し合いが行き詰まったときには先生が指針を示してくださったので,次回以降だんだん自分達で議論を進めていけるようになれればと思います。(松尾将大)

第4回 法律学の勉強方法②講義

「履修する科目を決める」「予習する」「講義を聴く」「復習する」「試験を受ける」の5つに分け,それぞれで必要な技術やヒントについて扱いました。時間の制約上十分にというわけにはいきませんでしたが,10分の講義を聴いてノートを取る練習や,試験問題の解き方の実習も試みました。

第3回 法律学の勉強方法①演習

はじめに,建築物の耐震偽装問題に関する新聞・雑誌記事を元にしたレポートの概要を発表してもらいました。事件の関係者が逮捕された直後だったため,逮捕関連記事に集中するのではないかと心配していましたが,結果としては適度に分散していました。その後,判決文の読み方や脚註の付け方の実習をし,文系合同図書館の見学を行いました。

第2回 法学入門

レジュメを利用し,法律学の基本的考え方,法律学の全体像を説明してから,法律に関する基礎的な知識の説明をしました。六法の使い方に慣れてくると,法律を勉強している実感が湧いてくると思います。

第1回 法律学への招待

はじめに自己紹介をしてもらいました。引き続き,高校と大学での勉強の違い,法学部のイメージについて各自考えてもらった上で,大学で法律学を学ぶことの意味について考えました。

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