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第4回 処分性

今回の報告では,「処分性」をテーマに,「病院開設中止勧告事件」についての報告が行われました。今回の事例では,「勧告」が,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められている行為である「処分」にあたるかどうかが問題になりました。議論では,今回の勧告に対して,事件後に施行された行手法36条2項に基づいて中止を求めることができるかといった質問が上がりました。

大脇先生からは,今回の事例では,処分性を肯定したことに伴い違法性の承継等の問題が発生していることを説明していただきました。また,今回の事例の背景として,病院の開設が限定されている現状に疑問を抱いた徳洲会の徳田虎雄氏が,わざと国の方針に逆らうことで発生した事件であるということを補足していただきました。

今回の報告は,重要な論点を丁寧に説明している良い報告だったともいます。次回以降の報告にも期待したいです。(井上)

第3回 バイパス理論

今回の報告では,「バイパス理論」をテーマに,「農業共済掛金強制徴収事件」についての報告が行われました。今回の事例では,行政上の強制徴収の手段がとれるにもかかわらず,あえて民事訴訟法上の強制執行を採ることができるかどうかということが問題になりました。議論では,行政上の強制徴収の手段が認められていない場合にどうなるのかという質問が上がりました。

大脇先生からは,バイパス理論について,裁判所が国民の税金による有限のリソースであることから,行政上の強制執行という特別の方法があるにもかかわらず裁判所に頼ることは,本来裁判所を利用する人の迷惑になるため許されないと解説していただきました。また,発展的な内容として距離保障の解説もしていただきました。

今回の判例報告は私が担当しましたが,調査が不十分なためバイパス理論の説明や場合分けに改善の余地がある判例報告になってしまいました。今回の発表を反省し,次回に活かそうと思います。(井上)

第2回 行政指導の限界

今回の報告では,「行政指導の限界」をテーマに,「品川建築確認留保事件」についての判例報告が行われました。今回の事例では,行政指導が継続していることを理由として,建築主事が建築確認申請に対して行うべき処分を留保することが国賠法1条1項の適用上違法となるかが問題になりました。議論では,確認処分の留保が例外的に認められる社会通念上正義の観念に反するものが具体的に何なのかという質問があがり,産業廃棄物処理場の例を挙げて回答していただきました。

大脇先生からは,本判決が,行手法32条などの条文に書かれていない内容を充足する,後の判決の基準となった重要判例であることを説明していただきました。

今回は,主観説や客観説などの学説をわかりやすくまとめた良い報告だったと思います。次回は私が報告するので,明瞭かつ詳細な報告ができるように頑張ります。(井上)

第1回 信義則

昨年度に引き続き,広報委員を務めます井上です。今年度もよろしくお願いします。
今年度最初の報告は「信義則」をテーマに「青色申告事件」が取り上げられました。
報告では,法律による行政の原理と信義則や,信義則適用の要件,判決の射程を中心に報告が行われました。
大脇先生からは,本判決が,信義則は民法に由来するため公法の枠組みにはなじみにくいが,適用されること自体はあると示したということについて説明いただきました。
初回の発表だったため,フォントなどの形式面でのミスがやや目立ちましたが,内容は綺麗にまとまった良い判例報告だったと思います。次回以降の発表にも期待したいです。(井上)

第24回 ゼミ論文報告会

前回はゼミ論文の提出について数分間の質疑応答があり,今回は今年度最後のゼミが行われました。内容としては,ゼミ論文の内容についての報告が行われ,主にゼミ論文の要約とできたこと,できなかったことについて報告しました。寒波の影響で天候が悪かったため,残念ながら教室ではなくZOOMを利用したオンラインでのゼミとなりましたが,目立った不具合もなく全員が発表することができました。大脇先生からは,全員のゼミ論の総括として出典をインターネットに頼りすぎず,きちんと文献にあたっていることが評価されました。

