疑問詞・不定代名詞・特殊なes

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疑問代名詞・疑問副詞

疑問代名詞(Interrogativpronomen)と疑問副詞(Interrogativadverb)をまとめて疑問詞(Interrogativ)といいます。疑問詞がない(Ja/Nein/Dochで返答できる)疑問文を決定疑問文(Entscheidungsfragen)といい,疑問詞のある疑問文を補足疑問文(Ergänzungsfragen,Fragen mit Fragewort)といいます。

疑問代名詞

疑問代名詞wer,wasは以下のように格変化します。

1格(Nominativ) wer was
2格(Genitiv) wessen wessen
3格(Dativ) wem [was]
4格(Akkusativ) wen was

疑問代名詞welcherはdieser型の変化をします。またwas für einではeinの部分が不定冠詞の変化をします。

疑問代名詞を使った具体的な表現を見てみましょう。

Wer ist das? Das ist Frau Kaufmann. (この人は誰ですか? カウフマンさんです。)
Wessen Tüte ist das? (これは誰の紙袋ですか?)
Mit welchem Zug kommen Sie? (あなたはどの列車で来るのですか?)
Was für Musik hören Sie gern? (あなたはどんな音楽を聴くのが好きですか?)

疑問副詞

wannは英語のwhenにあたる疑問副詞で,単独では「いつ」という意味を表します。他の単語を組み合わせて別の内容の質問をつくることもできます。

Wann fährt der Zug ab? (この列車はいつ出発するのですか?)
Seit wann sind Sie in Konstanz gewesen? 
(あなたはいつからコンスタンツにいるのですか?)
Bis wann werden Sie in Konstanz sein?
(あなたはいつまでコンスタンツにいるのですか?)

woは英語のwhereにあたる疑問副詞で,単独では「どこ」という意味を表します。やはり他の単語と組み合わせて別の内容の質問をつくることもできます。

Wo wohnen Sie? (あなたはどこに住んでいるのですか?)
Woher kommen Sie? (あなたはどちらの出身ですか?)
Wohin fahren Sie?(あなたはどこに行かれるのですか?)

wieは英語のhowにあたる疑問副詞で,単独では「どのように」という意味を表します。英語と同じくwie+形容詞・副詞で程度や数量を尋ねる疑問文をつくることができます。

Wie kann man diese ausmachen? (これはどうやって開けるのですか?)
Wie alt bist du? (君は何歳ですか?)
Wieviel Uhr ist es?(今何時ですか?)

warumは英語のwhyにあたる疑問副詞で「なぜ」という意味を表します。他にもwodurch(原因を聞く場合の「なぜ」)やwozu(目的を聞く場合の「なぜ」)などいくつかの疑問副詞が「なぜ」の意味を持っています。

Warum lernen Sie Deutsch?(あなたはなぜドイツ語を勉強するのですか?)

「なぜ」の同意表現

日本人はどうしても Warum?=Why?=なぜ? という等式を描きがちですが,ドイツ語で理由を聞く表現は他にもあり,人によってはWarum?よりも次のような表現を使うことの方が多いです。

Wie kommt das? (どういうことですか?)
Inwiefern? (どうしてそう思うのですか?・どうしてそう言うのですか?)

warumが単に理由を聞くのに対して,inwiefernはそう思うに至った判断の根拠を尋ねる表現です。この意味のinwiefernをきちんと紹介している独和辞典はあまりないようですが,例えばLangenscheidのPower Wörterbuch Deutschでは次のような説明があります(強調引用者)。

in・wie・fern1 Adverb; (in direkten und indirekten Fragen);
fragt danach, in welcher Hinsicht etwas geschieht oder bis zu welchem Grad etwas zutrifft: Inwiefern hat er recht?

warumとinwiefernの意味の違いを確認するために,次の2つの例文を見てみましょう。

Warum gibt es keine guten öffentlichen Verkehrsmittel?
 ── Viele Leute besitzen ein eigenes Auto.
Inwiefern gibt es keine guten öffentlichen Verkehrsmittel?
 ── Es gibt nur dreimal am Tag einen Bus in die Stadt.

