[20後] 行政法(総論)

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基本情報

授業の概要・目的

この授業では,行政側が一定の政策目的を実現するために私人に対してさまざまな働きかけを行う際に遵守すべき法的ルール(行政作用法総論)を学ぶ。併せて,その前提として,行政組織がどのような法的考え方に従って構成され,現在の国家・地方行政組織がどう構築されているかという問題(行政組織法)についても取り上げることとする。

この授業の目的は,次の3点にまとめられる。第1は,社会認識の眼を養うことである。行政法と日常生活とは深い関係があり,行政法を学ぶことでこの社会のあり方を理解することができる。第2は,行政と市民とのフェアな関係を構築するにはどのようなルールが必要かを考えることである。行政法関係の大きな特徴は,一方当事者である行政に権力性をはじめとする大きな力が認められていることであり,それゆえもう一方の当事者である市民の立場を強化するためのルールが不可欠である。第3は,社会のしくみを作り替えていく(公共制度設計)手法を学ぶことである。社会問題の多くは法的なしくみの作り方に問題を抱えており,行政法を学ぶことで,その問題の原因がどこにあり,どのような法制度を設計すれば解決できそうかを考える有力な手がかりを得ることができる。

到達目標

具体的な政策課題や法的紛争について,その解決に関係している個別の行政法規を特定し,行政作用法総論の知識を使って条文の解釈論や,あるべき法制度設計論を提示できる能力を身につけること。

授業計画と内容

現段階での授業計画は以下の通りである(開講時までに変更する可能性がある)。

【はじめに: 行政法の基礎理論】
第1回 行政法の基本構造
第2回 行政法の基本概念
第3回 法律による行政の原理

【I. 行政法の法源】
第4回 行政法の法源(1)法律
第5回 行政法の法源(2)条例
第6回 行政法の法源(3)法の一般原則
第7回 行政法の法源(4)条約と国際基準
第8回 行政法と民事法(1)民事法の適用可能性
第9回 行政法と民事法(2)私法秩序と公法規律

【II. 行政組織の基礎】
第10回 行政組織の基礎
第11回 国家行政組織
第12回 地方行政組織・公務員法の基礎

【III. 行政過程の基盤】
第13回 行政過程と手続
第14回 行政情報の収集
第15回 行政情報の管理
第16回 行政情報の公開

【IV. 行政活動の諸形式】
第17回 行政過程と行為形式論
第18回 行政基準
第19回 行政計画
第20回 行政行為(1)行政行為の概念・効力
第21回 行政行為(2)行政行為の手続ルール
第22回 行政行為(3)行政行為の実体ルール
第23回 行政行為(4)行政行為の裁量と附款
第24回 行政契約
第25回 行政指導

【V. 行政の実効性確保】
第26回 行政上の義務履行強制
第27回 義務違反に対する制裁

【まとめ】
第28回 まとめ
期末試験
第29~30回 フィードバック期間

履修要件

2021年度前期に開講される行政法(行政訴訟)及び同年度後期に開講される行政法(国家補償)と併せて受講することが望ましい。
この授業の理解を深める上では,憲法(統治機構),民法(総論・総則・親族)を受講したか,並行して受講することが望ましい。

成績評価の方法・基準

期末試験(110分)による。

教科書

大橋洋一『行政法Ⅰ 現代行政過程論[第4版]』(有斐閣・2019年)

原田大樹『例解 行政法』(東京大学出版会・2013年)

大橋洋一=斎藤誠=山本隆司編『行政法判例集1 総論・組織法』(有斐閣・2013年)

参考書等

原田大樹『演習 行政法』(東京大学出版会・2014年)

原田大樹『現代実定法入門』(弘文堂・2017年)

原田大樹『グラフィック行政法入門』(新世社・2017年)

このほかについては,授業中に紹介する。

授業外学習(予習・復習)等

KULASIS及びwebサイトで,予習課題・復習課題を配布する。詳細は第1回授業時に説明する。

その他

【カリキュラム改正に伴う注意事項】
本科目(行政法(総論))は,平成31年度まで開講の行政法第一部と同一科目である。既に行政法第一部の単位を修得している場合には,本科目の単位を修得しても,卒業に必要な単位としては認められない。
2021(令和3)年度以降は,本科目は,2回生以上配当科目として後期に開講予定である。

※オフィスアワー実施の有無は,KULASISで確認してください。

    

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