ドイツ語の時制は,英語と同じように次の6つに分かれている。
*文法書によっては意志未来をwerdenで説明し,wollenは純然たる話法の助動詞として説明することがある。
未来完了は会話など一般の話題でめったにつかわない。ドイツ語の過去形は書き言葉では使うが,話し言葉では現在完了を過去のことを伝えるのに使う。ドイツ語の未来形は不確定な内容を伝えるときに使われるので,ただ未来のことだから未来形というわけではない。
現在形は時間的に「現在」の内容はもちろん,6つの時制の代表として次のような場合にも使われる。
現在進行の意味を現在形で表す場合には,
Jetzt habe ich Winterferien.(今冬休みです。)のように「進行中」を表す副詞(ここではgeradeやjetzt)をつけくわえる。
ただし,ドイツ語にも英語と同じように現在分詞が存在し,現在分詞は形容詞の役割も果たす。しかしseinと現在分詞が結びつく構文が存在しない(そのような形式をとっても進行形の意味は表さない)点が英語と異なる(→分詞)。
ドイツ語の現在完了は英語の現在完了とは違って,過去のことを話すときに使われる。過去形は書き言葉として使われることが多く,会話ではもっぱら現在完了をつかう。しかし会話でも助動詞や状態を表す動詞は過去形で表現することが多い。
現在完了は次のようにつくる。
Ich habe dir geholfen.(私は君を助けた。助動詞habenが定形として2番目の文成分になり,本動詞は最後に過去分詞になって置かれる。英語と同じだなと思われたかもしれないが,実は一部の自動詞(状態の変化を表す動詞やsein,werdenなど)は次のように現在完了を作る。
Ich bin nach Deutschland gefahren.(私はドイツへ行っていた。)助動詞seinを使う以外は先ほどと同じ作りである。実は英語にも同じような現象が昔あった。今でも次のような表現が残っている。
Spring is come.(=Spring has come.)
完了形をつくるときhabenを助動詞としてとる動詞を「haben支配の動詞」といい,seinを助動詞としてとる動詞を「sein支配の動詞」という。辞書では動詞の項目にhあるいはsと表示してあるので確認して欲しい。場合によっては同じ動詞でも意味(あるいは自動詞・他動詞)によって支配が変わることもある。
なお,過去完了はseinやhabenを過去の形にすることでつくれる。また未来完了はwerdenを定形の位置に置き,文尾に「本動詞の過去分詞+sein/haben」をおくとできる。
未来の出来事を表現するとき,ドイツ語ではふつう現在形を使う。ではどんなときに未来形を使うかというと,「不確定な内容」を伝えるときに未来形を使うのである。日本語では「〜するつもり」「〜するだろう」「〜しなさい」にあたる表現である。しかしこうしたことを伝える場合でも現在形を使うことも多い。単純未来の助動詞はwerdenであり,英語のwillにあたるwollenではないことに注意が必要である。wollenを使うと単なる未来ではなく,意志としてのニュアンスが強くなる。
Er wird in der Schule sein. (彼は学校にいるでしょう。)最終更新日: 2005年4月1日
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