分離動詞は「接頭語+動詞」というつくりをもつ動詞である。接頭語には次のようなものがある。
auf- | 上に | aufstehen | zu- | 閉じて | zumachen |
ab- | 離れる | abfahren | an- | 接近する | ankommen |
ein- | 〜の中へ | einschlafen | ans- | 外へ | ausgehen |
vor- | 前に | vorhaben | nach- | あとから | nachlernen |
zurück- | もどって | zurückkommen | mit- | 一緒に | mitkommen |
次に分離動詞を使った文章をみてみよう。
Ich stehe um halb sechs auf. (私は5時半におきる。)英語ではget upがこれにあたる。
Der Zug ist pünktlich abgefahren. (列車は定刻に発車した。)ここでは現在完了になっているので過去分詞が来ている。
Beim Lesen bin ich eingeschlafen.(本を読んでいるうちに私は眠り込んでしまった。)ここでは現在完了になっているので過去分詞が来ている。前置詞beiは〜している際にという意味でよく使われる。
Ich habe morgen abend etwas vor. (私は明日の夕方は予定がある。)「前もって持っている=予定がある」となり,語源的には非常にわかりやすい。
Der Brief ist zurückkommen.(その手紙は戻ってきた。)英語で言うとcome backにあたる。
Die Firma hat zugemacht. (その会社は営業を停止した。)これは英語の感覚ではわかりにくい動詞。zumachenは他にもいろいろな意味があり,訳しにくい動詞として知られている。
Ich bin gut zu Hause angekommen. (私は無事帰宅した。)英語ではarrive in(at)にあたる表現である。
Ihm ist das Benzin ausgegangen. (彼の車のガソリンが切れた。)「あっちへ行く=なくなる」英語で言うとrun outあたりであろうか。
Ich will Deutsch nachlernen. (私はドイツ語を復習するつもりだ。)「後で+学ぶ」=復習,というこれも語源的に覚えやすい。
Darf ich mitkommen? (一緒に行ってもいいですか?)「いっしょに+行く」というわかりやすい構成の単語である。
再帰代名詞は英語のoneselfにあたる形で,基本的には「〜自身」という意味を持つ。ドイツ語の再帰代名詞は次のようになっている。
もとの形 | 2格 | 3格 | 4格 |
---|---|---|---|
ich | meiner | mir | mich |
du | deiner | dir | dich |
er/sie/es | seiner/ihrer/seiner | sich | sich |
wir | unser | uns | uns |
ihr | euer | euch | euch |
sie/Sie | ihere | sich | sich |
再帰代名詞は基本的には代名詞の人称変化と同じものを使う。再帰代名詞は1格が存在しないことに注意。また2格もめったにつかわない。再帰代名詞は3人称だけがふつうの代名詞とは異なる。これは「私−私自身」「あなた−あなた自身」が1対1に対応しているのに対して「彼−彼自身」は1対1とはいえない(別の「彼」を目的語とした,ととられるおそれがある)からである。なお敬称のSieはもともと3人称複数のsieを転用したものなので,再帰代名詞はsich(小文字)を用いる。
Er lobt sich. 彼は自分自身をほめる。(erとsichは同じ人。)
Er lobt ihn. 彼は彼をほめる(erとihmは別人)
再帰代名詞を目的語にとる動詞を再帰動詞という。再帰動詞は3格の目的語をとるものと4格の目的語をとるものがある。再帰動詞とその目的語の再帰代名詞は,まとめてひとつの動詞だと考えて息継ぎせずに読むことに注意する。
英語にも再帰動詞と呼ばれるものがある。
I pride myself on my son.(私は息子を誇りに思っている。)
しかし英語の場合,こうした表現は次第に使われなくなりつつある。それに対してドイツ語は日常の会話でも再帰動詞をよく使う。
Ich interessiere mich für Musik.(=I am interested in music.)
再帰動詞の具体例を見てみよう。
Ich gefalle mich die Hose. 私はこのズボンが気に入った。再帰動詞は熟語表現としてもよく用いられるので,辞書を引いた場合にはすみずみまで読む必要がある。
最終更新日: 2005年4月1日
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