Bunsoについて(法学文献テンプレートの利用法)

レポートや論文で頭が痛いのは引用文献をいかに整理するかということです。ただの読書録であれば表計算ソフトやデータベースソフトでいいのですが、引用となると話は別です。この分野ではMacEndNoteというソフト(最近Win版もでましたが)が,WindowsではGetARefというソフトがありますが,いずれも高価です。

オンラインの世界ではこの分野に該当するソフトがいくつかありますが、機能やユーザーインターフェイスに秀で、しかも無料なのが佐々木和裕さんの「Bunso」です。Bunsoには次のような特色があります。

  1. カードレイアウト・フィールドが自由自在に設定できる
    最大の特徴は文献カードのレイアウトが自由であるということです。テンプレートからの選択ではない点が評価できます。これにより専門分野に特化したレイアウトが可能になります。
  2. MS-Word/Excelとの連携
    いまやワープロのスタンダードであるWordの文書(97/98/2000形式を含むdocファイル)を読み込んで文献リストを自動で付ける機能があります。またExcelのマクロを利用して,BunsoのデータをExcelのワークシートに読み出すことができます。
  3. 引用形式は自分で設定できる
    引用形式は分野によって少しずつ変わっています。Bunsoではカスタマイズを自在にすることでこれに対応しています。

1. はじめに

Bunsoはフリーウエアの文献管理ソフトです。文献管理ソフトは有名なものからそうでないものまで幅広く存在し,有名ソフトはかなりの値段がします。そんな中,Bunsoはフリーで使えるにもかかわらず機能は非常に優れています。このテンプレートはBunsoで法学文献を整理したい方のためのものです。

2. 動作環境・準備

必要なのはBunso3.61以上(このテンプレートは3.65で作成)です。ページコントロールを利用していますので,3.6では利用できません。Windows95/98/Me/XPで動作を確認しています(ただしXPでは複数のBunsoを起動して同時に操作をすると挙動不審になる場合があるようです)。

この圧縮ファイル(lawbun.lzh)を解凍するとlaw02.rfd law02.dsn law02.his law02.ini4つのファイルとList Style, help2フォルダがでてきます。これらをすべてBunsoの入っているフォルダにコピーしてください。

Bunso3.61以前からUpgradeする場合の注意

ページコントロールを利用するためにはひとつ操作が必要です。Bunsoが入っているフォルダ(この例ではD:\Bunso)にもしBunsotlb.iniというファイルがあったらこれを削除してください。ページレイアウトの初期化が必要だからです。

3. 起動

Bunsoを起動し,新規作成を実行すると新規作成ファイルの名前・保存場所の指定ののちに,上の画面がでてきます。ここでテンプレートデータベースのコピー作成を選び,設定・変更ボタンを押して先ほどコピーしたlaw02.rfdを選択してください。OKをおせば次の画面になるはずです。

このようにならなかった場合はファイルのコピーがきちんとなされているか確認してください。

4. データの入力

Bunsoはカード画面と一覧表画面の二つを持っていますが,入力にはカード画面が便利です。

最初に種別を決定します(楕円で囲まれている部分)。これを決定しないと文献リスト出力時のフォーマットが決まりませんので,この部分を未決定のままにしないように気をつけてください。

法学文献テンプレートでは書籍・記念論文集(日本)・ドイツ語書籍・英語書籍・雑誌・ドイツ語雑誌・英語雑誌・判例集・判例集(ドイツ公式)・判例集(ドイツ商業誌)・WEBページ・新聞の12の文献パターンを持っています。それぞれの文献パターンは次のようになっています。(例は架空のものです)

書籍 山田太郎「行政改革」鈴木大介編『日本の行政』(○○出版・2002年)5-7頁[初出1999年]
記念論文集(日本) 山田太郎「行政法の課題」鈴木大介先生古稀記念『行政法の展望』(○○出版・2001年)1-15
ドイツ語書籍 Michael Mayer, Zur Qualifikation von Pflegeversicherung, in: Wolfganf Morzart(Hrsg.), Festschrift für Otto Ende, C.H.Beck München, 2003, S.507-525
英語書籍 Thomas Wade, Administrative Law and Process, M'cmillan London, 1998, P. 12
雑誌 山田太郎「省庁再編の課題」法学雑誌89巻5号(1999年)12-25頁
ドイツ語雑誌 Michael Mayer, Die Reform von Verwaltung, Verwaltungs-Archiv 2004, S.149
英語雑誌 Thomas Wade, New Public Management, Administrative Law Review 2000,P.221
判例集 静岡地決昭和59625日判例タイムズ534157
判例集(ドイツ公式) BVerfG Urt. v. 25.3.1980 E 53, 366
判例集(ドイツ商業誌) BGH Urt. v. 22.6.1995, NJW 1995, S.2923
WEBページ paco」(http://www.law.kyushu-u.ac.jp/~taiki/index.html
新聞 「省庁再編後の霞ヶ関」(毎朝新聞200125日朝刊)

