1. 友達の紹介の仕方
宏和君は智紀君に友達の正君を紹介します。
Hirokazu: Tomonori, das ist mein Freund Tadashi.
Tomonori: Schön! Woher kommst du?
Tadashi: Ich komme aus Fukuoka. Und du?
Tomonori: Ich komme aus Shimonoseki.
はじめに日本語訳を確認しておきましょう。
宏和: 智紀,こちらが友人の正です。
智紀: やあ。どこの出身ですか?
宏和: 福岡です。君は?
智紀: 下関です。
友達の紹介の仕方
英語でも中学校1年生のはじめの方で,友達の紹介の仕方が出てきます。例えば次のような文章を見たことがあるのではないでしょうか。
Ken, this is Mike. Mike, this is Ken.
ドイツ語の言い方もこれとほとんど同じで,Das ist [ Name ].の形になります。
[中級] 自己紹介をする対象が男性でも女性でもドイツ語ではdasを使います。逆にEr ist...やSie ist...というと間違いになります。なぜなら,er/sieといった代名詞はそれよりも前に言及された名詞を指しますが,友達の紹介の場合には紹介以前にその名前が出ているわけではないからです。
動詞の現在人称変化 seinとhaben
すでにあなたのお名前は?で現在人称変化を学んでいますが,ここでは不規則変化のseinとhabenを見てみます。seinは英語のbe動詞,habenは英語のhave動詞にあたります。いずれもよく使われるので,このまま音で覚えてしまいましょう。
代名詞 | sein(...である) | haben(持っている) |
---|---|---|
ich(私は) | bin | habe |
du(君は) | bist | hast |
er/sie/es(彼は・彼女は・それは) | ist | hat |
wir(私たちは) | sind | haben |
ihr(君たちは) | seid | habt |
sie(彼らは...)/Sie(あなた[方]は) | sind | haben |
発展学習のために
2. 所有冠詞
Tomonori: Wer ist das?
Tadashi: Das ist meine Freundin Yumiko.
Hirokazu: Ich kenne sie. Sie studiert auch Jura.
Tomonori: Wirklich?
Hirokazu: Ja, und wir wohnen in der gleichen Stadt.
Tadashi: Ah, echt?
日本語訳は次の通りです。
智紀: あの人は誰ですか?
正: あの人は友人の由美子さんです。
宏和: 僕は彼女を知っているよ。彼女も法律学を勉強しているよ。
智紀: 本当?
宏和: そう,僕たちは同じ街に住んでいるよ。
正: そうなのね。
ドイツ語の相づち表現
日本語の会話でも,相手の言ったことに対して「ふーん」「あーそう」「へー」「いや」など,その場で簡単に反応する表現がいくつもあります。ドイツ語にもこうした表現があるので,まとめてみましょう。
- 同感: ja, genau, richtig, stimmt, ach so
- 驚き: wirklich?, echt?, ach!
- 賞賛: super!, toll!, wunderbar!
- 否定: nein, ne, doch(否定に対して肯定で反論)
[会話のヒント] 日本語の「あっ,そう」と極めて似た音のドイツ語Ach, so!(アハ・ゾー)は,日本語の意味とよく似ています。そこで日本人はしばしば,日本語の「あっ,そう」のつもりでこの表現を使いがちです。しかしドイツ語のAch, so!は,単にあいづちを打つということだけではなく,相手の言ったことを肯定する,ないし相手に同感であることを表現する点で,日本語の「あっ,そう」よりもより積極的なニュアンスがあります。必ずしも相手の言ったことを肯定する趣旨ではない場合にはAch, so!ではなくEcht?やWirklich?を使った方が無難です。
所有冠詞
動詞の変化で頭がいっぱいなところに,さらにいやなことがあります。それは名詞も(冠詞とともに)変化するということです(ただし名詞の大半はそれ自身が語尾変化することは少なく,主として男性・中性名詞の単数2格と名詞の複数3格だけです)。これを名詞の格変化といいます。日本語では「が」「の」「に」「を」など助詞をつけて区別しますが,ドイツ語では名詞の前につける冠詞類(英語のaやtheのほかにmyなども含まれる)や名詞そのものの語尾で区別します。そしてこの変化のパターンにもとづいて名詞を分類したものを「名詞の性」と言います。ドイツ語には大きく3つの系統の変化のパターンがあり,それぞれ「男性名詞」「女性名詞」「中性名詞」といっています。といっても今すべておぼえるのは無理なので,とりあえず次の内容を覚えましょう。
- ドイツ語の名詞には「性」があり,性によって冠詞・冠詞類の形などに違いがある。
- 冠詞には「定冠詞(英語のthe)」(der/die/das)「不定冠詞(英語のa)」(ein/eine/ein)がある。また同じ働きをする冠詞類(所有冠詞のmeinなど[英語のmyなどにあたる])もある。
- 冠詞は名詞の性によって使い分ける。
ところで,今回の文章の中には Das ist meine Freundin. という表現があります。このmeineは所有冠詞mein(英語のmy)ですが,後ろに来る名詞Freundin(女の友達)が女性名詞のため,語尾-eが付いています。
まず,ドイツ語の所有冠詞は次のようになっています。
- ich(私は)→mein(私の)
