ドイツ語の肯定文の語順は次のようになる。
Ich heie
Klaudia. (私はクラウディアと申します。)
主語+動詞+その他
Heute gehe ich nach Hakata. (今日私は博多へ行きます。)
その他+動詞+主語+その他
最初の文は英語とほぼ同じ構造である。しかし2番目の文は英語では文法的に言うとありえない。ドイツ語の文は動詞が2番目のポジションにくるのが基本で,その他の文成分は基本的にはどこにきてもよい。この動詞の位置を「定形第2位」と言うことがある。
このルールは英語に慣れた方にとっては面食らうものであるかもしれない。しかし考えてみればドイツ語のこのルールは日本語と似ているのではないだろうか。日本語でも「動詞を最後に」というルール以外,文成分の並べ方に拘束はないのである。
否定文でも語順は同じであるが,英語の not
にあたる nicht もしくは,英語
の no にあたる kein(keine)
を用いて否定の意味を表す。
Ich habe kein
Geld. (= I have no
money.)
kein(keine) は名詞の前において,直後の名詞をうち消す働きをする。英語の
no とほぼ同じと考えてよい。
Ich habe dich nicht
gesehen. (= I didn't
meet you.)
nicht は文章全体を否定するときは文末に,ある単語を否定するときはその単語の前におく。ここでは文尾に過去分詞がおかれているのでその前にきている。
この2つの使い分けは英語における a と the の使い分けとほぼ同じと説明されることもあるが,それよりも「不定冠詞の否定は kein を使い,ほかの場合はnichtを使う」と考えた方がいい。
Ich habe keine Uhr. (= I have no time.)
Ich suche nicht
die Strae. (= I don't search
the street.)
決定疑問文とは,英語で言えば yes/no で答えられる疑問文である。ドイツ 語では ja/nein (doch)で答える。
Trinken Sie Wein? (= Do you drink wine?)
−Ja, ich trinke Wein.
−Nein, ich trinke lieber Bier.
Bist du Student? (= Are you a student?)
−Ja, ich bin Student.
−Nein, ich bin Lehrer.
英語の場合,動詞がbe動詞のときと,その他の動詞(一般動詞)のときでは形が異なる。しかしドイツ語の場合はbe動詞にあたるseinでもそれ以外の動詞でも形は同じである。英語より分かりやすい!!
Lernt du nicht Deutsch? (=
Don’t you study German?/君はドイツ語を勉強していないの)
−Nein, ich lerne Japanisch.
(= No,I study Japanese./うん,(ドイツ語ではなくて)日本語を勉強しているよ)
−Doch, ich lerne Deutsch.
(= Yes, I study German./いや,ドイツ語を勉強しているよ)
否定疑問文は答え方に注意が必要である。日本語で「〜しないのですか」と尋ねられたらふつう「はい,〜していません」「いいえ,〜しています」と答える
が,英語やドイツ語では,内容について「肯定」するか「否定」するかで答える
。そのとき,内容(ここでは「〜」にあたる)を否定したければneinを使い,内容を肯定したい場合はdochをつかう。dochは(〜してないの,という疑問に対し
)「そんなことないよ」という感じである。
wer |
1格 |
だれが |
who |
wessen |
2格 |
だれの |
whose |
wem |
3格 |
だれに |
whom |
wen |
4格 |
だれを |
whom |
補足疑問文とは,yes/noでは答えられない,何か補足をして答えなければならない疑問文のことである。
Was studieren Sie? (=
What do you major in?)
−Ich studiere Jura.(=
I major in Law.)
Wie heien Sie?
(=What is your name?)
−Ich heie
Klaudia. (= I am
Klaudia.)
英語では「疑問詞のある疑問文」として紹介されるのがこの補足疑問文である。ドイツ語の疑問詞の代表はつぎの6つである。
was(= what)
wer(=who) wo(=
where) wie(=how)
warum(=why) wann(=when)
ちなみに英語のwhenと似た音でwennという単語があるが,これは英語のifにあたる。
また,疑問詞werは格変化によって左上表のように変化する。
作成者:原田大樹
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