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公共部門法の組織と手続

公共部門法の組織と手続』と題する論文集を,東京大学出版会より出版させていただきました。

本書は,国家がこれまで担ってきた作用が私人に委ねられたり(複線化),国際機構や自治組織に拡散したり(多層化)する現状を『多元的システム』の概念で把握した上で,行政法学の変容可能性を主として制度設計論の観点から模索した『公共制度設計の基礎理論』,訴訟の局面に着目した『公共紛争解決の基礎理論』の続編として,行政組織法・行政手続法の分野でこのような見方を採用した場合にどのような理論的変革が要請されるかを検討したものです。また,『自主規制の公法学的研究』(有斐閣・2007年)及び『行政法学と主要参照領域』(東京大学出版会・2015年)と併せ,時代の要請に対応して変容する行政法学の理論状況をさまざまな切り口から描くことを目指しています。

本書『公共部門法の組織と手続』は,第1部「公共部門の多層性」と第2部「公共部門の複線性」の2つの軸から成り立っており,合計20章で構成されています。第1部では,グローバルレベル・国家レベル・ローカルレベルに分けて,多層性がもたらす組織法・手続法的な変容可能性を,総論的考察から各論的分析の順に展開しています。第2部では,グローバル化と同時に進行し,今後の行政法学に極めて大きな波及効果をもたらすことが予想される情報通信技術の発展を主題として取り上げ,その中でも特に法的な議論が多い個人情報保護の問題を接続させています。

本書は,日本証券奨学財団の出版助成を得て刊行されました。また,本書の企画・編集にあたっては,東京大学出版会の山田秀樹さんと晴山秀逸さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。


本書の構成と,初出論文との対応関係は以下の通りとなっています。

序章 本書の問題意識

(書き下ろし)

第1部 公共部門の多層性

1 グローバルレベル

第1章 「グローバル化の課題」行政法研究20号(2017年)1-15頁
第2章 「行政法学からみた法多元主義」法哲学会年報2018号(2019年)10-25頁
第3章 「行政法学から見た宇宙法」法学教室497号(2022年)41-45頁

2 国家レベル

第4章 「議会留保理論の発展可能性」法学論叢(京都大学)176巻2=3号(2014年)328-347頁
第5章 「行政法学から見た国家管轄権論」行政法研究44号(2022年)33-59頁
第6章 「原子力規制委員会・その後」日本エネルギー法研究所月報253号(2018年)1-3頁
第7章 「行政法学から見た不動産登記法(上)(下)」法律時報93巻1号(2021年)92-97頁・2号100-108頁

3 地方レベル

第8章 「地方自治制度の持続可能性」法政研究(九州大学)87巻3号(2020年)883-914頁
第9章 「街区管理の法制度設計―ドイツBID法制を手がかりとして」法学論叢(京都大学)180巻5=6号(2017年)434-480頁
第10章 「地域自治の法制度設計」地方自治848号(2018年)2-32頁
第11章 「行政法学から見た相談支援」法律時報94巻1号(2022年)31-37頁

第2部 公共部門の複線性

1 情報通信技術の進展

第12章 「情報通信技術の展開と行政法(上)(下)」法律時報92巻9号(2020年)118-123頁・10号124-129頁
第13章 「規制戦略論の到達点と課題」法律時報94巻3号(2022年)6-12頁
第14章 「自治体クラウド活用に向けた法的課題」NBL1071号(2016年)13-23頁
第15章 「情報通信技術と政府間関係」都市問題107巻7号(2016年)44-52頁
第16章 「理由提示の現代的意義と課題」自治研究98巻3号(2022年)77-96頁・4号103-123頁・6号101-125頁

2 個人情報の保護と利用

第17章 「デジタル時代の地方自治の法的課題」地方自治884号(2021年)2-26頁
第18章 「ビッグデータ・オープンデータと行政法学」法学教室432号(2016年)39-45頁
第19章 「社会福祉サービス提供と個人情報保護」都市問題110巻2号(2019年)73-80頁
第20章 「個人情報保護法改正と地方自治」自治総研516号(2021年)1-18頁

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