文型と動詞の結合価

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英語にはSV,SVC,SVO,SVOO,SVOCの5つの基本文型がありますが,ドイツ語にも文型があります。ここでは基本的な文型を概観し,さらに,意味を維持しながら文型・結合価を変更する方法についても見ていきます。

[中級] 基本的な文型

ドイツ語の文型はどのような補足語がいくつ必要かによって分類されます。それを決めるのは動詞であり,この機能を動詞の結合価(Valenz)と呼びます。

SV

英語と同じく主語と動詞だけで成り立つ文型がドイツ語にもあります。ドイツ語では非人称のesを用いた文以外は必ず主語を必要とします。

Er weint. (彼は泣いています。)

非人称のesが使われると,文から主語がなくなります。例えばEs regnet.(雨が降ります。)のesは主語ではありません。

英語ではSVCを第2文型として取り扱いますが,ドイツ語の場合には双方が1格となるコプラ動詞となるので,文型に含めないことが通常です。

SVO,SVU

主語の他にもう一つの要素が補足語として必要になるタイプの文型です。SVOが代表的ですが,英語と異なりOには2・3・4格目的語や前置詞格目的語が来ます。また目的語ではない副詞的要素(状況語(U)と呼ばれます)を必須とする動詞もあります(最近は英語の辞書の中でもこうした要素を取り上げて基本文型(例:SVM,SVOM)に含めるものが出てきています)。

[4格目的語]
Ich höre Mozart. (私はモーツアルトを聞きます。)
[3格目的語]
Ich helfe Ihnen. (私はあなたを助けます。)
[2格目的語]
Ich bedarf des Gerätes. (私はこの装置を必要とします。)
[前置詞格目的語]
Er achtet auf ein Auto. (彼は車に気をつけています。)
[状況語]
Ich wohne in Fukuoka. (私は福岡に住んでいます。)

SVOO,SVOP,SVOU

主語,目的語の他にもう一つの要素が補足語になる動詞があります。英語ではSVOO,SVOC等がこれに相当します。ここでいう目的語には2・3・4格目的語と前置詞格目的語がやはり含まれます。さらに状況語が補足語になる場合もあり,また目的語補語(P)が必要になる動詞もあります。

[+4格目的語]
Ich frage Sie diesen Punkt. (私はあなたにその点を質問します。)
[+3格目的語]
Ich zeige dir mein Zimmer. (私は君に私の部屋を見せます。)
[+2格目的語]
Der Staatsanwalt klagte sie des Diebstahls an. 
(検察官は彼女を盗みで起訴しました。)
[+前置詞格目的語]
Ich bitte Sie um Geduld. (我慢してください。)
[+状況語]
Ich verlegte meinen Wohnsitz nach Konstanz. 
(私は住居をコンスタンツに移しました。)
[+目的語補語]
Ich finde das Buch praktisch. (私はその本は実用的だと思います。)

上記は4格目的語との結合でしたが,3格目的語との結合の例もあります。例えば英語のthankにあたるdanken(感謝する)は人の3格目的語とfür+4格(事柄)をとります(例:Ich danke Ihnen für Ihre große Hilfe.)。

[上級] 結合価の変更

動詞の結合価は様々な方法で変更することができます。同意文を作る際にこの知識が役立ちます。

結合価の削減

動詞が必要とする補足語の数を減らすことを結合価の削減といいます。最も典型的なのは受動態です。受動態はもともとSVOのように2つの補足語を必要とする文をSVの形に書き換えるものです(行為者はvon+3格などで表せますが,これを表さなくても文として成立します)。他にも分離前綴りを使う,再帰動詞を使うなどの方法があります。

結合価の拡張

動詞が必要とする補足語の数を増やすことを結合価の拡張といいます。使役動詞や機能動詞を使う,自動詞に前綴り(とりわけbe-)をつけるなどの方法が代表的です。

    

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