今年度は,前期に2人1組で判例報告を行い,後期はゼミ論文の執筆を行いました。特に判例報告では,4年生の先輩方と組むことで知識,経験ともに未熟な私たち3年生も助けてもらい,勉強になりました。また,発表ではゼミ生や安河内さん,大脇先生に形式面・内容面での指摘を受けることで書く力がとても向上したと思います。いまだに新型コロナウイルスは流行していますが,ゼミのほとんどを対面で行うことができてとてもよかったと思います。

今年度のゼミを開講してくださった大脇先生,ありがとうございました。(井上)

第23回 ゼミ論文経過報告

今回は希望者のみ4巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。

「鬼怒川水害訴訟における検討(西田)」,「住民投票についての考察(井上)」

今回の報告は2名のみでしたが,最後の詰めの部分について内容の濃い議論が行われました。形式面はかなり細かい部分も多いですが,3年生も報告を重ねるにつれて形式面のミスは少なくなっているように感じます。

そしてゼミ論の提出がいよいよ2週間後に迫ってきました。特に4年生は,このゼミ論文が大学4年間の集大成となるので,最後まで粘り強く取り組んでほしいと思います。(中村)

第22回 ゼミ論文経過報告

今回も3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。

「意見公募手続の現状と課題(財満)」「住民投票についての考察(井上)」「難民認定手続が抱える困難性(多田)」

今回で3巡目の進捗報告は終わり,残りの進捗報告は数名によって行われる4巡目報告のみになりました。ほとんどの人が完成に近づいていますが,私はなかなか進んでいないためこの長期休暇を活用し,残された4巡目報告までに一生懸命進めようと思います。(井上)

第21回 ゼミ論文経過報告

今回も3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「原子力防災とその限界(中村)」,「処分性の拡大と公法上の当事者訴訟との境界(宮守)」,「上下分離方式における行政の役割(久山)」,「原告適格に関する近年の判例動向(下村)」

2回目報告よりも内容が充実している人が多く,その分,密度の濃い議論ができたのではないかと思います。私も報告者の一人でしたが,さらに完成度を高めるためのアドバイスをたくさんいただくことができました。
また,今週からゼミ見学が始まり,2年生を中心に多くの人が見学に来てくれました。私もゼミ見学をきっかけに大脇ゼミへの参加を決めた経験があるので,2年生にはこの機会を十分に活用してほしいです。このゼミ見学をきっかけに,来年度,多くの学生が大脇ゼミへ参加してほしいなと思います。(中村)

第20回 ゼミ論文経過報告

今回も3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。

「校則裁判における司法的救済(小澤)」,「若者の自殺とその予防(中平)」

今回の発表では,1人が発表できなかったため2人での進捗発表となりました。データの破損のような不具合によって発表できなくなることは,誰にでも起こりうるため,データのバックアップはこまめにとろうと思いました。
次回はオープンゼミです。見学者がたくさん来ることが予想できますが,緊張せずいつも通りのゼミの風景を見せることができたらいいなと思います。(井上)

第19回 ゼミ論文経過報告

今回から早くも3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。

「御嶽山訴訟から考える火山災害と規制権限不行使責任(藤田)」,「住民救済の面から見た水害判決(西田)」

今回の報告者は二人とも自然災害の訴訟をテーマにしていたため,火山災害判決と水害判決の共通点や相違点を考えながら報告を聞いていました。まだ11月ですが,二人とも完成が見えてきており,順調に進んでいる様子が伺えました。議論でも,形式面,内容面問わず,質問が相次いだので,これからさらに良いゼミ論になるのではないかと思います。いよいよ3巡目報告が始まったので,私もラストスパートをかけていきたいと思います。(中村)

第18回 ゼミ論文経過報告

今回も2巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。

「上下分離方式における行政の役割(久山)」,「意見公募手続の現状と課題(財満)」,「校則と教育裁量(小澤)」,「原告適格に関する近年の判例動向(下村)」

3年生は,4年生と比べると特に形式面でのミスが目立っているように感じました。私も前回多くの問題点を指摘されたので,内容面に関する議論の時間を削らないように,形式面でのミスはできるだけ少なくするよう心がけようと思います。(井上)

