分詞とは,形容詞の働きをする動詞の形をいいます。分詞には英語と同じく現在分詞(Partizip I)と過去分詞(Partizip II)があります。
現在分詞
現在分詞の作り方はseinとtunを除いて規則的です。
[原則] 不定形+-d (例:wohnen→wohnend)
[例外] sein→seiend,tun→tuend
英語にはbe動詞+現在分詞で進行形を表す表現がありますが,ドイツ語にはありません。ドイツ語で現在分詞が使われるのは形容詞のように働く場合に限られます。
また英語では現在分詞と動名詞がともに-ingの形になっていますが,ドイツ語では現在分詞は-d(本来は-end),動名詞にあたる動作名詞は-ungで形が全く違います。
付加語的用法
名詞の前に置いて名詞を説明する(「...する」・「...させる」)役割を果たします。この場合には形容詞と同じく変化語尾がつきます。現在分詞に様々な修飾語句がついて長くなったものを冠飾句といい,関係詞節で言い換えられます。
eine singende Frau (歌っている女性)
die dort mit dem Mann singende Frau (あそこで夫と一緒に歌っている女性)
=die Frau, die dort mit dem Mann singt
[中級] 未来受動分詞(Gerundivum)
zu+現在分詞の形で「...されうる」「...すべき」「...しなければならない」などの意味を表します。sein+zu不定詞を使うと節に書き換えることができます。法律ドイツ語では頻出の表現です。未来受動分詞は付加語としてしか用いられません。
die nicht zu lösende Aufgabe (解かれ得ない課題)
←Die Aufgabe ist nicht zu lösen.(その課題は解くことができません。)
述語的用法
ドイツ語には英語と異なり進行形がないので,述語的用法が可能な現在分詞はほとんど形容詞化しているものに限られます。
Entscheidend war dieses Dokument. (決定的だったのはこの書類でした。)
副詞的用法
形容詞化している現在分詞は,副詞としても用いることができます。
Die Zahl der Bücher in der Bibliothek ist überraschend hoch.
(図書館の蔵書数は驚くほど多いです。)
また全ての現在分詞は英語と同様に分詞構文(Partizipialsatz)を作ることもできます。分詞構文で表せる意味は英語とほぼ同じで,時・付帯状況・原因・条件・認容といったものが代表的です。
名詞的用法(形容詞の名詞化)
一般的な形容詞と同じく,男性・女性・複数の変化語尾を持つ分詞は「...している人」という意味を表します。男性か女性かで名詞の形が変わる場合にこの言い換えが好まれることがあります(例:der Student[男子学生]/die Studentin[女子学生]→der/die Studierende[大学生])。
Die Reisenden werden gebeten, ihre Plätze einzunehmen.
(乗客の皆様は席にお着きください。)
[上級] 分詞を名詞化する表現は性別に依存しないので,最近よく使われるようになりました。ただし,der/die Studierendeは「勉強している人」という意味になるので,厳密に言えば,勉強していない状態の学生を指す言葉ではありません。このため,このような表現を嫌うドイツ人もいます。
過去分詞
過去分詞の作り方は動詞の三基本形を参照して下さい。過去分詞は以下で説明する形容詞としての働きのほか,habenやseinと結合して完了形を作ったり,werdenやseinと結合して受動態を作ったりします。
付加語的用法
基本的に現在分詞と同じですが,自動詞の過去分詞は完了の意味(「...した」)を,他動詞の過去分詞は受動完了や継続(「...された・されている」)の意味を表します。
der angekommene Zug (到着した列車)
der spät in Konstanz angekommene Zug (遅れてコンスタンツに到着した列車)
=der Zug, der spät in Konstanz angekommen ist
述語的用法
現在分詞と同じく,述語的用法が可能な過去分詞はほとんど形容詞化しているものに限られます。
Konstanz ist für den Bodensee berühmt.
(コンスタンツはボーデン湖で有名です。)
Ich bin überrascht, dass es viele Sehenswürdigkeiten in Konstanz gibt.
(私はコンスタンツにたくさんの観光名所があることに驚いています。)
副詞的用法
形容詞化している過去分詞は,副詞としても用いることができます。また全ての過去分詞は英語と同様に分詞構文を作ることもできます。
Er kann ausgezeichnet kochen. (彼はとても上手に料理をします。)
In Konstanz angekommen, bin ich zur Universität gegangen.
(コンスタンツに着くと,私は大学に行きました。)
Wie gesagt, interessiere ich mich für Musik.
(前に言ったように,私は音楽に関心があります。)
上の文は過去分詞ausgezeichnetが副詞として使われている例です。下の文は英語にもある独立分詞構文です。
[中級] 独立分詞構文の例
- wie gesagt (前に言ったように)
- offen gestanden (率直に言うと)
- anders formuliert (別の言い方をすれば)
- davon abgesehen (それを除外すると)
- so gesehen (そう考えると)
名詞的用法(形容詞の名詞化)
一般的な形容詞と同じく,男性・女性・複数の変化語尾を持つ分詞は「...された人」という意味を表します。
Er ist zwar ein Bekannter, aber kein Freund.
(彼は知り合いですが友達ではありません。)