上の例文は「なぜ」公共交通が十分にはないのかを聞いているので,自家用自動車が普及しているからという答えが対応することになります。これに対して下の例文では「どうして公共交通機関が十分にはないと思うのか」「どのような根拠で公共交通機関が十分にはないと言うのか」を聞いているので,公共交通機関が少ないことを示す文章(ここでは1日に1本しか中心地へのバスがないこと)が回答となります。

前置詞と疑問詞の組み合わせ

質問の対象が前置詞の目的語になっている場合には,前置詞と疑問詞を組み合わせた次のような表現が使われます。

An wen denken Sie jetzt? (今誰のことを考えているのですか?)
──An mein Kind. (私の子どものことです。)
Womit beschäftigen Sie sich jetzt? (今どんなことに取り組んでいるのですか?)
──Mit dem Umweltschutz. (環境保護です。)

前置詞の目的語が人や動物といった生物の場合には上のような前置詞+疑問詞の形が,前置詞の目的語が無生物の場合には下のようなwo[r]+前置詞の形が使われます。下の場合,前置詞が母音で始まる場合に,口調上の理由からrが挟まれます。

不定代名詞

不定代名詞は不特定の人・物を指し示す代名詞です。人についてはjemand(誰か),jedermann(誰もが),man(人は→非人称のman),niemand(誰も...ない),物についてはetwas(何か),nichts(何も...ない)があります。この他,漠然と量を表す不定数詞も不定代名詞の中に含まれることがあります。例えばall-(全ての),jed-(各々の)などがあります。

まず不定代名詞の用法を確認します。

Haben Sie etwas zu essen? (何か食べ物はありますか?)
Kann man hier schwimmen? (ここで泳げますか?)

不特定の物を示すetwasとその不存在を示すnichtsは後ろにzu不定詞をとることができます。非人称のmanは会話でも書き言葉でもしばしば用いられます。英語では非人称のwe/youを用いますが,ドイツ語では基本的にこうした場合にはmanが用いられます。

次に不定数詞の用法を見てみます。

Lehren Sie Deutsch oder Japanisch? 
──Ich lerne beides.
(あなたはドイツ語と日本語のどちらを学んでいるのですか?どちらもです。)
Sprechen Sie Deutsch?
──Ja, aber nur ein bisschen.
(あなたはドイツ語を話しますか?はい,でも少しだけです。)

beid-は「両方の」という意味を表す不定数詞で,両方ともという意味を表す際にはbeidesという形が用いられます。またein bisschenは語尾変化がない不変化型不定数詞のひとつで,「少し」という意味を表します。

特殊なes(非人称のes・穴埋めのes)

esは代名詞として何かを指し示すだけではなく,英語のIt rains.のitのような形式的な要素として用いられることもあります。

Es regnet. (雨が降ります。) Es schneit. (雪が降ります。)
Es ist 13.30 Uhr. (13時30分です。)
Es ist mir kalt. = Mir ist kalt. (私は寒いと感じます。)
Es klingelt zur Pause. (休み時間のベルが鳴ります。)

最初の文と次の文は英語でも用いられる非人称の用法です。非人称のesは天候・時間・時期などを表す場合に用いられます。曜日や日付を表す表現で,Heuteなどが文頭に来ると,非人称のesは省略されます。

3つめの文章は英語にはありません。感覚をもつ人は3格で表され,それが文頭に来るとesは消去されます。4つめの文章は人称動詞の非人称的用法と呼ばれるもので,動作ではなくその現象を知覚したことに焦点を当てたい場合に用いられる表現方法です。

さらにesには穴埋めのesと呼ばれる用法があります。これは文頭に何も要素がない(聞き手にとって既知あるいはその文のテーマとなるものが何もない)場合に,全く意味を持たないesを置くことです。

Es kamen viele Reisende. (観光客がたくさん来ました。)
Es bestand die Möglichkeit, den Vorsitzenden abzulösen.
(議長を交代させる可能性がありました。)

この場合のesは主語ではないので,動詞の形は後ろにある名詞(この場合はReisende→複数形)に依存します。このような文体は,存在を表す文や出来事を表す文でしばしば用いられます。

    

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