夏休みも終わりに近づいた頃,智紀くんは宏和くんに会います。
Tomonori: Hallo, Hirokazu! Wohin gehst du denn? Hirokazu: Ich gehe in die Bibliothek. Dort will ich für die Prüfung studieren. Tomonori: Ach! Ich vergesse über den Sommerferien ganz die Prüfung. Hirokazu: Wir wollen die Bibliothek gehen! |
智紀:やあ,宏和。どこへ行っているの? 宏和:図書館に行くんだ。試験勉強をしないとね。 智紀:ああっ!夏休みぼけで試験のことをすっかり忘れていた! 宏和:いっしょに図書館に行こう! |
単語・表現 | 品詞 | 意味 |
---|---|---|
denn | 副 | いったい・さあ[強調] |
die Bibliothek | 名 | 図書館(library) |
dort | 副 | あそこで(there) |
will | 助動 | [wollenの1人称単数現在形] |
die Prüfung | 名 | 試験(examination) |
vergesse | 動 | 忘れる[vergessenの1人称単数現在形](forget |
ganz | 副 | まったくの・かなり・相当に[強調] |
前置詞についてはLektion3-1などでふれましたが,ここでは具体的な使われ方を確認しましょう。
Ich gehe in die Bibliothek.
という宏和のせりふがあります。inは3・4格支配の前置詞ですから,その意味はあとに何格がくるかできまります。ここでは女性名詞die Bibliothekの4格がきているので「方向」を示す(〜へ)ことがわかります。
一方次のLektion6-2の最初の宏和のせりふは,
Du bist auch in der Bibliothek.
となっています。これは3格がきていますので「場所」を示す(〜に)ことがわかります。
前置詞の目的語が答えの中心となる補足疑問文は作り方がこれまでと少し違います。これについては細かい話になるので詳細は文法解説「da+前置詞など」を参照して下さい。ただしこの課ででてくる疑問文の形式は上のものとはちがいます。(woとwohinの使い分け)これについてはLektion3-1を参照して下さい。
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文法解説「前置詞」 文法解説「da+前置詞」 |
2人が図書館に着くとそこには由美子さんがいました。
Hirokazu: Tschüß, Yumiko! Du bist auch in der Bibliothek, nicht wahr? Yumiko: Ja, ich bin drei Uhr hier gewesen. Ubrigens, kannst du das bürgerliche Gesetzbuch verstehen? Hirokazu: Nein, nein. Ich kann das nicht verstehen. Yumiko: Wenn du das ein bißchen verstehen könnte, könntest du mir helfen. Hirokazu: Ich habe das mir beinahe gedacht. Was ist das doch schwierig! |
宏和:やあ,由美子!やはり図書館にきていたね。 由美子:うん。ここに3時間ぐらいいるの。ところで民法は理解できた? 宏和:いやいや,あれは理解できないよ。 由美子:もしあなたが少し理解できていたら,あなたに助けてもらおうと思っていたのに。 宏和:ほとんど考えてもいなかったよ。何と難しいことだ! |
単語・表現 | 品詞 | 意味 |
---|---|---|
übrigens | 副 | ところで(by the way) |
bürgerlich | 形 | 公民の・民の・市民の・文民の |
Gesetzbuch | 名 | 法典・法律 |
verstehen | 動 | 聞き取れる・理解できる |
helfen | 動 | (+3格)助ける(help) |
beinahe | 副 | ほとんど・あやうく(almost/nearly) |
denken | 動 | 考える(think) |
schwierig | 形 | 難しい・困難な(difficult) |
不定形 | 過去形 | 接続法2式 |
sein | war | ich wäre |
haben | hatte | ich hätte |
werden | wurde | ich würde |
können | konnte | ich könnte |
sollen | sollte | ich sollte |
wollen | wollte | ich wollte |
müssen | mußte | ich müßte |
dürfen | durfte | ich dürfte |
mögen | mochte | ich möchte |
「〜ですね」など軽く念を押す言い方は「付加疑問」とよばれ,英語でもありました。ドイツ語でもあるのですが,英語よりも簡単です。英語では主文(とよぶかわかりませんが)の主語と動詞にあわせて「,do I?」とか「,aren't you?」などいろいろな形を付けていましたが,ドイツ語では一つしかないのです。それが「,nicht wahr?」です。
英語では非現実話法として「仮定法」がありました。ドイツ語では「接続法」がこれにあたります。英語の仮定法過去・仮定法過去完了にあたるのがドイツ語の接続法第2式,英語の仮定法現在及び間接話法にあたるのがドイツ語の接続法第1式です。接続法第1式は最近あまり使われなくなっています(とくに会話では)。初級段階では接続法第2式を理解すれば十分です。
接続法第2式は過去形の語尾変化をベースにした形となります。初級段階ではこの表にある動詞・助動詞を覚えておけば十分です。人称変化は過去形と同じです。
代名詞 | 代名詞の意味 | sein | haben |
---|---|---|---|
ich | 私 | wäre | hätte |
du | 君 | wärest | hättest |
er/sie/es | 彼・彼女・それ | wäre | hätte |
wir | 私たち | wären | hätten |
ihr | 君たち | wäret | hättet |
sie/Sie | 彼ら・彼女ら・それら/あなた・あなた方 | wären | hätten |
それでは、表現法を見てみましょう。
「もし〜だったら…であろう。」(現在の仮定)や、「もし〜だったら…だったであろう。」(過去の仮定)を表します。
Wenn+接続法 , | 接続法第2式 würde+不定形 |
という形になります。「würde+不定形」を使った表現が口語では一般的ですのでとりあえずこちらを覚えましょう。
例えば「もしお金と時間があれば、私はドイツに行くのになあ…。」は
Wenn ich Zeit und Geld hätte, führe ich nach Deutschland.
