試験!?

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1. 前置詞(復習)

夏休みも終わりに近づいた頃,智紀君は宏和君に会いました。

Tomonori: Hallo, Hirokazu! Wohin gehst du denn?
Hirokazu: Ich gehe in die Bibliothek. Ich will für die Prüfung lernen.
Tomonori: Ach! Über die Sommerferien habe ich die Prüfung ganz vergessen.
Hirokazu: Wollen wir zusammen gehen?

はじめに日本語訳を確認しておきましょう。

智紀: やあ,宏和! どこに行っているの?
宏和: 図書館に行くところだよ。試験勉強をするつもりだよ。
智紀: ああ! 夏休みのうちに試験のことを完全に忘れてしまっていたよ。
宏和: 一緒に図書館に行こうよ。

前置詞

今回の会話文の中に前置詞が3箇所出てきています。

Ich gehe in die Bibliothek.

前置詞inは3・4格支配の前置詞なので,後ろにどちらの格が来るのかによって意味が変わります。ここでは-e Bibliothekの4格が来ているので,方向を示す意味(~へ)になります。

Ich will für die Prüfung lernen.

ここでのfürは英語のforと同じ「~のために」という意味を表しています。4格支配なので後ろに4格が来ています。

Über die Sommerferien habe ich die Prüfung ganz vergessen.

überは英語のoverに当たる前置詞ですが,位置を表す場合には3格支配,方向・移動・通過・時間の経過などを表す場合には4格支配になります。ここでは「夏休みの間に」という意味で4格支配になります。

発展学習のために

2. 付加疑問文・接続法II式

Hirokazu: Tschüß, Yumiko! Du bist auch in der Bibliothek, nicht wahr?
Yumiko: Ja, ich bin schon drei Stunden hier. Übrigens, kannst du das bürgerliche Recht verstehen?
Hirokazu: Nein, gar nicht. Ich kann das nicht verstehen.
Yumiko: Wenn du das ein bisschen verstehen könntest, könntest du mir helfen.
Hirokazu: Das habe ich auch gedacht. Es ist so schwierig!

日本語訳は次の通りです。

宏和: やあ,由美子! 君も図書館にいるんじゃなかったの?
由美子: うん,私はもう3時間ここにいるよ。ところで,民法は分かった?
宏和: いや,全くだめだよ。民法は理解できない。
由美子: 君が民法を少し理解できていたなら,助けてもらおうと思ったのに。
宏和: 僕も同じことを考えていたよ。民法はとても難しいね!

[会話のヒント] 英語では「時」はo'clock,「時間」はhourとなりますが,ドイツ語では「時」が-e Uhr,「時間」は-e Stundeになります。英語の連想でUhrを間違って使いやすいです。

付加疑問文

「...だよね」と表現する付加疑問文は,英語では主語・動詞によって作り方が変わってきます。例えばKen plays tennis, doesn't he?とかKen isn't a student, is he?となります。しかしドイツ語では付加疑問文は一つしか形がありません。

Du bist auch in der Bibliothek, nicht wahr?

ドイツ語では文の主語・動詞を問わずnicht wahr?を付ければ付加疑問文ができます。

接続法II式

事実を事実として伝達する表現(直説法)の他に,ドイツ語には非現実の内容を相手に伝える接続法II式と呼ばれる表現の方法があります。これは英語の仮定法過去にあたります。

[英語] If I had time, I would study German very hard.
[ドイツ語] Wenn ich Zeit hättewürde ich sehr fleißig Deutsch lernen.

接続法II式は過去基本形をベースにつくります。実は全ての動詞でこの接続法II式の形がありますが,初級文法の段階では以下のものだけ知っていれば大丈夫です。それ以外は上の例文にあるようにwürden+不定形で代用します。

人称変化の仕方は基本的に過去形の人称変化と同じです。

不定形
過去基本形
können
konnte
werden
wurde
haben
hatte
sein
war
ich könnte würde hätte wäre
du könntest würdest hättest wärest
er/sie/es könnte würde hätte wäre
wir könnten würden hätten wären
ihr könntet würdet hättet wäret
sie/Sie könnten würden hätten wären

接続法II式の代表的な用法は非現実話法です。今回の会話文の中でも次のような表現がありました。

Wenn du das ein bisschen verstehen könntestkönntest du mir helfen.

この文章は,現実には君は理解ができていないので助けてはくれないという意味を含んでいます。

接続法II式は,非現実話法のほか,丁寧な表現としても使えます。

Könnten Sie mir sagen, wo Professor Michel ist?(ミヒェル教授がどこにいらっしゃるか教えていただけますか?)
Hättest du Lust ins Kino zu gehen?(映画に行きませんか?)

発展学習のために

3. 受動態・形容詞の語尾変化・比較表現

Tomonori: Technik ist auch ein schwieriges Fach.
Hirokazu: Jura ist am schwierigsten! Weißt du, dass das bürgerliche Gesetzbuch bis vor einigen Jahren in Altjapanisch geschrieben wurde?
Tomonori: Nein, das wusste ich nicht. Aber Technik ist genauso schwierig wie Jura. Wir müssen schwierige Mathematik studieren.
Yumiko: Schrecklich! Mathematik ist eines der schwierigsten Fächer für mich!

