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Lektion6 Prüfung (試験!?)

6-1 3・4格支配の前置詞

夏休みも終わりに近づいた頃,智紀くんは宏和くんに会います。

Lektion6-1 本文

Tomonori: Hallo, Hirokazu! Wohin gehst du denn?

Hirokazu: Ich gehe in die Bibliothek. Dort will ich für die Prüfung studieren.

Tomonori: Ach! Ich vergesse über den Sommerferien ganz die Prüfung.

Hirokazu: Wir wollen darin gehen!

智紀:やあ,宏和。どこへ行っているの?

宏和:図書館に行くんだ。試験勉強をしないとね。

智紀:ああっ!夏休みぼけで試験のことをすっかり忘れていた!

宏和:いっしょに図書館に行こう!

Lektion6-1 単語・表現
単語・表現 品詞 意味
denn いったい・さあ[強調]
die Bibliothek 図書館(library
dort あそこで(there
will 助動 wollen1人称単数現在形]
die Prüfung 試験(examination
vergesse 忘れる[vergessen1人称単数現在形](forget
ganz まったくの・かなり・相当に[強調]

ポイント

@前置詞

前置詞についてはLektion3などでふれましたが,ここでは具体的な使われ方を確認しましょう。

Ich gehe in die Bibliothek.

という宏和のせりふがあります。inは3・4格支配の前置詞ですから,その意味はあとに何格がくるかで決まります。ここでは女性名詞die Bibliothekの4格がきているので「方向」を示す(〜へ)ことがわかります。

一方6-2の宏和のせりふは,

Du bist auch in der Bibliothek.

となっています。これは3格がきていますので「場所」を示す(〜に)ことがわかります。

Ada+前置詞

宏和の最後のせりふは

Wir wollen darin gehen!

となっています。この文章はもともとはWir wollen in die Bibliothek gehen!でした。しかしdie Bibliothekは前に出てきているので代名詞sieを使って,反復を避ける意味で

× Wir wollen in sie gehen!

としたいところです。しかしドイツ語では前置詞+物をさす代名詞という形は用いられず,この場合にはda+前置詞(ただし前置詞が母音で始まるときは口調上の問題からdar+前置詞としてrを挟む)を用います。

B前置詞と補足疑問文

前置詞の目的語が答えの中心となる補足疑問文は作り方がこれまでと少し違います。これについては細かい話になるので詳細は文法解説「da+前置詞など」を参照して下さい。ただしこの課ででてくる疑問文の形式は上のものとはちがいます。(woとwohinの使い分け)

さらに勉強したい人は次の項目をチェックしてください。

6-2 接続法第2式

2人が図書館に着くとそこには由美子さんがいました。

Lektion6-2 本文

Hirokazu: Tschüß, Yumiko! Du bist auch in der Bibliothek, nicht wahr?

Yumiko: Ja, ich bin für drei Uhr hier gewesen. Übrigens, kannst du das bürgerliche Recht verstehen?

Hirokazu: Nein, nein. Ich kann das nicht verstehen.

Yumiko: Wenn du das ein bisschen verstehen könnte, könntest du mir helfen.

Hirokazu: Ich habe das mir beinahe gedacht. Was ist das doch schwierig!

宏和:やあ,由美子!やはり図書館にきていたね。

由美子:うん。ここに3時間ぐらいいるの。ところで民法は理解できた?

宏和:いやいや,あれは理解できないよ。

由美子:もしあなたが少し理解できていたら,あなたに助けてもらおうと思っていたのに。

宏和:ほとんど考えてもいなかったよ。何と難しいことだ!

Lektion6-2 単語・表現
単語・表現 品詞 意味
übrigens ところで(by the way
bürgerlich 公民の・民の・市民の・文民の
Recht 法・権利
verstehen 聞き取れる・理解できる
helfen (+3格)助ける(help
beinahe ほとんど・あやうく(almostnearly
denken 考える(think
schwierig 難しい・困難な(difficult

ポイント

@付加疑問

「〜ですね」など軽く念を押す言い方は「付加疑問」とよばれ,英語でもありました。ドイツ語でもあるのですが,英語よりも簡単です。英語では主文の主語と動詞にあわせて「,do I?」とか「,aren't you?」などいろいろな形を付けていましたが,ドイツ語では一つしかないのです。それが「,nicht wahr?」です。

A接続法第2式

英語では非現実話法として「仮定法」がありました。ドイツ語では「接続法」がこれにあたります。

Lektion6-2 接続法2式
不定形 過去形 接続法2式
sein war ich wäre
haben hatte ich hätte
werden wurde ich würde
können konnte ich könnte
sollen sollte ich sollte
wollen wollte ich wollte
müssen mußte ich müßte
dürfen durfte ich dürfte
mögen mochte ich möchte

英語の仮定法過去・仮定法過去完了にあたるのがドイツ語の接続法第2式,英語の仮定法現在及び間接話法にあたるのがドイツ語の接続法第1式です。接続法第1式は会話のレベルではあまり使われなくなっています(新聞・論文などの書き言葉では今でも頻繁に使われています)。初級段階では接続法第2式を理解すれば十分です。