または
Wenn ich Zeit und Geld hätte,würde ich nach Deutschland fahren.
となります。würdeは英語のwouldと似ています。これを使うといちいちそれぞれの動詞の接続法2式の形を覚えなくていいわけです。ちなみに上の文のコンマ以前を“前提部”、コンマ以降を“結論部”といいます。接続法は前提部のみ、あるいは結論部のみで用いられることがあります。
例:前提部のみ
Wenn Sie hier wären.(あなたがここにいてくれたらなあ…。)
結論部のみ
Dann könnte ich Deutsch noch besser sprechen.(そうすれば、もっと上手にドイツ語を話せるのに…。)
非現実話法が初級では接続法のすべてといってもいいので,しっかり理解しましょう。
Ich hätte gern einen Wein.(私はワインが欲しい。)
Ich hätte nach Frankfurt fahren.(私はフランクフルトに行きたい。)
このIch hätte gern〜という言い方は,丁寧に「〜したい」と表現するのによく使われるので熟語として知っておきましょう。
相手に何かを頼むときによく使います。
Könnten Sie mir etwas zu trinken?(何か飲み物を取っていただけますか?)
Könnten Sie mir sagen,wo Herr Michell ist?(ミヒェル先生がどこにいらっしゃるか教えていただけますか?)
Hättest du Lust, ins Kino zu gehen?(映画に行く気はありますか?/映画に行きませんか?)
Ich habe keine Lust, nach Bonn zu fahren.(私はボンに行く気がありません。)
Hättest(普通の文ではHast)du Lust〜は、「〜する気はありますか?」という意味を持つ熟語的表現です。覚えておくととても便利です。Lektion5-1でもでてきましたね。
文の種類の1つで賛嘆や感激を表します。英語でもありますが,ドイツ語では文法的に「この形だけ」というものはなく,ただ感嘆符(!)をつければ終わり?という部分もあります。
Wie schön! (なんとすばらしいことだ)(=How beautiful!)
感嘆文については中級段階でもでてこないので,なぜここで登場したのかよくわかりませんが(なんと無責任な!)とにかくそういう文もあるという認識があればいいのだと思います。(^^;)
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文法解説「接続法」 |
法律と工学のどちらが難しいのか,論争(?)がはじまりました。
Tomonori: Technik ist ein schwierige Fach. Hirokazu: Jura ist am schwierigsten! Wissen Sie, das das bürgerliche Gesetzbuch geschrieben in altes Japanisch wird? Tomonori: Nein, ich weis nicht. Aber Technik ist so schwierig wie Jura. Wir müssen schwere Mathematik studieren. Yumiko: Schrecklich! Mathematik ist eine der schwierigsten Facher für mich! |
智紀:工学は難しい分野だ。 宏和:法学が一番難しい!民法が文語体の日本語で書かれているって知ってる? 智紀:いや,知らない。でも工学も法学と同じくらい難しい。難しい数学を勉強しないといけないから。 由美子:おそろしい!私にとって数学は最も難しい分野のひとつだわ。 |
単語・表現 | 品詞 | 意味 |
---|---|---|
Technik | 名 | 工学・技術 |
schreiben | 動 | 書く・つづる |
Mathematik | 名 | 数学(math) |
schrecklich | 形 | おそろしい・身の毛もよだつ(terrible) |
das Fach | 名 | 教科・専門分野(field) |
形容詞には次の3つの用法があります。
ドイツ語では副詞としても形容詞を使えるので便利です。さて,便利なのはここまで。「名詞を修飾」する用法,英語で言うと限定用法は語尾変化を起こすのです。これがドイツ語初級の最難関といってもよいぐらいです。
形容詞が名詞を修飾するときは、その性・数・格に応じて語尾変化します。これから、男性名詞の「若い男」,女性名詞の「親切な女」,中性名詞の「赤い車」,複数名詞の「善良な人々」を例に、変化のパターンを見ていきましょう。
●定冠詞+形容詞+名詞(弱変化)
男性 | 女性 | 中性 | 複数 | |
---|---|---|---|---|
1格 | der junge Mann | die nette Frau | das rote Auto | die guten Leute |
2格 | des jungen Manns | der netten Frau | des roten Autos | der guten Leute |
3格 | dem jungen Mann | der netten Frau | dem roten Auto | den guten Leuten |
4格 | den jungen Mann | die nette Frau | das rote Auto | die guten Leute |
●形容詞+名詞(強変化)
男性 | 女性 | 中性 | 複数 | |
---|---|---|---|---|
