夏休み

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1. 否定疑問文・zu不定詞

もうすぐ夏休みです。2人は夏休みの計画について話しています。

Hirokazu: Wir haben bald Sommerferien. Hast du schon Pläne?
Tomonori: Ja, ich spiele jeden Tag Tennis. Machst du keinen Sport?
Hirokazu: Doch. Ich schwimme jeden Tag.
Tomonori: Hast du Lust eine Reise zu machen?
Hirokazu: Nein, ich habe keine Lust eine Reise zu machen. Ich habe kein Geld.

はじめに日本語訳を確認しておきましょう。

宏和: もうすぐ夏休みだね。すでに何か計画はある?
智紀: うん,僕は毎日テニスをするよ。君はスポーツはしないの?
宏和: いや,するよ。毎日水泳するよ。
智紀: 旅行するつもりはあるの?
宏和: いや,旅行するつもりはないね。お金がないから。

否定疑問文

日本語でも「今日は遊びに行かないの?」と否定の形で疑問文を作ることがあります。日本語の場合には相手の言ったことを基準にはい・いいえを決めるので,相手が言った通り遊びに行か「ない」,つまり否定の内容のときに「はい」,逆に相手の言ったこととは逆に遊びに行く,つまり肯定の内容のときに「いいえ」となります。

これに対して英語やドイツ語では,相手の言ったことを基準にするのではなく,その命題が肯定か否定かでYes・Noを決めます。ただドイツ語の場合には否定疑問文の答えは通常のJa・Neinではなく,Nein・Dochとなります。上の会話でも

Tomonori: Machst du keinen Sport?
Hirokazu: Doch. Ich schwimme jeden Tag.

という表現があります。智紀は否定疑問文で聞いています。ドイツ語の場合には「スポーツをする」という命題を基準に,それを否定する「スポーツをしない」という答えならばNein(Nein, ich mache kein Sport.),逆に「スポーツをする」ならば相手方の否定の言明をさらに打ち消すニュアンスがあるDochを使うことになります。

[会話のヒント] スポーツをするの「する」はドイツ語ではmachenまたはtreibenを用います。

zu不定詞

英語のto不定詞にあたるのがドイツ語のzu不定詞です。機能は非常によく似ています。

[名詞的用法]
It is difficult to answer the question. (この質問に答えるのは難しいです。)
→ Es ist schwierig[,] diese Frage zu antworten.
[形容詞的用法]
Do you have something to eat? (何か食べ物はありますか。)
→Haben Sie etwas zu essen?
[副詞的用法]
I go there to study German. (私はドイツ語を勉強するためにそこに行きます。)
→Ich gehe dort[,] um Deutsch zu lernen.

英語との違いもあります。まず,zu不定詞句の中でのzu不定詞の位置が,最後に来ていることです。英語ではto+動詞の原形からto不定詞句がスタートしますが,ドイツ語は反対になっています。またドイツ語では,zu不定詞句の前にコンマを打つことがあります(旧正書法ではほとんどの場合にコンマを打っていました。新正書法ではコンマを打つかどうかは書き手の自由にかなり委ねられています)。さらに,副詞的用法については,英語ではto不定詞だけでもその意味を表せますが,ドイツ語では必ずその前に前置詞・副詞が必要です。「~のために」ならばum...zu不定詞,「~なしに」ならばohne zu 不定詞という形がとられます。

発展学習のために

2. 動詞の三基本形・過去と現在完了

Tadashi: Hast du das Kurosaki-Gion-Fest gesehen?
Hirokazu: Ja, es hat wirklich Spaß gemacht.
Tadashi: Ich hatte leider keine Zeit um das Fest zu sehen. Ich habe es nicht gesehen.
Hirokazu: Das ist schade. Aber vielleicht kannst du ein anders Mal das Kurosaki-Gion sehen.
Tadashi: Wirklich?
Hirokazu: Ja, bei dem Wasshoi-Fest kann man wieder das Kurosaki-Gion sehen.

日本語訳は次の通りです。

正: 黒崎祇園は見た?
宏和: うん,とても楽しかったよ。
正: 残念ながら黒崎祇園をみる時間がなかったよ。黒崎祇園は見ていないよ。
宏和: それは残念だね。でもおそらくもう一度黒崎祇園を見ることができるよ。
正: 本当?
宏和: うん,わっしょい百万夏祭りでもう一度黒崎祇園を見ることができるよ。

動詞の三基本形

上記の会話の中には過去のことを表現している部分がかなり出てきます。英語では過去のことは過去形で表現しますが,ドイツ語では過去形と現在完了形の2つが使われます。その前提として,動詞の原形・過去基本形・過去分詞の3つの形の作り方を押さえておく必要があります。

