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動詞の人称変化

現在人称変化

英語では動詞の人称変化といえば「三単現のs」とbe動詞の変化だけであった。しかしドイツ語では変化が気が狂いそうなほど多い。とはいえ,ひとたび覚えてしまうと動詞の形で主語を特定できるので英語より便利といえるかもしれない。また,動詞の人称変化はインド・ヨーロッパ語族の共通の特色であり,英語の人称変化の少なさはむしろ例外的な現象である(英語でももともとドイツ語類似の人称変化があったが,次第に廃れてきて現在のような形になったのである)。ドイツ語の変化の仕方になれていればフランス語やイタリア語などを勉強するときにもそれなりの覚悟ができてよいかもしれない。

弱変化動詞

まずは変化が規則的な動詞からみてみよう。

不定形

wohnen spielen arbeiten heißen
ich wohne spiele arbeite heiße
du wohnst spielst arbeitest heißt
er/sie/es wohnt spielt arbeitet heißt
wir wohnen spielen arbeiten heißen
ihr wohnt spielt arbeitet heißt
sie/Sie wohnen spielen arbeiten heißen

左から2つは最も規則的に変化する動詞の例である。太字の部分が変化する語尾である。音で覚えてしまうのが一番確実だろう。規則性を探って覚えようとしたこともあったが,それほど効果はなかった。

右の2つは弱変化動詞だが口調の問題で少し活用がちがうものである。arbeitenは「アルバイト」の語源となった動詞であるが,本来の意味は「仕事をする・働く・勉強する」という意味である(ドイツ語では日本語の「アルバイトする」を表す単語は英語のjobに由来するjobbenという動詞である)。語幹がtでおわるのでduやerなどではtが2つ続いて言いにくいので口調のeと呼ばれるeが入った。heißenは「〜という名前である」という意味の動詞だが,語幹がsの音で終わるので,duとihrのときにはsを改めて入れない。

強変化動詞

次に紹介するのは,参考書によっては「不規則動詞」と扱っているものだが,幹母音が変化する以外は弱変化動詞と同じ変化をするので,変化が強い,という意味で「強変化動詞」と呼ぶものである。

不定形 essen fahren
ich esse fahre
du isst fährst
er/sie/es isst fährt
wir essen fahren
ihr esst fahrt
sie/Sie essen fahren

duとerで幹母音が変化している。最初のessene-i-i-e-e-eと変化し,次のfahrena-ä-ä-a-a-aと変化している。強変化動詞は基本的にこの2つのパターンである。意外とこのタイプの動詞は多いので,でてくる度に人称変化を確認するのが大切である。

強変化動詞の特殊な形

不定形 werden halten nehmen
ich werde halte nehme
du wirst hältst nimmst
er/sie/es wird hält nimmt
wir werden halten nehmen
ihr werdet haltet nehmt
sie/Sie werden halten nehmen

語尾が若干不規則になっているので,ここまでくると「不規則だ」と行った方がいいのかもしれないが,幹母音の変化に注目してここに分類した。これも音で覚えるしかない?

seinhaben

不定形 sein haben
ich bin habe
du bist hast
er/sie/es ist hat
wir sind haben
ihr seid habt
sie/Sie sind haben

よく使う動詞ほど不規則な変化が起こりやすい。seinとhabenの変化はその好例である。ここまで不規則になると本当に音で覚えるしかないだろう。

過去人称変化

現在形の変化よりも過去形の変化の方が変化の仕方は緩慢である。

過去基本形 kam(kommen) war(sein) hatte(haben)
ich kam war hatte
du kamst warst hattest
er/sie/es kam war hatte
wir kamen waren hatten
ihr kamt wart hattet
sie/Sie kamen waren hatten

現在形の基本形はwirsie/Sieとが同じである一方,過去形の基本形はicher/sie/esと同じである。ここだけ語尾がつかず,その他の語尾は現在の時と同じである。この変化の仕方は助動詞の現在人称変化とおなじである。


最終更新日: 2005年4月1日
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