接続法第2式は過去形の語尾変化をベースにした形となります。初級段階ではこの表にある動詞・助動詞を覚えておけば十分です。人称変化は過去形と同じです。




Lektion6-2 動詞の接続法第2式人称変化表
代名詞 代名詞の意味 sein haben
ich wäre hätte
du wärest hättest
er/sie/es 彼・彼女・それ wäre hätte
wir 私たち wären hätten
ihr 君たち wäret hättet
sie/Sie 彼ら・彼女ら・それら/あなた・あなた方 wären hätten

それでは、表現法を見てみましょう。

非現実話法

「もし〜だったら…であろう。」(現在の仮定)や、「もし〜だったら…だったであろう。」(過去の仮定)を表します。

Wenn+接続法 , 接続法第2式
würde+不定形

という形になります。「würde+不定形」を使った表現が口語では一般的ですのでとりあえずこちらを覚えましょう。

例えば「もしお金と時間があれば、私はドイツに行くのになあ…。」は

Wenn ich Zeit und Geld hätte, führe ich nach Deutschland.

または

Wenn ich Zeit und Geld hätte,würde ich nach Deutschland fahren.

となります。würdeは英語のwouldと似ています。これを使うといちいちそれぞれの動詞の接続法2式の形を覚えなくていいわけです。ちなみに上の文のコンマ以前を“前提部”、コンマ以降を“結論部”といいます。接続法は前提部のみ、あるいは結論部のみで用いられることがあります。

前提部のみ Wenn Sie hier wären.(あなたがここにいてくれたらなあ…。)
結論部のみ Dann könnte ich Deutsch noch besser sprechen.(そうすれば、もっと上手にドイツ語を話せるのに…。)

非現実話法が初級では接続法のすべてといってもいいので,しっかり理解しましょう。

願望

Ich hätte gern einen Wein.(私はワインが欲しい。)

Ich hätte nach Frankfurt fahren.(私はフランクフルトに行きたい。)

このIch hätte gern〜という言い方は,丁寧に「〜したい」と表現するのによく使われるので熟語として知っておきましょう。

丁寧

相手に何かを頼むときによく使います。

Könnten Sie mir etwas zu trinken?(何か飲み物を取っていただけますか?)

Könnten Sie mir sagen, wo Herr Michell ist?(ミヒェル先生がどこにいらっしゃるか教えていただけますか?)

Hättest du Lust ins Kino zu gehen?(映画に行く気はありますか?/映画に行きませんか?)

Ich habe keine Lust nach Bonn zu fahren.(私はボンに行く気がありません。)

Hättest(普通の文ではHast)du Lust〜は、「〜する気はありますか?」という意味を持つ熟語的表現です。覚えておくととても便利です。

B感嘆文

文の種類の1つで賛嘆や感激を表します。英語でもありますが,ドイツ語では文法的に「この形だけ」というものはなく,ただ感嘆符(!)をつければ終わり?という部分もあります。

Wie schön! (なんとすばらしいことだ)(=How beautiful!)

さらに勉強したい人は次の項目をチェックしてください。

6-3 形容詞の格変化・比較級と最高級

法律と工学のどちらが難しいのか,論争(?)がはじまりました。

Lektion6-3 本文

Tomonori: Technik ist ein schwierige Fach.

Hirokazu: Jura ist am schwierigsten! Wissen Sie, dass das bürgerliche Gesetzbuch geschrieben in altes Japanisch wird?

Tomonori: Nein, ich weiss nicht. Aber Technik ist so schwierig wie Jura. Wir müssen schwere Mathematik studieren.

Yumiko: Schrecklich! Mathematik ist eine der schwierigsten Facher für mich!

智紀:工学は難しい分野だ。

宏和:法学が一番難しい!民法が文語体の日本語で書かれているって知ってる?*

智紀:いや,知らない。でも工学も法学と同じくらい難しい。難しい数学を勉強しないといけないから。

由美子:おそろしい!私にとって数学は最も難しい分野のひとつだわ。

*2005年の民法改正によって全面的に民法の口語化が実現したため,現在では文語体の条文はなくなっています。

Lektion6-3 単語・表現
単語・表現 品詞 意味
Technik 工学・技術
schreiben 書く・つづる
Mathematik 数学(math
schrecklich おそろしい・身の毛もよだつ(terrible
das Fach 教科・専門分野(field

ポイント

@形容詞

形容詞には次の3つの用法があります。

●述語として
Die Blume ist schön.(その花は美しい。)
●名詞を修飾
Da ist die junge Frau.(あそこに若い女性がいます。)
●副詞として
Der Lehrer unterrichtet sehr fleißig.(その先生は、とても熱心に教えます。)

ドイツ語では副詞としても形容詞を使えるので便利です。しかし便利なのはここまでで,「名詞を修飾」する用法,英語で言うと限定用法は語尾変化を起こすのです。これがドイツ語初級の最難関といってもよいぐらいです。

