あなたのお名前は?

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1. 基本的な挨拶・名前の言い方

宏和くんと智紀くんは今年黒崎大学に入学した1年生です。2人ともドイツ語を第2外国語にしています。2人は大学で初めて知り合いました。2人ともドイツ語に興味があるようで,さっそくドイツ語を使っています。

Hirokazu: Hallo! Ich bin Hirokazu. Und wie heißt du?
Tomonori: Ich heiße Tomonori. Wie geht's?
Hirokazu: Danke gut, und dir?
Tomonori: Gut, danke!

はじめに日本語訳を確認しておきましょう。

宏和: こんにちは。僕は宏和です。君の名前は?
智紀: 僕は智紀と言います。元気ですか?
宏和: ありがとう,元気です。君は?
智紀: 元気です。ありがとう。

ドイツ語の挨拶

どの言語もスタートは「挨拶」です。まずはドイツ語の代表的な挨拶を覚えましょう。

英語の"Good morning."にあたるのが,Guten Morgen!です。そっくりですね。これは英語とドイツ語が同じゲルマン語に属するからなのです。ほかにも英語との共通点は多く,ドイツ語を学ぶ上で大きな助けになります。Guten Tag!は「こんにちは」ですが,南ドイツ(特にバイエルン)ではGrüß Gott!が時間帯にかかわらず使われます。Guten Abend!は「こんばんは」,Gute Nacht!は「おやすみなさい」という意味になります。しかし上記の会話ではHallo!という挨拶があります。これは英語の"Hello!"よりくだけていて英語の"Hi!"に相当する表現なので,学生同士や店の人との挨拶で主として使われます。目上の人に使うと失礼となるので注意しましょう。

[会話のヒント] 逆に学生同士や店の人との挨拶でGuten Tag!などを使うと違和感がある場合もあります。Guten Tag!などは先生と話す場合やデパートの店員に挨拶する場合,Hallo!は学生同士や同僚同士と話す場合やスーパーの店員に挨拶する場合に頻繁に使われているようです。

英語の"How are you?"にあたる表現がWie geht es Ihnen?/Wie geht's?です。次で説明するように,ドイツ語では「あなた」(2人称)にあたる表現が2つあります。親しい人に対してはdu,そうでない人に対してはSieという使い分けがあります(Sieは常に大文字で書き始めます)。先ほどの表現のうちIhnenはSieが変化した形なので,Wie geht es Ihnen?は丁寧な表現になります。これに対して学生同士の場合には,親しくなくてもはじめからduで話をします。そこで学生同士では後者のWie geht's?(=Wie geht es [dir]?)が使われます。答え方は「Danke, gut.」のようになります。gutは調子がよいという意味ですので,もし調子がよくないのであれば別の表現を使います。

[中級] 敬称2人称のSieは3人称複数のsieを転用したものです。歴史的には2人称複数のihrがはじめは敬称2人称として使われていましたが,現在では3人称複数のsieが使われています。敬称2人称という現象はフランス語やイタリア語あるいは英語(英語にもかつて親称2人称のthouがあり,youはもともとは2人称複数形でした)にも見られます。duとSieの使い分けについてはいくつかのルールがありますが,相手との社会的距離を保つことで敬意を表すのがSieである(これは日本語の敬語でも似ています)と考えるとよいでしょう。HDGでは従来の文法書の説明と平仄を合わせて,duを「君」,Sieを「あなた」と訳していますが,現実の日本語とはニュアンスがずれていることに注意が必要です。duは「君」ほど軽い意味ではなく(同僚・水平関係を含意する表現であり,むしろ「あなた」に近いかもしれません),Sieは日本語では「○○さん(先生)」と呼び掛ける言い方に近いように思われます。子どもとの会話でははじめからduが使われます。大人同士の場合にははじめはSieで話し始め,一定期間が経つと年上・社会的地位が上の人からduでの呼びかけを提案することが一般的のようです。大学における状況についてはこちらをご覧下さい。

