[16後] 公法総合2

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基本情報

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概要(前半部分のみ)

司法審査制度は,司法裁判所が,具体的事件・争訟において立法・行政の活動などに対して憲法・法令を解釈・適用し,人権を実効的に救済するとともに,憲法秩序の維持や行政の適法性の確保を図るものであって,法の支配の実現のために非常に重要な制度である。

本科目では公法総合1の授業を受けて,まず行政訴訟において「法の支配の原理」ないし「法治行政の原理」がどのような局面で問題とされるかを,「行為形式」(行政立法,行政処分),「裁量」,「行政手続」,「実効性確保」などの理論枠組みに即して学ぶ。

授業形式

判例を主な素材として,双方向・多方向形式により,かつ予習を前提にして行う。

授業内容(前半部分のみ)

1.行政立法の仕組みと法的統制
行政立法すなわち政令・省令などの制定行為に関する法的仕組み,実体的統制法理,事前手続による統制,さらには司法的統制のあり方(行政立法訴訟か付随審査制か)などを検討する。法律と条例の関係の問題もここで扱う。また,裁量基準についてもここで一度触れる。

2.行政行為(行政処分)
行政行為(行政処分)は,現行行政法秩序のキー概念の1つであるとともに,それについては多様な理論が形成されているので,それらを順次検討する。まず,行政行為(行政処分)の行政契約との概念上,機能上の異同,それに関連して,いわゆる取消しと無効の区別(公定力)を扱い,行政行為(行政処分)に関する実体法理として,行政行為の職権取消しおよび撤回に関する法理ならびに付款の法理について検討する。

3.行政手続
適正手続の法理と憲法との関係,行政手続法制定の意義などについて検討したのち,行政手続法が申請に対する処分について定めている仕組み(すなわち審査基準,審査応答義務,理由提示など)および同法が定めている不利益処分に際しての事前手続(すなわち聴聞などの意見陳述手続,聴聞手続に組み込まれている文書閲覧など)について検討する。

4.行政裁量の法的統制
行政裁量の意義(自由裁量と覊束裁量の区別の問題を含む)および行政裁量を統制する仕組みとしての裁量基準について検討したのち,行政裁量の司法審査の問題を,裁判例に即して検討する。

5.行政指導による行政目的の実現とその限界
行政指導は,わが国行政実務においてよく用いられる手段である。そこで,まず行政指導が行政実務の中において果たしている役割を検討し,それを踏まえて行政指導の法的限界について検討する。その際には,行政手続法における行政指導に関する規定が主たる検討素材である。

6.行政規制の実効性の確保
行政に対して国民が負う義務の強制的な実現に関する問題と,国民が行政上の義務を履行しなかった場合の制裁の問題を「行政規制の実効性の確保」として位置づけ,それぞれについて検討する。行政上の義務の強制的実現の方法としては,行政上の強制執行と司法的執行とがあるが,まず前者については,国税徴収法と行政代執行法を素材に,その仕組みを見たあと,それに関連して生じている法的諸問題について検討する。また,司法的執行については,とりわけその許容性について検討する。行政上の制裁としては,伝統的な手法である行政罰の他,近年では,公表や行政サービスの提供の拒否などが用いられるようになり,独自の問題を提起しているので,それについて検討する。

7.情報管理
行政調査は,行政が情報を収集する局面についての法的統制を意識させる概念であり,他方で,情報公開と個人情報保護は,行政が情報を保有・提供する局面についての法的統制を意識させる概念である。
情報公開制度は,国民の「知る権利」を実現するための仕組みであるといわれるが,同時に,政府の活動すなわち行政活動を統制するための仕組みでもある。行政活動を統制するための仕組みとしては,他に事前手続の制度や訴訟制度が存在するが,それでは,情報公開制度はそれらとの比較においてどのような特質を有しているのであろうか。この点に関連づけながら,情報公開制度に関する法的な問題点を取り上げる。また,近年における個人情報保護制度の整備を考慮し,この分野で提起されている諸問題についてもあわせて検討する。

成績評価方法等

筆記試験の成績を基礎として,5点以内の範囲で平常点を加味することがある。
なお,4回以上授業を欠席した場合には,単位を認めない。

リサーチペーパー:無

教材(前半部分のみ)

教科書:
稲葉馨ほか編『ケースブック行政法』(第5版,弘文堂,2014年)

参考書:
参考書:高木光『行政法』(有斐閣,2015年)
この他は授業中に指示する。

到達目標

上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して,上記「概要」記載の成果を得ることである。 憲法及び行政法関係の基礎科目と基幹科目を通じての到達目標については,別に掲載する「京都大学法科大学院の到達目標」(憲法及び行政法)のとおりである。

    

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