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paco documentドイツの祭り

祐恒伸次(九州大学法学部)


ドイツにおける日常生活にとって、祭りは重要な役割を果たしている。年間の祭りの日程は時節を構成しており、日本のように四季を明確にしている。

2年間に行われる多くの祭りはキリスト教と結びついている。1月6日に行われる顕現日(Heilige Drei Koenige)も同様にキリストの物語と関係している。この日は、新しく誕生した救世主であるイエスの具現を確かめるために、東方の国から三博士が訪れたことを考える日である。昔は子供たちがこの日に町中を歩き、供え物を集めていたそうだが現在ではほとんど行われていない。

2月には謝肉祭(Fastnacht)があるが、これは大規模であり、昔からカトリック地域以外でも重んじられている。カトリック聖暦年では復活祭までの40日間にもわたる精進期の始まりである。復活祭は春分の日の後の最初の満月後の第1日曜日になるので、毎年異なる。謝肉祭で最も有名なのは、ライン地方でのカーニバルの大行列である。ケルン、ミュンヒェンなどの都市では数キロメートルにもおよぶパレードが見られる。パレードは楽隊、揃いの服を着てダンスをする集団や、世界各国の生活様式を茶化した飾り付けを乗せた車などから成りたっている。

聖暦年における次の祭りは復活祭(Ostersonntag)である。これは、キリスト教儀式のうちで救済者の復活を記念する祭りである。カトリックの教会では、復活祭の前の木曜日(聖木曜日)から、復活祭まで鐘突きが中止されている。復活祭の現代的な意味は贈り物にある。親は子供に様々な色のついた「復活祭の卵」や「チョコレートの卵」、「菓子類」などを贈る。この面白いところは、贈り主によって家の中に隠された贈り物を、復活祭の朝に探し出すことである。

復活祭の次にくる祭りは5月1日のメーデー(Maifeiertag)である。ナチスの時代、5月1日は国家が命令した「労働の日」となって、生気を失いつつあったが現代ではそういったものは無くなってきている。

次の祭日はキリスト昇天祭となっている。つまり父の日である。母の日は5月の第2日曜日で、日本のようにカーネーションを贈ったりする。

復活祭後第7日曜日には聖霊降臨祭(Pfingstmontag)というものがあり、新約聖書の伝承を思い起こさせる。その後の第2木曜日は聖体節(Fronleichnam)とよばれ、カトリックの祭りであり、信者による行列で信仰の力を示すのである。

夏になると祭日がなくなり、長期休暇でみんな旅行にいったりする。秋になるとまた重要な祭りがやってくる。10月31日の宗教改革祭(Reformationstag)である。この日は、宗教改革の始まりを記した「95ヶ条の論題」を記念する日だ。そして11月1日は万聖節(Allerheiligen)といわれており、カトリックの村では亡くなった人々を思い起こす日になっている。

クリスマスの1ヶ月ぐらい前(待降祭:Advent)からクリスマスにかけて、キリスト降誕祭に対する心構えが始まる。12月6日は聖ニコラウス祭日と呼ばれていて、子供たちはプレゼントをもらえる。そして、12月31日の大晦日(Silvester)を迎えて次の年がくるのである。

次に地方特有の祭りを挙げていく。まずはミュンヒェンの十月祭がある。これはビール祭ともいわれ、16日間ミュンヒェンのテレジエンで行われ、ビールとバイエルンのソーセージを食べるものである。次にバイエルン州やノルトライン=ウエストファーレン州が中心となって行う「射撃祭」がある。こういったあらゆる祭りは多くの観客を文化的催しに引きつけるのに成功し、また諸外国の人々をドイツの文化に興味を抱かせているのである。


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最終更新日:1998415
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