[19後] 公法総合2

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概要(前半部分のみ)

司法審査制度は,司法裁判所が,具体的事件・争訟において立法・行政の活動などに対して憲法・法令を解釈・適用し,人権を実効的に救済するとともに,憲法秩序の維持や行政の適法性の確保を図るものであって,法の支配の実現のために非常に重要な制度である。

本科目では公法総合1の授業を受けて,まず行政訴訟において「法の支配の原理」ないし「法治行政の原理」がどのような局面で問題とされるかを,「行為形式」(行政立法,行政処分),「裁量」,「行政手続」,「実効性確保」などの理論枠組みに即して学ぶ。

授業形式

判例を主な素材として,双方向・多方向形式により,かつ予習を前提にして行う。

授業内容(前半部分のみ)

1.⾏政⽴法の仕組みと法的統制
⾏政⽴法すなわち政令・省令などの制定⾏為に関する法的仕組み,実体的統制法理,事前⼿続による統制,さらには司法的統制のあり⽅を検討する。法律と条例の関係の問題もここで扱う。また,裁量基準についてもここで⼀度触れる。

2.⾏政⾏為(⾏政処分)
⾏政⾏為(⾏政処分)は, 現⾏⾏政法秩序のキー概念の1つであるとともに,それについては多様な理論が形成されているので,それらを順次検討する。まず,⾏政⾏為(⾏政処分)の概念・効⼒,それに関連して,いわゆる取消しと無効の区別(公定⼒)を扱い,⾏政⾏為(⾏政処分)に関する実体法理として,⾏政⾏為の職権取消しおよび撤回に関する法理について検討する。

3.⾏政⼿続
適正⼿続の法理と憲法との関係,⾏政⼿続法制定の意義などについて検討したのち,⾏政⼿続法が申請に対する処分について定めている仕組み(審査基準,審査応答義務,理由提⽰など)および同法が定めている不利益処分に際しての事前⼿続(聴聞などの意⾒陳述⼿続,聴聞⼿続に組み込まれている⽂書閲覧など)について検討する。

4.⾏政裁量の法的統制
⾏政裁量の意義(⾃由裁 量と覊束裁量の区別の問題を含む)および⾏政裁量を統制する仕組みとしての裁量基準について検討したのち,⾏政裁量の司法審査の問題を,裁判例に即して検討する。

5.⾏政指導による⾏政⽬的の実現とその限界
⾏政指導は,わが国⾏政実務においてよく⽤いられる⼿段である。そこで,まず⾏政指導が⾏政実務の中において果たしている役割を検討し,それを踏まえて⾏政指導の法的限界について検討する。その際には,⾏政⼿続法における⾏政指導に関する規定が主たる検討素材である。

6.⾏政規制の実効性の確保
⾏政に対して国⺠が負う義務の強制的な実現に関する問題と,国⺠が⾏政上の義務を履⾏しなかった場合の制裁の問題を「⾏政規制の実効性の確保」として位置づけ,それぞれについて検討する。⾏政上の義務の強制的実現の⽅法としては,⾏政上の強制執⾏と司法的執⾏の双⽅を扱う。⾏政上の制裁としては,伝統的な⼿法である⾏政罰の他,近年では,公表や⾏政サービスの提供の拒否などが⽤いられるようになり,独⾃の問題を提起しているので,それについても検討する。

7.情報管理
情報公開制度は,国⺠の「知る権利」を実現するための仕組みであるといわれるが,同時に,政府の活動すなわち⾏政活動を統制するための仕組みでもある。また,マイナンバー制度やオープンデータに代表される個⼈情報保護制度の近時の変容を踏まえ,この分野で提起されている諸問題についてもあわせて検討する。

成績評価方法等

筆記試験の成績を基礎として,5点以内の範囲で平常点を加味することがある。
なお,4回以上授業を欠席した場合には,単位を認めない。

リサーチペーパー:無

教材(前半部分のみ)

教科書:
稲葉馨ほか編『ケースブック行政法』(第6版,弘文堂,2018年)
高木光『行政法』(有斐閣,2015年)

参考書:

原⽥⼤樹 『例解 ⾏政法』(東京⼤学出版会,2013年)
原⽥⼤樹『演習 ⾏政法』(東京⼤学出版会,2014年)

この他は授業中に指示する。

到達目標

上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して,上記「概要」記載の成果を得ることである。 憲法及び行政法関係の基礎科目と基幹科目を通じての到達目標については,別に掲載する「京都大学法科大学院の到達目標」(憲法及び行政法)のとおりである。

    

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