第17回 ゼミ論文経過報告

今回も2巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「住民救済の面から見た水害判決(西田)」,「住民投票についての考察(井上)」,「難民認定手続とその司法的審査(多田)」

まだ書くべき内容を迷っている人もいますが,1巡目の報告と比べて構成が固めってきた人が多いように思います。まだ迷っている人も,この迷いこそが論文をブラッシュアップするいい機会だと思うので,引き続き頑張ってほしいです。(中村)

第16回 ゼミ論文経過報告

今回からは2周目の個人報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。

「若者の自殺とその予防(中平)」「御嶽山訴訟から考える火山災害と規制権限不行使責任(藤田)」「原子力防災とその法的限界(中村)」「処分性の拡大と当事者訴訟(宮守)」

今回の報告では,1周目の報告を経て論点が整理され,前回の質疑応答を踏まえた新たな論点への記述も多く見られました。研究内容への理解が深く,章立てや方向性などの構成がしっかりしている人もいたため,引けを取らないように頑張ります。(井上)

第15回 ゼミ論文構想報告

今回も先週に引き続き1巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。


「難民認定手続とその司法的審査(多田)」,「意見公募手続の現状と課題(財満)」,「校則と教育裁量(小澤)」,「原告適格に関する近年の判例動向(下村)」,「住民投票についての考察(井上)」,「上下分離方式における行政の役割(久山)」,「住民救済の面から見た水害判決(西田)」


1巡目ではあるものの,テーマや論文の方向性が明確な人が多かったように思います。ゼミでは,章立てについてのアドバイスや拾うべき論点についてのアドバイスが数多く出ました。それらのアドバイスを参考にして,年度末には良いゼミ論集が発行できればと思います。(中村)

第14回 ゼミ論文構想報告

今回は,ゼミ論文の進捗報告がなされました。今回の報告者とテーマは以下の通りです。

「若者の自殺とその予防(中平)」,「原子力防災制度についての法的検討(中村)」,「御岳山訴訟から考える火山災害と規制権限不行使責任(藤田)」,「処分性の拡大と公法上の当事者責任(宮森)」

興味深いテーマを扱うゼミ論文が多く,章立ての構想が参考になりました。次回は,私達3年生もゼミ論文の進捗を発表するので,今回の報告を踏まえて一生懸命準備したいと思います。(井上)

第13回 国家賠償責任の主体

今回は「国家賠償責任の主体」をテーマに,「積善会児童養護施設事件」が取り上げられました。報告では国賠法1条1項に関する多くの判例を踏まえながら,本判決を的確に分析していました。議論では,国賠法と民法との関係についての質問が相次ぎました。大脇先生からは,民間委託に関する判決が少ないという点や本判決における「行政活動への組み込み」という判断基準について解説していただきました。ただ,大脇先生も本判決を消化不良の判決と言われた通り,私もどこかハッキリしない印象を持ちました。

今回で前期のゼミは終了しました。昨年も判例報告を行いましたが,今年は昨年よりも判例をより深く理解できたように思います。昨年1年間を通して行政法を学べたことで,行政法の本質を多少はつかめるようになったからかもしれません。そして後期からは,各自がゼミ論文を執筆します。良いゼミ論が書けるように,夏休みにしっかりと構想を練りたいと思います。(中村)

第12回 規制権限不行使

今回は「規制権限不行使」をテーマに,「関西水俣病訴訟」が取り上げられました。報告では,規制権限不行使そのものや裁判所の立場,本判決の判断基準について説明されました。特に裁判所の立場については,最高裁が裁量権収縮論を採りながら,裁量権消極的濫用論の要件も加えたものであることについて詳しく説明されました。
大脇先生からは,アバウトな裁量権消極的濫用論に厳格な裁量権収縮論の要件を反映させることで,あいまいな判示を避けつつ,判断を縛られるのを避けたということを解説していただきました。

ZOOMを用いたオンラインのゼミでしたが,目立ったトラブルもなく,スムーズに報告・議論が進んだと感じます。次回は前期最後のゼミですが,これまでの発表のような質の高いものを期待しています。(井上)

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