1. 副文(復習)
正君とミヒャエル君は,小倉駅で偶然出会いました。ミヒャエル君はレポートの宿題に悩まされているようです。
Michael: Wir haben uns lange nicht gesehen!
Tadashi: Ja. Wohin gehst du gerade?
Michael: Zum Rathaus. Aber ich weiß nicht, wie ich dahin komme.
Tadashi: Wollen wir zusammen gehen?
Michael: Danke!
はじめに日本語訳を確認しておきましょう。
ミヒャエル: 久しぶりだね!
正: うん。今からどこに行くの?
ミヒャエル: 市役所だよ。でもどうやって行ったらいいかわからないんだ。
正: 一緒に行こうか?
ミヒャエル: ありがとう!
副文(復習)
今回の会話文の中に副文が出てきています。副文については既によい旅をでも出てきています。
Aber ich weiß nicht, wie ich dahin komme.
これは英語にもある間接疑問の形です(I don't know how I go there.)。副文を作る際には動詞の位置について気をつけるべきルールがあります。1つは,上の例でも分かるように,副文の中で定動詞は一番最後に置かれることです。動詞が最後というのは日本語の感覚に近いものがあります。そしてもう1つは,上の文を副文(wie以下)で始めた場合に,主文の定動詞は副文の直後に置かれるというルールです。
Wie ich dahin komme, weiß ich nicht.
これは主文の第1の文の要素(文肢)がwie以下の副文であると考えると,定動詞第二位の原則の表れだと見ることができます。
発展学習のために
2. 関係代名詞・関係副詞
Tadashi: Warum gehst du dahin?
Michael: Ich muss ein Referat über die Geschichte der Stadt Kitakyushu schreiben. Woher kommst du denn?
Tadashi: Ich komme aus Kurosaki. Kurosaki ist die Stadt, wo ich aufgewachsen bin.
Michael: Gut! Erklärst du mir bitte die Geschichte der Stadt Kitakyushu?
Tadashi: OK. Die Stadt Kitakyushu ist eine relative neue Stadt. Sie ist am 10. Februar 1963 zusammen mit Moji, Kokura, Tobata, Wakamatsu und Yahata geboren.
Michael: Wirklich? Das habe ich nicht gewusst.
Tadashi: Die Stadt war als eine Eisenindustriestadt bekannt. Insbesonder hieß die Stadt Yahata die Hauptstadt der Eisenindustrie in Japan. Aber nach dem Ölschock 1973 verlor sie ihre Bedeutung.
日本語訳を確認しましょう。
正: なぜ市役所に行っているの?
ミヒャエル: 北九州市の歴史に関するレポートを書かなければならないんだよ。ところで君はどこの出身?
正: 僕は黒崎の出身だよ。黒崎は僕が育った街だよ。
ミヒャエル: それはよかった! 北九州市の歴史について僕に説明してよ。
正: わかった。北九州市は比較的新しい街だよ。北九州市は1963年2月に門司・小倉・戸畑・若松・八幡の各市が合併して誕生したんだ。
ミヒャエル: 本当? それは知らなかったよ。
正: 北九州市は鉄鋼産業の都市として知られていたんだ。特に八幡市は日本の鉄鋼産業の首都とも言われていたんだ。でも1973年のオイルショック後は,その役割を失ってしまったんだ。
関係代名詞・関係副詞
英語と同じく,ドイツ語にも関係代名詞・関係副詞があります。働きは英語と似ていますが,ドイツ語の関係詞は副文であるため,動詞の位置に関する副文のルールがここでも当てはまることに注意が必要です。
関係代名詞は「代名詞」であるため,性・数・格に応じて次のように変化します。
名詞の種類 | 男性名詞 | 女性名詞 | 中性名詞 | 複数形 |
---|---|---|---|---|
1格 | der Mann, der | die Frau, die | das Kind, das | die Leute, die |
2格 | der Mann, dessen | die Frau, deren | das Kind, dessen | die Leute, deren |
3格 | der Mann, dem | die Frau, der | das Kind, dem | die Leute, denen |
4格 | der Mann, den | die Frau, die | das Kind, das | die Leute, die |
基本的には定冠詞の変化とほぼ同じですが,2格と女性3格の形だけが違います。
関係代名詞を使って2文を1文にする方法は英語と似ています。
[A] Sie hat dieses Buch. (彼女はこの本を持っています。)
[B] Ich habe dieses Buch gekauft. (私はこの本を買いました。)
はじめに2つの文で共通の名詞を確認します。そして[B]の文からその名詞を消します。名詞を消す代わりにそれと同じ性・数・格を表す関係代名詞を考えて(ここではdieses Buchは中性名詞・単数・4格なのでdasとなります),それを関係詞節の冒頭に持っていきます。英語との違いは,関係詞節も副文であるため,動詞を後ろに持っていかなければならないことです。こうした操作をすると,上の2つの文は次のように1文にできます。
Sie hat dieses Buch, das ich gekauft habe.
