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2025年度野村財団・宇宙法研究会

野村財団 社会科学助成「宇宙法の構造分析:多層的・複線的法秩序の観点から」の2025年度研究会を,2025年11月30日(日)に,京都大学大学院法学研究科で開催しました(ハイブリッド開催)。

宇宙活動法改正に関する検討(相川祐太氏[内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 参事官(重要課題担当)付企画官],北小路謙史氏[内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 参事官(重要課題担当)付参事官補佐],大段徹次氏[内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 参事官(重要課題担当)付参事官補佐・宇宙法令専門官(弁護士)])

昨年から改正に関する検討が続いている宇宙活動法の議論状況の現状について,内閣府宇宙開発戦略推進事務局で検討作業を行っている3人の担当者にお越し頂き,現在の法改正の検討状況や課題を説明していただきました。議論の中では,宇宙活動法の現状と問題点,事故が起きた場合の対応,グローバルガバナンスの観点から見た宇宙法の特色などが論点として取り上げられました。

2025年度第4回GTR科研研究会

科学研究費基盤研究B「グローバルツーリズム・オーバーツーリズムへの法的制御の可能性」の2025年度第4回研究会(京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター環境と法ユニット環境法政策セミナー)を,2025年11月29日(土)に,京都大学大学院法学研究科で開催しました(ハイブリッド開催)。

宿泊法の過去・現在・未来──住宅宿泊事業法の追加規制条例(2025年)の速報も踏まえて(渡部友一郎弁護士)

実務のみならず幅広い分野の論文も執筆し,とりわけ観光法に関する実務・理論に精通する弁護士である渡部友一郎先生に,旅館業法・住宅宿泊事業法の沿革や規制の特徴,さらにオーバーツーリズムに対処するための法的方法についてご説明いただきました。とりわけ,住宅宿泊事業法の規制執行の現状や,規制条例の動向は,大変興味深いものでした。討論では,オーバーツーリズムに対する法的制度設計の方法や,規制執行の実効性を確保するための方策等が論点として取り上げられました。

2025年度第3回GTR科研研究会

科学研究費基盤研究B「グローバルツーリズム・オーバーツーリズムへの法的制御の可能性」の2025年度第3回研究会(京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター環境と法ユニット環境法政策セミナー)を,2025年8月4日(月)に,京都大学大学院法学研究科で開催しました(ハイブリッド開催)。

"Overtourism: Towards a Regulatory Framework - Lessons from Austria"(Lorenz Dopplinger 氏)

ウィーン大学法学部から京都大学に招聘外国人研究者として滞在中のDopplinger先生に,オーバーツーリズムのオーストリアにおける状況やその法的対応策,さらには克服すべき法的論点について論じていただきました。オーストリアでもオーバーツーリズム研究はまだ始まったばかりのようでしたが,問題状況と対応策を体系的に示してくださる刺激的な内容でした。

2025年度第2回GTR科研研究会

科学研究費基盤研究B「グローバルツーリズム・オーバーツーリズムへの法的制御の可能性」の2025年度第2回研究会(京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター環境と法ユニット環境法政策セミナー)を,2025年8月2日(土)に,京都大学大学院法学研究科で開催しました(ハイブリッド開催)。

「訪日市場の現在地と『国の光』―日本らしい滞在の追求の果てに出会う『法』―」(国土交通省都市局都市計画課企画専門官  丹下 涼 氏)

観光庁での勤務経験が長い国土交通省の丹下さんに,日本の観光政策の展開や,現在の政策課題,さらには観光と法の接点について幅広くかつ詳細にお話し頂きました。観光のさまざまな側面が改めて浮き彫りになり,考えるべき点も多いことを実感しました。

2025年度第1回GTR科研研究会

2025年6月15日(日)に京都大学大学院法学研究科で,2025年度第1回GTR(グローバルツーリズム・オーバーツーリズムへの法的制御の可能性)科研研究会を開催しました。

今回は,科研初回のキックオフミーティングということで,研究代表者・分担研究者の全員がオンサイトで参加して,観光に関する法的課題の現状認識や,今後の研究で深めるべき方向性を協議しました。

研究初年度となる今年度は,研究協力者や観光法に関する実務経験が豊富な方々をゲストスピーカーとしてお迎えし,観光法政策に関する法的課題の正確な把握に努めたいと思います。

2023年度第5回GNL科研研究会

科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2023年度第5回研究会[総括シンポジウム](研究代表者主催)を,2024年3月2日(土)に京都大学大学院法学研究科・オンラインで開催し,分担研究者等27名が参加しました。

○「Digitale Verwaltung in Deutschland(ドイツにおけるデジタル行政)」 (Timo Rademacher, Universität Hannover)