1格 | junger Mann | nette Frau | rotes Auto | gute Leute |
2格 | jungen Manns | netter Frau | roten Autos | guter Leute |
3格 | jungem Mann | netter Frau | rotem Auto | guten Leuten |
4格 | jungen Mann | nette Frau | rotes Auto | gute Leute |
●不定冠詞(類)+形容詞+名詞(混合変化)
男性 | 女性 | 中性 | |
---|---|---|---|
1格 | ein junger Mann | eine nette Frau | ein rotes Auto |
2格 | eines jungen Manns | einer netten Frau | eines roten Autos |
3格 | einem jungen Mann | einer netten Frau | einem roten Auto |
4格 | einen jungen Mann | eine nette Frau | ein rotes Auto |
einには当然ながら複数はありえないので、複数形は冠詞がつきません。よって、強変化と同じパターンで語尾変化します。また、不定冠詞類には複数形があります。
●不定冠詞類複数形の語尾変化
1格 | meine guten Kinder |
---|---|
2格 | meiner guten Kinder |
3格 | meinen guten Kindern |
4格 | meine guten Kinder |
これらは、弱変化と同形になります。頭が割れる危機に瀕したあなたのために,とっておきの薬があります。それは文法解説「形容詞」に載っています。
形容詞は、その頭文字を大文字にして名詞扱いすることができます。これを形容詞の名詞化といいます。この場合の格変化は、前述の弱変化と同じです。
der alte Mann → der Alte (老いた男)
これだけで、右と同様に「老いた男」という意味を表せるのです。その他、
die Nette(親切な女)、die Armen(その貧しい人々)
男性・女性・複数形の名詞化形容詞は、「人」を表します。一方,中性名詞化形容詞は、「…なもの、…なこと、」などの「事物」を表します。
das Neue(新しいもの)
英語のthe rich(=rich people)と同じようなものですね。詳しくは文法解説「形容詞」を参照して下さい。
比較級は原級に-erを、最高級は原級に-stをつければOK!どんなに長−い形容詞でもこのやり方でいいのです。英語のように何音節以上はmoreなどという面倒な決まりはありません。
また、以下に示すような例外もあります。
[ウムラオト型]
1音節の形容詞で比較級・最高級に変化するとき、a,o,uがウムラウトに変音するタイプです。このタイプはかなり多いです。
[+e型]
原級が -t, -d, および -ß,-ss,ch, -zで終わるものは、最高級で、「原級+-est」という形をとります。
[-e型]
原級が -el, -erで終わるものは、比較級でその語尾の -eを省略します。
[不規則変化]
不規則に変化するものもあります。(やっぱりね)
英語のthanにあたるドイツ語はalsです。
My room is smaller than yours.
をドイツ語にすると,
Meine Wohnung ist kleiner als deine.
となります。形は同じですからわかりやすいと思います。
問題は形容詞が名詞を修飾している場合の比較級です。この場合は比較級の語尾+格変化語尾となるので頭が痛いです。
I look for a bigger room than ours.
をドイツ語にすると,
Ich suche eine grüßere Wohnung als unsere.
となります。grüßereの語尾eに注目して下さい。
最高級では「am−sten」という表現が英語の「the−est of/in〜」にあたります。
He studies German hardest of us all.
という英語はドイツ語では,
Er studiert Deutsch am fleißigsten von uns allen.
となります。
また比較級と同様,形容詞の限定用法のときは格語尾がつくことを忘れないで下さい。
英語のas〜asにあたる表現です。ドイツ語ではso〜wieが使われます。英語と同じく〜には「原級」が入ります。
Japanese is as difficult as German.
をドイツ語にすると,
Japanisch ist so schwierig wie Deutsch.
となります。
München ist eine der schönsten Städte in Europa.
(ミュンヘンはヨーロッパで最も美しい都市の一つである。)
英語のone of the -est 複数形にあたる表現です。構造はほぼ英語のままですが,慣れないと使うのは難しいです。ちなみにderは2格複数を表す定冠詞です。
受け身は英語ではbe動詞+過去分詞でした。しかしドイツ語ではwerden+過去分詞です。受身が会話で使われることはあまりないですので,werdenと過去分詞をみつけたら受身だなあと思えればいいと思います。くわしくは文法解説「受身」を参照して下さい。
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文法解説「形容詞」 文法解説「受身」 |
作成者:原田大樹
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