(彼女は私が買った本を持っています。)
なおドイツ語では,関係詞節の始まりでは必ずコンマを打ちます(英語と同じく制限用法と継続用法がありますが,英語と違ってこの両者をコンマの有無で判別することはできません)。また英語の接触節(contact clause)のような目的格関係代名詞が省略される現象はありません。
では,次の2つの文を1つにするにはどうすればよいでしょうか。
[A] Kurosaki ist eine Stadt. (黒崎は街です。)
[B] Ich bin in Kurosaki aufgewachsen. (私は黒崎で育ちました。)
上と同じく,はじめに2つの文で共通の名詞を確認します。そして[B]の文からその名詞を消します。名詞を消す代わりにそれと同じ性・数・格を表す関係代名詞を考えて(ここではKurosaki(=die Stadt)は女性名詞・単数・3格(場所を表すin)なのでderとなります),それを関係詞節の冒頭に持っていきます。このとき前置詞が直前にあると,英語と同じく前置詞も冒頭に一緒に出ます。さらに関係詞節の動詞を節の最後に持っていくと次のような文になります。
Kurosaki ist die Stadt, in der ich aufgewachsen bin.(黒崎は私が育った街です。)
関係代名詞で後ろから修飾されることによって,[A]の文のeine Stadtは特定のStadtに変わります。そこで不定冠詞ではなく定冠詞dieが使われることになります。
この前置詞+関係代名詞は,英語と同様に関係副詞によって書き直すことができます。上の文では場所を表しているので,関係副詞woを用いると,次のようになります。
Kurosaki ist die Stadt, wo ich aufgewachsen bin.(黒崎は私が育った街です。)
この文章が上の会話文の中で使われていたのです。
過去形(復習)
ドイツ語では過去のことを表現するのに過去形ではなく現在完了形が使われることが多いということは,すでに夏休みで出てきました。しかし今回の会話文の中ではかなり過去形が使われています。正の最後のせりふに注目してください。
Die Stadt war als eine Eisenindustriestadt bekannt. Insbesonder hieß die Stadt Yahata die Hauptstadt der Eisenindustrie in Japan. Aber nach dem Ölschock 1973 verlor sie ihre Bedeutung.
最初のwarはseinの過去形,次のhießはheißenの過去形,最後のverlorはverlierenの過去形です。これらはいずれも不規則変化の動詞です。これらはいずれも主語が3人称単数なので過去基本形の形で使われています。
会話文の中にもかかわらず過去形が使われているのは,その前の部分で過去の話をするという枠組がすでに設定されているから,あるいはこの話の内容が歴史的な経緯であるからです。このような場合には会話文の中であっても過去形が使われます。
過去人称変化を現在人称変化と比較した次の表を確認しましょう。語尾を太字にしています。
過去形(wohnte) | 現在形(wohnen) | |
---|---|---|
ich | wohnte | wohne |
du | wohttest | wohnst |
er/sie/es | wohnte | wohnt |
wir | wohnten | wohnen |
ihr | wohntet | wohnt |
sie/Sie | wohnten | wohnen |
発展学習のために
3. 未来形・目的語補語をとる動詞
Michael: Denkst du, dass sie auferstehen wird?