まず規則変化からです。英語の場合の規則変化は,過去形も過去分詞も-edを付けることになります(play-played-played)。これに対してドイツ語では過去形と過去分詞の作り方が違います。

[不定詞] 語幹 +en → [過去基本形] 語幹 +te →[過去分詞] ge + 語幹 + t

例えばlernen(習う)はlernte,[hat] gelerntとなります。三基本形を覚えるときは,sein支配かhaben支配かも一緒に覚えるとよいです。これについては次で説明します。

これに対して不規則変化をする動詞もかなりあります。英語と同じく音で覚えることが重要です。

過去形・現在完了形

ドイツ語の過去形では,現在形とはやや異なる人称変化の仕方をします。これは既に出てきた話法の助動詞の人称変化と同じです。

過去基本形(不定詞)wohnte(wohnen)war(sein)hatte(haben)
ich wohnte war hatte
du wohntest warst hattest
er/sie/es wohnte war hatte
wir wohnten waren hatten
ihr wohntet wart hattet
sie/Sie wohnten waren hattet

ポイントは1人称単数と3人称単数で形が同じになるところにあります。また現在人称変化と比べると-teの音が語尾に含まれている点が異なります(例: Sie wohnen→Sie wohnten)。

しかしドイツ語の過去形は,一部の動詞(sein,haben,話法の助動詞など)を除くと,特に口語ではあまり使われません。むしろドイツ語では過去の内容を現在完了形で表すことが多いです。今回の会話文にも次のような例が見られます。

Hirokazu: Ja, es hat wirklich Spaß gemacht. [現在完了形]
Tadashi: Ich hatte leider keine Zeit um das Fest zu sehen. [過去形]

現在完了形は次のようにして作ります。

[haben支配] habenの定形+...+過去分詞
[sein支配] seinの定形+...+過去分詞

動詞の大半はhaben支配ですが,sein支配になるものとして,場所の移動を表すもの(gehen,kommenなど),状態の変化を表すもの(wachsen,werdenなど),それ以外(sein,bleibenなど)があります。動詞を辞書で引くとhaben支配には[h],sein支配には[s]の表示が出ているので,出てくるごとに確認することが大切です。

発展学習のために

3. 授与動詞

Hirokazu&Tomonori&Tadashi: Herzlichen Glückwunsch zum Geburtstag!
Yumiko: Danke! Kommt herein!
Tomonori: Wir haben jeder ein Geschenk für dich.
Hirokazu: Die Blumen sind für dich!
Yumiko: Danke!
Tadashi: Ich schenke dir eine CD.
Yumiko: Danke!
Tomonori: Und das Buch ist auch für dich!
Yumiko: Danke! Vielen Dank!

日本語訳を確認してみましょう。

宏和・智紀・正: 誕生日おめでとう!
由美子: ありがとう! 中に入って!
智紀: 僕たちはそれぞれ誕生日プレゼントを持ってきたよ。
宏和: この花を君に!
由美子: ありがとう!
正: 僕はこのCDをプレゼントするよ。
由美子: ありがとう!
智紀: 僕はこの本をプレゼントするよ。
由美子: ありがとう! ありがとう!

英語のHappy Birthday!にあたるのが"Herzlichen Glückwunsch zum Geburtstag!"です。よく使われるので覚えておくとよいと思います。誕生日にプレゼントを贈るのは日本もドイツも同じですが,ドイツでは誕生日のケーキは自分で焼く(ないし調達する)ことが一般的です。祝われる人がパーティーを主催するというのは,誕生日に限らず広くドイツでは見られるようです。

授与動詞

英語のSVOOにあたるドイツ語の文型が今回出てきています。

Ich schenke dir eine CD.

schenkenは「人(3格)に物(4格)を贈る」という意味の動詞です。辞書で動詞を引くと,動詞がどのような要素を必要とするかが書かれています。一部の辞書では人についてはjs(2格)/jm(3格)/jn(4格),物についてはet2/et3/et4のように表示してあります。

次に語順に注目して下さい。上の文では3格→4格という順番になっています。ドイツ語では英語と異なり,語順で文法的な機能を特定することがあまりありません。逆に名詞の格を冠詞で表すことで文法上の機能を特定しています。そこで3格→4格という順番にしなくても文法的には問題がないはずなのですが,ドイツ語では一般的に3格の目的語が4格の目的語よりも前に置かれる傾向があります。ただし,どちらかが代名詞になると代名詞が先に置かれます(今回は3格が代名詞にもなっており,このルールから見てもdirが前ということになります)。

[中級] 3格・4格ともに代名詞になった場合には4格→3格の順番になります。

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