あとは必要事項を入力するだけです。 以下に3つの例を示します。

書籍

雑誌

判例集

入力するときはまずタブ(書籍・雑誌・判例集)を選択してください。

リストに反映されるのはタブに含まれている項目+場所です。次のフィールドは次のような場合に使います。

※ドイツ語文献の入力時の注意

Bunsoではリッチテキストコントロールを利用することができますが,今のところウムラオトなどのドイツ語特殊文字をうまく表示させるようにテンプレートを設定することができていません。またリッチテキストコントロールを使用すると汎用性を失う恐れもなくはありません。そこで,当面の手当として

  1. ドイツ語特殊文字を次のように入力する
    ä→[ae] ö→[oe] ü→[ue] ß→[ss] Ä→[AE] Ö→[OE] Ü→[UE]
    角括弧もつけて入力してください。
  2. Bunsoからリスト出力後,ワードにリストをペーストする。
  3. 添付のウムラオト変換.docを利用して置き換えを行う。(アルファベット→ウムラオト というマクロを実行させます)

という手順を踏んでみてください。(一太郎用のマクロをつくろうとしましたが,置き換えでウムラオトなどをうまく認識してくれません)

5. カスタマイズの一例

Bunsoでは入力を助けるドロップダウンリストが利用できますが,その候補名を変更することができます。他にもいろいろカスタマイズできるのですがそれらはBunsoヘルプをみてください。(わかりやすいですよ)

ここでは「分野」のドロップダウンリストを変えましょう。レイアウトの変更ボタン(画像の左下)を押して「分野」のドロップダウンリストをマウスで選択し,でてきたコンポーネントインスペクタのリスト項目の丸印を押すと

このような画面が出てきますので,ご自分のよく利用される分野名を入力してください。項目を区切るために改行を入れてください。OKをおせば編集終了です。レイアウト変更ボタンをもう一度押せば変更画面が終了します。

6. 検索しよう

次にBunsoの表画面から検索を行いましょう。

赤い楕円のところのボタンを押すと次のようなダイアログが出てきます。

検索によく利用すると思われるフィールドは用意していますので,言葉を入れて「全てのデータを対象に検索」を押してください。なお複数フィールドにわたる検索は赤丸のボタンの左隣を使います。

検索ダイアログも画面レイアウトを変更することができますので一度やってみてください。

7. リストの作成

Bunsoにはたくさんの機能が備わっているため,文献テンプレートの最後の作業がリストの作成であるとはいえないのですが,文書作成にあまりWordを利用していない(フリーズがこわい...)(=BunsoにはWordとの連携機能がありますからWordをお使いの方はぜひ利用してください。私は一太郎を基本的に使っているので一太郎連携がほしいところですが...)という個人的理由もあって,最後の作業はリスト作成ということにします。

リスト作成はまず表画面にして,データ-->リストスタイルの作成ウインドウを選択します。

でてきた画面の「リストのスタイル」タブを押して,赤丸部分を「法学文献.Dfs」にしてください。おそらく下の画面のような関連づけの設定されると思います。そうならない場合はList StyleをDrag&Dropしてこの画面のように設定してください。一度設定して組み合わせを記録ボタンを押せばその組み合わせが記録されます。

次にタブを「共通設定」にしてリスト作成開始ボタンを押します。

すると次のような画面が出てくると思います(データが入っている場合)。あとはコピーしてエディタなどに貼り付けるといろいろなソフトに利用可能な状態になります。

Excel連携について

Bunsoから直接Excelにデータを書き出すことができます。これを利用するためにはExcelのマクロを利用します。Excelに書き出してcsv形式で保存しておけばどんなデータベースソフトにももっていけます。

8. 終わりに

Bunsoは多機能ですから他にも紹介すべき機能は多くあります。しかしそれらの解説はBunsoヘルプの方が優れていると思いますので割愛させていただきます。最後に,このテンプレートの作成にあたり,Bunso作者である佐々木和裕さんには大変お世話になりました。ここに記して感謝申し上げます。

このテンプレートはフリーウエアで転載・改変など一切自由ですが,もしこれよりもいいテンプレートができたら原田大樹までメールをください。多くの方々のアイデアでよりよいテンプレートにしたいと思っています。


最終更新日: 2002年4月15日
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