Tadashi: Ja, ich sehe es optimistisch. Wir haben viele neue Planungen für Wiederentwicklungen.
Michael: Zum Beispiel?
Tadashi: Kitakyushu Öko-planung. Die Stadt Kitakyushu will die umweltfreundlichste Stadt in Japan werden.
Michael: Ach, so.
Tadashi: Geh hier geradeaus dann links, und du kommst zum Rathaus. Entschuldige, ich habe eine Verabredung.
Michael: Danke! Ich habe das Gefühl, dass ich das Referat schreiben kann.
Tadashi: Gut! Auf Wiedersehen! Viel Erfolg!
日本語訳は次の通りです。
ミヒャエル: 北九州市は蘇ると思う?
正: うん,僕は楽観的だよ。都市の再発展のためのたくさんの計画があるんだ。
ミヒャエル: 例えば?
正: 北九州エコプランがあるよ。北九州市は日本で最も環境親和的な都市になることを目指しているんだ。
ミヒャエル: なるほどね。
正: ここをまっすぐ行って左に曲がると市役所だよ。すまないけど僕は約束があるんだ。
ミヒャエル: ありがとう。レポートが書ける気がしてきたよ。
正: よかった。さようなら。がんばってね!
[会話のヒント] 人と約束をしている場合に使う表現として,上の会話では-e Verabredungという単語が出てきています。会う約束をする場合にはVerabredung machen,すでに約束があるという場合にはVerabredung habenを用います。このVerabredungはどちらかというとインフォーマルな表現で,フォーマルな約束は-r Terminを使います。これを使うと,約束をする場合の動詞の組み合わせは,Termin ausmachen/vereinbaren/machenなどのようになります。
未来形
英語で未来形を表す場合にはwillまだはbe going to(往来の動詞の場合には現在進行形による代用)が使われます。これに対してドイツ語の場合には,話者の意志を表すときには話法の助動詞wollenが用いられます(→友達)。ドイツ語で単純な未来を表したり,推測などを表現したりする場合には,助動詞werdenが用いられます。
Denkst du, dass sie auferstehen wird?
Die Stadt Kitakyushu will die umweltfreundlichste Stadt in Japan werden.
最初の文は未来形の助動詞werdenが使われています。werdenの定形が用いられると本動詞は不定形になります。この文では副文の中で使われているため,werdenの定形wirdが一番最後に来ています。次の文では意志未来のwollenが使われています。最後のwerdenは助動詞ではなく本動詞(~になる)です。この文では,試験!?では出てこなかった最高級の表現方法が使われています。ここでは形容詞が後ろの名詞Stadtを説明する役割を果たしており(このような形容詞の用法を付加語的用法と呼ぶことがあります),この場合の最高級は定冠詞を付けて用いられます。
目的語補語をとる動詞
ドイツ語の文型は英語のいわゆる5文型のようには整理されませんが,英語の5文型に対応する表現方法はすべてドイツ語にあります。
[SV] (英)She cries. (独)Sie weint.
[SVC] (英) He is a student. (独) Er ist Student.
[SVO] (英) I play tennis every day. (独) Ich spiele jeden Tag Tennis.
[SVOO] (英) I give you this book. (独) Ich gebe Ihnen dieses Buch.
[SVOC] (英) I find this book good. (独) Ich finde dieses Buch gut.
今回の会話文の中ではこのうち英語で言えばSVOCにあたる構文,つまり目的語補語をとる動詞による表現が出てきています。
Ich sehe es optimistisch.
目的語補語には上記の例のように形容詞が来ることもありますが,名詞が来る場合もあります。名詞が来る場合には4格が用いられることに注意が必要です。