第3回ERG科研研究会
科学研究費基盤研究B「政策実現過程のグローバル化に対応した法執行過程・紛争解決過程の理論構築」(ERG科研) の第3回研究会を同志社大学司法研究科で開催しました。
【3月29日(水)】
○「独占禁止法におけるベスト・プラクティスと『アウトソーシング』」(中川晶比兒・北海道大教授)
行政機関の国際ネットワークの具体例として言及されるICNや,域外適用の問題でかならず引き合いに出される独禁法の適用問題を中心とする報告をして頂きました。競争法領域と他の領域の構造的な違いがよくわかりました。
○「租税・財政・金融分野におけるグローバル化と法執行の現状」(藤谷武史[研究分担者])
BEPSの問題で国際的な執行協力の枠組が加速しつつある国際租税法を中心に,法執行におけるグローバル化の現状とそれによって生じる新たな法的課題への対応が議論されました。
【3月30日(木)】
○「法的・政治的現象としてのドイツ帝国」(大西楠テア[研究分担者])
トリーペルの議論から,今日の公法学にも通じる方法論的課題やグローバル化の法的把握のヒントを得ようとする意欲的な報告でした。
このほか,今年度・来年度の活動に関する調整や,研究成果報告の方法についても活発な議論が行われました。
2017.03.30 | Comments(0) | Trackback(0)
行政法クロニクル
本日発売の法学教室2017年4月号(439号)から2年間の予定で,行政法の連載を担当することとなりました。
連載は「行政法クロニクル」と題して,行政法理論の近時の変容とその方向性を展望することを目的としています。かつて行政法学の通説と呼ばれた田中二郎先生の体系と,現在の基本書がとっている説明との間には,かなり大きな差があります。他方で,実務や公務員試験の世界では,なお田中説の影響と思われる議論や概念が残っています。そこで,現在の行政法理論に田中二郎説がどの程度の影響を残し,あるいは残していないのかを,田中二郎説において重要な概念・議論と位置付けられてきた項目を取り上げながら説明するのが,この連載の中心的な課題です。
第1回は「行政の概念」を取り上げており,田中二郎説の内容(I. 原像)と現在の行政法の基本書の説明(II. 現状)を対比させた上で,その差異が生まれた背景事情を説明し(III. 架橋),今後の行政の概念をめぐる議論の可能性を模索する(IV. 展望)こととしています。
なお,現在のところ,以下の項目について順次取り上げることを予定しています。
○2017年度
・行政の概念(4月号)
・行政法と民事法(5月号)
・法律と条例(6月号)
・行政行為論と行為形式論(7月号)
・行政裁量(8月号)
・行政行為の分類(9月号)
・契約と行政行為(10月号)
・行政行為の効力(11月号)
・行政行為の無効と取消(12月号)
・行政行為の取消と撤回(1月号)
・行政立法と行政基準(2月号)
・行政上の義務履行確保(3月号)
○2018年度
・国家賠償(4月号)
・損失補償(5月号)
・行政審判(6月号)
・当事者訴訟(7月号)
・取消訴訟の審理と判決効(8月号)
・取消訴訟の訴訟要件(9月号)
・仮の救済(10月号)
・行政委員会(11月号)
・道州制と圏域構想(12月号)
・独立行政法人論と行政主体論(1月号)
・公物と私法秩序(2月号)
・行政法各論と参照領域論(3月号)
2017.03.28 | Comments(0) | Trackback(0)