[会話のヒント] Wie geht es Ihnen?/Wie geht's?とHow are you?は必ずしも同じとは言えません。英語の場合には,答えとして"Fine."や"Great."など短いフレーズが通常予定されており,しかもたとえ状態が悪くても悪いという答えをすることはあまりありません。しかしドイツ語の場合には,この疑問文は相手方の詳しい現状を尋ねるニュアンスを伴っているため,"Danke, gut. Und Sie/du?" のように自分の状況を簡単に答えて相手に投げ返すことは普通ありません。また,状態が悪い場合には悪い(Nicht gut.など)と答えるのが通例です。

名前の言い方──動詞の現在人称変化

名前の言い方には次の3種類があります。

Mein Name ist Hirokazu Yamada.
Ich bin Hirokazu Yamada.
Ich heiße Hirokazu Yamada.

Mein Name ist~は英語のMy name is~に当たる表現,Ich bin~は英語のI am~に当たる表現です。これに対してheißeはもともとheißenという動詞で,「呼ばれている」「...という名前である」という意味です。

[会話のヒント] 日本人の名前はドイツ人にとっては分かりにくいので,ドイツ人に対して名前を名乗る場合には,まずは姓を言う方が親切です(例えばIch heiße Yamada, Hirokazu Yamada.のように)。ドイツではしばしばNameとVornameという言葉を聞きます。これも非常に紛らわしいのですが,Nameが姓,Vornameが名にあたります。そこで宏和君の場合にはYamadaがName,HirokazuがVornameになります。

ここで動詞「heißen」の語尾に注目して下さい。最初の宏和くんのせりふはWie heißt du?となっていますが,その次の智紀くんのせりふはIch heiße Tomonori Kawai.となっています。ドイツ語では主語の人称がかわると動詞の語尾が変化します。これを「動詞の人称変化」といいます。ドイツ語学習の第一の壁で,なれないと面倒ですが,一度覚えてしまうと結構かんたんなものです。次にその変化表を示します。

代名詞 wohnen(住む) heißen(...という名である)
ich(私は) wohne heiße
du(君は) wohnst heißt
er/sie/es(彼は・彼女は・それは) wohnt heißt
wir(私たちは) wohnen heißen
ihr(君たちは) wohnt heißt
sie(彼らは...)/Sie(あなた[方]は) wohnen heißen

heißenは人称変化でも特殊な形式に入るので,英語のliveにあたる「wohnen」をまずは覚えましょう。太字になっているのが変化語尾とよばれるものです。一方,動詞の変化しない部分を「語幹」といいます。次に代名詞に注目すると,英語との違いが次の2点あります。

発展学習のために

2. 自己紹介の仕方

先生がやってきて授業が始まりました。

Herr Hamano (der Lehrer): Guten Tag! Mein Name ist Koichi Hamano. Ich bin Ihr Lehrer.
Hirokazu: Ich heiße Hirokazu Yamada. Ich bin 18 Jahre alt. Ich studiere Jura und ich gehe in die Kurosaki-Universität. Ich wohne in Kitakyushu aber ich komme aus Kagoshima. Mein Hobby ist Lesen.
Tomonori: Ich bin Tomonori Kawai. Ich bin 19 Jahre alt. Ich studiere Elektrotechnik. Ich gehe auch in die Kurosaki Universität. Ich wohne in Shimonoseki und ich komme aus Shimonoseki. Ich spiele gern Tennis.

