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接続法

直説法は事実をそのまま伝えるのに対して,接続法は何か他の文に接続させる働きがある,というと何のことかわからないが,端的に述べれば,接続法の主要な役割は仮定法と間接話法である。接続法の形には第1式と第2式の2つがある。

接続法第1式

接続法第1式は現在形からつくる。このため「接続法現在」と呼ぶ参考書もある。しかし現在形としての意味を最初から持ち合わせているわけではないのでこの用語法は適当ではない。

接続法第1式の変化

不定形 wohnen(住む) sein(です) haben(持っている)
接続法1式基本形 wohne sei habe
ich wohne sei habe
du wohnest seist habest
er/sie/es wohne sei habe
wir wohnen seien haben
ihr wohnet seiet habet
sie/Sie wohnen seien haben

接続法第1式の基本形は「現在形の語幹+e」つまり直説法の現在人称変化でのichと同じである。そして語尾変化は直説法の過去形の人称変化と同じである。これまでの知識で何とかなるのでよかった…と思いきや,1つの例外が。それはやはりseinである。ここだけは少し違うので覚えなければならない。

接続法の時制

接続法の過去形は現在完了と同じ形を取る。そのときhabenseinを接続法の形にすればいい。また接続法で「過去」の内容を伝えるときは方法がこれしかないことにも注意してほしい。未来形はwerdenを接続法の形にする以外は同じである。

間接引用文と接続法第1式

接続法第1式は基本的に「話者の中立な態度」を表現している。そこで用法の1つとして登場するのが「間接引用文」である。なお,接続法第1式の形と直説法現在の形が同じになるときや,より中立的に(話者としては内容に全く自信がない場合に)引用する場合には接続法第2式の形を使う。

直接話法 Er sagte"Du bist schön."(「君は美しい」と彼は言った。)
間接話法 Er sagtedass sie schön sei

接続法第1式を見つけたら,その部分は筆者の主張ではない(筆者は自分の態度を表明せず,中立的に内容を伝えているだけである)と考え,「...とされている」などの訳をつけるとよい。

上の文でさらに接続詞dassを省略して次のような書き方をする場合もありうる。

Er sagte, sie sei schön.

この場合にはコンマの後の文における動詞は二番目の要素になる。こういった文では接続法1式が,接続詞がなくてもこの文章が副文であることを示してくれることになる。

要求話法と接続法第1式

英語では仮定法現在の用法の一つに「祈願文」というものがある。

God save the Queen!(神が女王を守りたまわんことを!)

本来savesとなるべき動詞がsaveになるのが仮定法現在だった。ドイツ語にも似たような表現がある。

Gott sei Dank!(神に感謝が存在することを!=よかった!)

相手が神様でなくても,ふつうに「要求」するときこの話法を使う。

Bitte hören Sie zu!(聞いてください!)

つまりSieに対する命令文として学んだ形式は実は「接続法第1式」である。

接続法第2式

接続法第2式の基本形は過去形からつくる。このため「接続法過去」と呼ぶ参考書もある。

接続法第2式の変化

不定形 wohnen(住む) gehen(行く) werden(なる) sein(です) haben(持つ)
直説法 wohnte ging wurde war hatte
接続法2式 wohnte ginge würde wäre hätte
ich wohnte ginge würde wäre hätte
du wohntest gingest würdest wärest hättest
er/sie/es wohnte ginge würde wäre hätte
wir wohnten gingen würden wären hätten
ihr wohntet ginget würdet wäret hättet
sie/Sie wohnten gingen würden wären hätten

接続法第2式の基本形は次のように作る。

非現実話法と接続法第2式

これは英語の「仮定法」にあたる,最もポピュラーな用法である。

Wenn ich Zeit hätte,würde ich nach Tokyo fahren.(もし時間があったら東京に行くのに。)

会話体や通常の文章ではwürdeを英語のwouldの感覚で使う。


最終更新日: 2005年4月1日
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