A形容詞の格変化

形容詞が名詞を修飾するときは、その性・数・格に応じて語尾変化します。これから、男性名詞の「若い男」,女性名詞の「親切な女」,中性名詞の「赤い車」,複数名詞の「善良な人々」を例に、変化のパターンを見ていきましょう。

Lektion6-3 形容詞・弱変化

男性 女性 中性 複数
1格 der junge Mann die nette Frau das rote Auto die guten Leute
2格 des jungen Manns der netten Frau des roten Autos der guten Leute
3格 dem jungen Mann der netten Frau dem roten Auto den guten Leuten
4格 den jungen Mann die nette Frau das rote Auto die guten Leute

Lektion6-3 形容詞・強変化

男性 女性 中性 複数
1格 junger Mann nette Frau rotes Auto gute Leute
2格 jungen Manns netter Frau roten Autos guter Leute
3格 jungem Mann netter Frau rotem Auto guten Leuten
4格 jungen Mann nette Frau rotes Auto gute Leute

Lektion6-3 形容詞・混合変化

男性 女性 中性
1格 ein junger Mann eine nette Frau ein rotes Auto
2格 eines jungen Manns einer netten Frau eines roten Autos
3格 einem jungen Mann einer netten Frau einem roten Auto
4格 einen jungen Mann eine nette Frau ein rotes Auto

einには当然ながら複数はありえないので、複数形は冠詞がつきません。よって、強変化と同じパターンで語尾変化します。また、不定冠詞類には複数形があります。

Lektion6-3 複数形
1格 meine guten Kinder
2格 meiner guten Kinder
3格 meinen guten Kindern
4格 meine guten Kinder

これらは、弱変化と同形になります。頭が割れる危機に瀕したあなたのために,とっておきの薬があります。それは文法解説「形容詞」に載っています。

B形容詞の名詞化

形容詞は,その頭文字を大文字にして名詞扱いすることができます。これを形容詞の名詞化といいます。この場合の格変化は,前述の弱変化と同じです。

der alte Mann → der Alte (老いた男)

これだけで、右と同様に「老いた男」という意味を表せるのです。その他,

die Nette(親切な女),die Armen(その貧しい人々)

男性・女性・複数形の名詞化形容詞は「人」を表します。一方,中性名詞化形容詞は「…なもの,…なこと」などの「事物」を表します。

das Neue(新しいもの)

英語のthe rich(=rich people)と同じようなものですね。詳しくは文法解説「形容詞」を参照して下さい。

C形容詞の比較級と最高級

比較級は原級に-erを、最高級は原級に-stをつければよいのです(-estではありません!)。どんなに長い形容詞でもこのやり方です。英語のように何音節以上はmoreなどという面倒な決まりはありません。

また、以下に示すような例外もあります。

[ウムラオト型]1音節の形容詞で比較級・最高級に変化するとき、a,o,uがウムラウトに変音するタイプです。このタイプはかなり多いです。

[+e型]原級が -t, -d, および -ß,-ss,ch, -zで終わるものは、最高級で、「原級+-est」という形をとります。

[-e型]原級が -el, -erで終わるものは、比較級でその語尾の -eを省略します。

[不規則変化]不規則に変化するものもあります。


比較級を使う上でのポイントは「〜よりも」にあたるals(英語ではthan)です。

My room is smaller than yours.

をドイツ語にすると,

Meine Wohnung ist kleiner als deine.

となります。形は同じですからわかりやすいと思います。問題は形容詞が名詞を修飾している場合の比較級です。この場合は比較級の語尾+格変化語尾となるので頭が痛いです。

I look for a bigger room than ours.

をドイツ語にすると,

Ich suche eine grüßere Wohnung als unsere.

となります。grüßereの語尾eに注目して下さい。


最高級では「am−sten」という表現が英語の「the−est of/in〜」にあたります。

He studies German hardest of us all.

という英語はドイツ語では,

Er studiert Deutsch am fleißigsten von uns allen.

となります。また比較級と同様,形容詞の限定用法のときは格語尾がつくことを忘れないで下さい。

この他,熟語的な表現として次のようなものがあります。

まず同等比較(Aと同じくらいB)です。英語のas〜asにあたる表現です。ドイツ語ではso〜wieが使われます。英語と同じく〜には「原級」が入ります。

Japanese is as difficult as German.

をドイツ語にすると,

Japanisch ist so schwierig wie Deutsch.

となります。

次に「最も〜なもののうちのひとつ」は次のような表現を使います。

München ist eine der schönsten Städte in Europa.

(ミュンヘンはヨーロッパで最も美しい都市の一つである。)

英語のone of the -est 複数形にあたる表現です。構造はほぼ英語のままですが,慣れないと使うのは難しいです。ちなみにderは2格複数を表す定冠詞です。

D受身の文

受け身は英語ではbe動詞+過去分詞でした。ドイツ語では受け身はwerden+過去分詞です(seinを使う受け身文もあります)。受身が会話で使われることはあまりないですので,werdenと過去分詞をみつけたら受身だなあと思えればいいと思います。くわしくは文法解説「受身」を参照して下さい。

さらに勉強したい人は次の項目をチェックしてください。


最終更新日: 2005年4月1日
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