デジタル化の推進とドイツ基本法の「混合行政の禁止」との関係や,行政の統一性とデジタル化との関係,さらにデジタル化と現場(ローカル)との関係などのさまざまな観点から,ドイツのデジタル化及びその進行状況と,これに対応する法理論の現状が紹介されました。質疑では,デジタル化と費用負担の問題や,連邦制・地方自治と行政のデジタル化との緊張関係,デジタルディバイドへの対応策,行政サービスと地方自治との関係などが扱われました。

○「The Guarantee of Local Self-government in Globalization(グローバル化の中の地方自治の保障)」(Hans Christian Röhl, Universität Konstanz)

グローバル化と国家との関係や,ドイツにおける地方自治保障の日本と比較した特色を紹介した後に,グローバル化が地方自治に与える影響と地方自治を保障する州の立法者の役割や地方自治による民主的な地域統合の可能性,あるいは地方自治とEU,標準化,行政ネットワーク,ガバナンスとの関係が幅広く論じられました。質疑では,地方自治と民主政の関係,連邦制との関係,地方自治体の環境政策と国家・グローバルな政策の関係などが扱われました。

公共部門法の組織と手続

公共部門法の組織と手続』と題する論文集を,東京大学出版会より出版させていただきました。

本書は,国家がこれまで担ってきた作用が私人に委ねられたり(複線化),国際機構や自治組織に拡散したり(多層化)する現状を『多元的システム』の概念で把握した上で,行政法学の変容可能性を主として制度設計論の観点から模索した『公共制度設計の基礎理論』,訴訟の局面に着目した『公共紛争解決の基礎理論』の続編として,行政組織法・行政手続法の分野でこのような見方を採用した場合にどのような理論的変革が要請されるかを検討したものです。また,『自主規制の公法学的研究』(有斐閣・2007年)及び『行政法学と主要参照領域』(東京大学出版会・2015年)と併せ,時代の要請に対応して変容する行政法学の理論状況をさまざまな切り口から描くことを目指しています。

本書『公共部門法の組織と手続』は,第1部「公共部門の多層性」と第2部「公共部門の複線性」の2つの軸から成り立っており,合計20章で構成されています。第1部では,グローバルレベル・国家レベル・ローカルレベルに分けて,多層性がもたらす組織法・手続法的な変容可能性を,総論的考察から各論的分析の順に展開しています。第2部では,グローバル化と同時に進行し,今後の行政法学に極めて大きな波及効果をもたらすことが予想される情報通信技術の発展を主題として取り上げ,その中でも特に法的な議論が多い個人情報保護の問題を接続させています。

本書は,日本証券奨学財団の出版助成を得て刊行されました。また,本書の企画・編集にあたっては,東京大学出版会の山田秀樹さんと晴山秀逸さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。


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2023年度第4回GNL科研研究会

科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2023年度第4回研究会(グローバル実証チーム主催)を,2024年2月10日(土)に東京大学社会科学研究所・オンラインで開催し,分担研究者等11名が参加しました。

○「Deference as appeasement or: an avoidance technique in international adjudication」(中島啓・東京大学社会科学研究所准教授)

国際裁判所が国内の機関の政策判断に対して敬譲(Deference)することの意味について,特に判断の立論上の意味を持たない言及が有する機能を分析する報告でした。その後の質疑応答では,敬譲の理論的位置付け(記述的な議論なのか規範的な議論なのか),コミティとの相違,敬譲否定論との帰結の違いなど,さまざまな観点から活発な議論が行われました。

2023年度第3回GNL科研研究会

科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2023年度第3回研究会(ローカル実証チーム主催)を,2024年1月27日(土)にオンラインで開催し,分担研究者等14名が参加しました。

○「環境法における正統化の問題」(谷遼大・獨協大学法学部地域総合研究所特任助手)

ドイツにおける民主政的正統化論の議論をベースに,参加による正統化と行政裁判権の正統化という2つの柱から,環境団体訴訟の許容性に関する法的議論を展開する内容でした。その後の質疑応答では,「参加」と「利益」の関係,ヨーロッパ化のドイツ国内公法学への影響,ドイツの正統化の議論の日本法への応用可能性,環境団体訴訟の制度設計論・規範的な根拠付けの可能性,デジタル化・グローバル化と「参加」の概念等,さまざまな観点から活発な議論が行われました。

2023年度第2回GNL科研研究会

科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2023年度第2回研究会(研究代表者主催)を,2023年12月9日(土)・10日(日)にオンラインで開催し,分担研究者等19名が参加しました。

今回の研究会では,本科研のまとめとして出版する予定の研究書に掲載する論文の構想を報告して頂き,意見交換しました。1人30分程度であったものの,多様なテーマや新たな議論が多く提示され,非常に刺激的でした。

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