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paco Home>ernst>2024年2月

公共部門法の組織と手続

公共部門法の組織と手続』と題する論文集を,東京大学出版会より出版させていただきました。

本書は,国家がこれまで担ってきた作用が私人に委ねられたり(複線化),国際機構や自治組織に拡散したり(多層化)する現状を『多元的システム』の概念で把握した上で,行政法学の変容可能性を主として制度設計論の観点から模索した『公共制度設計の基礎理論』,訴訟の局面に着目した『公共紛争解決の基礎理論』の続編として,行政組織法・行政手続法の分野でこのような見方を採用した場合にどのような理論的変革が要請されるかを検討したものです。また,『自主規制の公法学的研究』(有斐閣・2007年)及び『行政法学と主要参照領域』(東京大学出版会・2015年)と併せ,時代の要請に対応して変容する行政法学の理論状況をさまざまな切り口から描くことを目指しています。

本書『公共部門法の組織と手続』は,第1部「公共部門の多層性」と第2部「公共部門の複線性」の2つの軸から成り立っており,合計20章で構成されています。第1部では,グローバルレベル・国家レベル・ローカルレベルに分けて,多層性がもたらす組織法・手続法的な変容可能性を,総論的考察から各論的分析の順に展開しています。第2部では,グローバル化と同時に進行し,今後の行政法学に極めて大きな波及効果をもたらすことが予想される情報通信技術の発展を主題として取り上げ,その中でも特に法的な議論が多い個人情報保護の問題を接続させています。

本書は,日本証券奨学財団の出版助成を得て刊行されました。また,本書の企画・編集にあたっては,東京大学出版会の山田秀樹さんと晴山秀逸さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。


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2023年度第4回GNL科研研究会

科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2023年度第4回研究会(グローバル実証チーム主催)を,2024年2月10日(土)に東京大学社会科学研究所・オンラインで開催し,分担研究者等11名が参加しました。

○「Deference as appeasement or: an avoidance technique in international adjudication」(中島啓・東京大学社会科学研究所准教授)

国際裁判所が国内の機関の政策判断に対して敬譲(Deference)することの意味について,特に判断の立論上の意味を持たない言及が有する機能を分析する報告でした。その後の質疑応答では,敬譲の理論的位置付け(記述的な議論なのか規範的な議論なのか),コミティとの相違,敬譲否定論との帰結の違いなど,さまざまな観点から活発な議論が行われました。

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