日本語訳を確認しましょう。

智紀: 工学も難しい専門分野だよ。
宏和: 法律学こそ一番難しいよ! 民法が少し前まで文語で書かれていたって知ってる?
智紀: いや,それは知らなかった。でも工学も法律学と同じくらい難しいよ。難しい数学を勉強しなければいけないよ。
由美子: 恐ろしい! 数学は私にとって最も難しい科目の一つだわ。

受動態

「...する」を能動態,「...される」を受動態と言います。この受け身の文は英語にもあり,英語の場合にはbe動詞+過去分詞で作ることができます(例: This book was written by Ken.)。これに対してドイツ語の場合には受動態が2種類あります。

[動作受動] werden+...+過去分詞 (例:Das Buch wurde von Ken geschrieben.)
[状態受動] sein+...+過去分詞 (例:Das Buch ist auf Deutsch geschrieben.)

初級文法の段階では状態受動はその存在さえ知っていれば十分です。今回の会話文の中では動作受動が次の文で使われていました。

Weißt du, dass das bürgerliche Gesetzbuch bis vor einigen Jahren in Altjapanischgeschrieben wurde?

この文章では受動態の過去形が使われています。また副文なので動詞が文末に置かれています。

受動態の基本的な作り方はほぼ英語と同じです。つまり,能動態の目的語(ドイツ語では4格目的語)を受動態の主語にし,動詞の部分をwerden+過去分詞にして過去分詞を文末に置き,能動態の主語はvon+3格(動作主の場合)かdurch+4格(ものの場合)にすることになります。

[能動態] Ken schreibt das Buch.
[受動態] Das Buch wird von Ken geschrieben.

形容詞の語尾変化

今回の会話文の中の最初の文に注目してください。

Technik ist auch ein schwieriges Fach.

名詞の性・数・格に応じて冠詞・冠詞類(場合によっては名詞そのものも)が変化することはすでによい旅をで出てきました。実はこの変化はそれだけではなく,名詞の前についている形容詞にも起きます。上の文章では-s Fachという名詞を説明している形容詞schwierig(難しい)に語尾-esがついているのです。この形容詞の語尾変化は次の3パターンあります。

強変化(形容詞+名詞)

名詞の種類男性名詞女性名詞中性名詞複数形
1格 junger Mann junge Frau kleines Kind junge Leute
2格 jungen Mannes junger Frau kleinen Kindes junger Leute
3格 jungem Mann junger Frau kleinem Kind jungen Leuten
4格 jungen Mann junge Frau kleines Kind junge Leute

強変化は形容詞だけしか名詞の性・数・格を表す要素がないので,形容詞の語尾変化が定冠詞の語尾変化に似ているという特色があります。

弱変化(定冠詞+形容詞+名詞)

名詞の種類男性名詞女性名詞中性名詞複数形
1格 der junge Mann die junge Frau das kleine Kind die jungen Leute
2格 des jungen Mannes der jungen Frau des kleinen Kindes der jungen Leute
3格 dem jungen Mann der jungen Frau dem kleinen Kind den jungen Leuten
4格 den jungen Mann die junge Frau das kleine Kind die jungen Leute

弱変化の場合には定冠詞が名詞の格などを表示するため,形容詞が格を表す必要がありません。そのため弱い語尾である-enがつく場所が非常に多くなります。しかし男性・女性・中性の単数1格と女性・中性の単数4格だけは語尾が-eとなります。

混合変化(不定冠詞+形容詞+名詞)

名詞の種類男性名詞女性名詞中性名詞複数形
1格 ein junger Mann eine junge Frau ein kleines Kind [meine kleinen Kinder]
2格 eines jungen Mannes einer jungen Frau eines kleinen Kindes [meiner kleinen Kinder]
3格 einem jungen Mann einer jungen Frau einem kleinen Kind [meinen kleinen Kindern]
4格 einen jungen Mann eine junge Frau ein kleines Kind [meine kleinen Kinder]

混合変化も基本的には不定冠詞が格などを表示してくれるので,形容詞は弱い語尾の-enがつくことが多くなります。ただし男性・中性1格はeinで語尾がないため,格をはっきりさせるために形容詞に-erや-esが付きます。中性は1・4格が同形なので中性4格も同じです。

比較表現

英語と同じく,ドイツ語にも比較表現があります。英語では比較級は-er(またはmore+),最上級は-est(またはmost+)となりますが,ドイツ語では次のようになります(ドイツ語では最「高」級と呼ぶことが一般的です)。

[比較級] 原級+-er (例:schnell→schneller
[最高級] 原級+-st (例:schnell→schnellst

やや例外的な変化をするものとして次のようなものがあります。

今回の会話文の中から比較表現を取り出してみましょう。

Jura ist am schwierigsten.

最高級の表現です。最高級を使うには,am+-st(+比較の範囲)という形がしばしば用いられます。比較の範囲を省略した形は絶対最高級と呼ばれ,最高級の意味を強めることになります。

Mathematik ist eines der schwierigsten Fächer für mich.

最高級を使った代表的な表現として,einer/eine/eines der -sten 複数名詞 の形があります。これは「最も─な(複数名詞)のひとつ」という意味ですが,名詞の性によって冒頭の部分が変わります。上の文では-s Fach(中性名詞)なのでeinesになっています。

Technik ist genauso schwierig wie Jura.

原級の表現です。英語のas (原級) asと同じで同等比較の際に使うのが,[genau]so (原級) wieという形です。

この他,今回の文では出てきませんでしたが,比較級を使う次のような表現もあります。

Lehren ist schwieriger als Lernen. (教えることは習うことより難しいです。)

比較級を使う際にはals+対象を後ろに付けるのが一般的です。

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