ここでは動詞の定形の位置について学ぶ。
ドイツ語の肯定文の語順は次のようになる。
Ich heiße Taro. (私は太郎と申します。)最初の文は英語とほぼ同じ構造である。しかし2番目の文は英語では文法的に言うとありえない。ドイツ語の文は動詞が2番目のポジションにくるのが基本で,その他の文成分は基本的にはどこにきてもよい。この動詞の位置を「定形第2位」と言うことがある。
このルールは英語に慣れた方にとっては面食らうものであるかもしれない。しかし考えてみればドイツ語のこのルールは日本語と似ているのではないだろうか。日本語でも「動詞を最後に」というルール以外,文成分の並べ方に拘束はないのである。このような文肢配置の自由さはラテン語に似ている。ラテン語ではさらに,動詞についてもどこにおいてもよいのである。
否定文でも語順は同じで,英語のnotにあたるnicht もしくは,英語 のnoにあたるkein(keine) を用いて否定の意味を表す。
Ich habekein Geld. (= I have no money.)no とほぼ同じと考えてよい。
Ich sah dich nicht. (= I didn't meet you.)nichtは文章全体を否定するときは文末に,ある単語を否定するときはその単語の前におく。
この2つの使い分けは英語における no と not の使い分けとほぼ同じと説明されることもある。それよりも「不定冠詞の否定はkein を使い,ほかの場合はnichtを使う」と考えた方がいい。
Ich habe keine Uhr. (= I have no time.)
Ich suche nicht das Buch. (= I don't search the book.)
文否定のnichtは文末(文末がふさがれているときはその前),部分否定のnichtは否定する言葉の前におく。
決定疑問文とは,英語で言えば yes/noで答えられる疑問文である。ドイツ 語では ja/nein(doch)で答える。
英語の場合,動詞がbe動詞のときと,その他の動詞(一般動詞)のときでは形が異なる。しかしドイツ語の場合はbe動詞にあたるseinでもそれ以外の動詞でも形は同じである。英語より分かりやすい。
否定疑問文は答え方に注意が必要である。日本語で「〜しないのですか」と尋ねられたらふつう「はい,〜していません」「いいえ,〜しています」と答える。しかし英語やドイツ語では,質問された内容そのものについて「肯定(事実である)」するか「否定(事実ではない)」するかで答える(相手の言ったことに対して肯定ないし否定するわけではない) 。そのとき,内容(ここでは「〜」にあたる)を否定したければneinを使い,内容を肯定したい場合はdochをつかう。dochは(〜してないの,という疑問に対し )「そんなことないよ」という感じである。
補足疑問文とは,yes/noでは答えられない,何か補足をして答えなければならない疑問文のことである。
Was studieren Sie?(= What do you major in?)英語では「疑問詞のある疑問文」として紹介されるのがこの補足疑問文である。ドイツ語の疑問詞の代表はつぎの6つである。
was(= what) wer(=who) wo(= where) wie(=how) warum(=why) wann(=when) |
また,疑問詞werは格変化によって次のように変化する。
wer | 1格 | だれが | who |
wessen | 2格 | だれの | whose |
wem | 3格 | だれに | whom |
wen | 4格 | だれを | whom |
最終更新日: 2005年4月1日
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