2022年度第3回GNL科研研究会
科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2022年度第3回研究会(グローバル実証チーム主催)を,2022年8月6日(土)にオンライン(ZOOM)で開催し,分担研究者等15名が参加しました。
○米国仲裁機関によるクラス仲裁手続について(会沢恒・北海道大学大学院法学研究科教授)
クラスアクションに相当する集合的な仲裁手続であるクラス仲裁について,米国における発展と現状が紹介されました。クラス仲裁は現時点では,裁判所の消極姿勢にも影響されて,それほど使われているとは言えないようですが,個別仲裁を束ねるやり方が広がっているため,復権するかのうせいがあるとのことでした。質疑では,クラスアクションがあるのにクラス仲裁が導入された理由について,あるいはクラス仲裁が公開を求めていることの趣旨について議論が交わされました。
○グローバル企業の社会的責任と投資仲裁(伊藤一頼・東京大学大学院法学政治学研究科)
投資家保護のために発展してきた投資仲裁が,近時,企業の社会的責任に関する考え方を背景に,受入国側からの反訴や投資家の過失に着目した過失相殺によって,投資家の責任を追及するツールになりつつある状況が紹介されました。投資仲裁の水平化がよいのか,それとも国家と投資家の不対等構造を前提とした投資仲裁の機能を維持すべきかが議論されました。
2022.08.06 | Comments(0) | Trackback(0)