日本語訳は次の通りです。

浜野先生: こんにちは。私は浜野浩一といいます。私がみなさんを担当します。
宏和: 僕は山田宏和です。僕は18才です。僕は法律を勉強していて,黒崎大学に通っています。僕は北九州に住んでいますが,鹿児島出身です。僕の趣味は読書です。
智紀:僕は河合智紀です。僕は19才です。僕は電子工学を勉強しています。黒崎大学に通っています。僕は下関に住んでいて,下関出身です。テニスをするのが好きです。

自己紹介

上記の文章には自己紹介の定番の文章が並んでいます。これらは非常によく使います。改めて,表現をまとめてみましょう。

[中級] 専攻・専門分野の表現
英語のMy specialty is ... という表現を直接ドイツ語に置き換えて専攻を表現することは,ドイツ語では一般的ではありません。ドイツ語の-e Spezialitätは名物料理を表すことの方が多いです。専攻・専門を表現する方法として,次のようなものがあります。

副詞gernの使い方

上記の最後の文章の趣味の言い方は文法的にはやや難しいものを含んでいます。まずMein Hobby istは英語のMy hobby isと同じですが,その次のTennis Spielenは不定詞(英語風に言えば原形不定詞)です。英語ではこのような場合には原形不定詞は用いられず,to不定詞または動名詞が使われます。しかしドイツ語では原形不定詞もこのように名詞的に使われることがあります。

次の文章ではIch spiele Tennis.と動詞spielenを使った形がベースになっています(spielenは英語のplayと同じ意味です)。この中に入っているgernが「~するのが好き」という意味を表す副詞です。ドイツ語では動詞を使って「...するのが好き」と言う場合にはこの副詞gernを使います。

発展学習のために

3. ドイツ語の単語を尋ねる

Hirokazu: Wie heißt 'Arigato' auf Deutsch?
Lehrer: 'Danke schön!' oder 'Danke!'.
Tomonori: Und wie heißt 'Sayonara' auf Deutsch?
Lehrer: 'Auf Wiedersehen!'

日本語訳は次の通りです。

宏和: 「ありがとう」はドイツ語で何というのですか?
先生: 「ダンケ・シェーン」あるいは「ダンケ」です。
智紀: では「さようなら」はドイツ語で何というのですか?
先生: 「アウフ・ヴィーダーゼーエン」です。

ドイツ語の単語を尋ねる

相手がドイツ語と他の言語(日本語や英語)を理解している人の場合,次のように言ってドイツ語の単語を教えてもらうことができます。

Wie heißt [ Wort ] auf Deutsch?

[ Wort ] のところに聞きたい単語を日本語または英語で入れます。auf Deutschは「ドイツ語で」という意味です。

ドイツ語の語順

これまで出てきたドイツ語の文章に共通する特色は,動詞が2番目の位置にあることです。ドイツ語では平叙文(肯定文・否定文)と疑問詞のある疑問文(答えを補足する必要があるので「補足疑問文」と呼ばれます)について,動詞は文の2番目の成分になります。これはドイツ語の語順ルールの大原則なので,頭に入れておきましょう。

[平叙文] Ich spiele gern Tennis.
[補足疑問文] Wie heißt Gyoseihou auf Deutsch?

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4. 別れの挨拶

Hirokazu: Das war interessant!
Tomonori: Das finde ich auch.
Hirokazu: Auf Wiedersehen!
Tomonori: Tschüß! Bis Morgen!

日本語訳を見てみましょう。

宏和: 楽しかったね!
智紀: そうだね。
宏和: さようなら。
智紀: またね! また明日!

別れの挨拶

ドイツ語の別れの挨拶の定番はAuf Wiedersehen!です。このWiedersehenはwieder(再び)+sehen(会う)で再会するという意味です。これに対してラジオや電話など声だけで話をしている場合にはAuf Wiederhören!が使われることがあります。日本語では「またお耳にかかります」という表現が対応すると言えます。親しい人同士の場合にはTschüß!がしばしば使われます。この表現は出会ったときにHallo!で挨拶する関係のときに使います。

[会話のヒント] イタリア語から来たCiao!もドイツでの別れの挨拶としてしばしば聞かれます。また南ドイツではAde!もよく使われます。

過去形

最初の宏和の言葉はDas war interessant!となっています。このwarはsein(英語のbe動詞にあたります)の過去形です。過去形については北九州市のあゆみで詳しく扱います。ここではこの文の内容が過去のものであることが動詞で示されているということだけ理解して下さい。

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