- du(君は)→dein(君の)
- er/sie/es(彼は・彼女は・それは)→sein/ihr/sein(彼の・彼女の・その)
- wir(私たちは)→unser(私たちの)
- ihr(君たちは)→euer(君たちの)
- sie(彼らは・彼女らは・それらは)/Sie(あなたは・あなた方は)→ihr(彼らの・彼女らの・それらの)/Ihr(あなたの・あなた方の)
ドイツ語の名詞の性は冠詞・冠詞類と名詞そのものの変化によって表されます。日本語の「...は」にあたる1格でその変化を見てみましょう。
[m] 男性名詞 -r Mann | [f] 女性名詞 -e Frau | [n] 中性名詞 -s Kind |
---|---|---|
der Mann(その男の人) | die Frau(その女の人) | das Kind(その子ども) |
ein Mann(ある男の人) | eine Frau(ある女の人) | ein Kind(ある子ども) |
mein Mann(私の男の人→私の夫) | meine Frau(私の女の人→私の妻) | mein Kind(私の子ども) |
der/die/dasの変化とein/eineまたはmein/meineの変化とでは,少し違うことが分かります。不定冠詞やmein型冠詞類では男性と中性で形が同じになります。これでは区別ができないので,辞書などではder/die/dasの語尾-r/-e/-sをそれぞれ男性・女性・中性であることを表示するのに使うことがあります。あるいは男性名詞・女性名詞・中性名詞のドイツ語の単語の頭文字でm/f/nと表示することもあります。
発展学習のために
3. 疑問副詞と前置詞の対応関係
Yumiko: Hallo, Tadashi und Hirokazu! Wer ist das da?
Tadashi: Das ist mein Freund Tomonori.
Yumiko: Wo wohnst du, Tomonori?
Tomonori: Ich wohne in Shimonoseki.
Yumiko: Und woher kommst du?
Tomonori: Ich komme auch aus Shimonoseki.
日本語訳を確認しましょう。
由美子: こんにちは,正君,宏和君。そちらの人は誰?
正: こちらは友達の智紀君だよ。
由美子: 智紀君はどこに住んでいるの?
智紀: 下関に住んでいるよ。
由美子: どこの出身なの?
智紀: 下関出身だよ。
疑問副詞と前置詞の対応関係
上の文章では2つの疑問文とその答えが出てきています。Sieで言い換えると次のようになります。
Wo wohnen Sie? ── Ich wohne in Shimonoseki.
Woher kommen Sie? ── Ich komme aus Shimonoseki.
場所を尋ねる疑問副詞woに対しては前置詞inが,どこからという意味の疑問副詞woherに対しては前置詞ausが対応しています。似たような関係の例文をもう一つ挙げます。
Wohin fahren Sie? ── Ich fahre nach Frankfurt.
「どちらに行かれるのですか?」「フランクフルトです。」という意味です。方向を尋ねる疑問副詞wohinに対しては前置詞nachやzuが対応します。
[中級] 「~へ」という意味を表す前置詞は通常zuかaufです。nachが登場するのは後ろが国名・都市名である場合か,家へという意味のnach Hauseだけです。
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4. 決定疑問文・話法の助動詞wollen
Michael: Entschuldigung! Wo ist die Kurosaki-Uni?
Tadashi: Kommen Sie aus Deutschland?
Michael: Ja, ich heiße Michael. Ich komme aus Frankfurt. Ich will in die Uni und Herrn Hamano treffen.
Tomonori: Ach! Das ist unser Lehrer!
日本語訳を見てみましょう。
ミヒャエル: すみません。黒崎大学はどこですか?
正: ドイツから来られたのですか?
ミヒャエル: はい,私はミヒャエルと言います。私はフランクフルトから来ました。私は大学に行って浜野さんに会いたいのです。
智紀: ああ,それは私たちの先生です。
場所を尋ねる表現
目的の場所が分からない場合,次のように尋ねることが一般的です。
Wo ist die Universität?
Ich suche die Universität.
答えを聞き取るときのキーワードは3つあります。
- rechts (右に)
- links (左に)
- geradeaus (まっすぐ)
決定疑問文と補足疑問文
これまで出てきた疑問文はいずれも疑問詞が含まれるもので,その場合には疑問詞が冒頭,次に動詞が来る順番になっていました。これに対して今回出てきた疑問詞を含まない疑問文(決定疑問文と呼ばれます)の場合には語順が違います。
Kommen Sie aus Deutschland?
Ja[, ich komme]. / Nein[, ich komme nicht].
答えの文がJa/Neinとなる決定疑問文の場合,動詞は文の冒頭に置かれます。英語との違いは,全ての動詞についてこのルールがあてはまるということです。英語の場合にはたしかにbe動詞では主語と動詞を倒置しますが,それ以外の一般動詞ではDo/Doesが冒頭に出てきます。ドイツ語の場合にはこうした方法は通常とられません。
話法の助動詞wollen
話法の助動詞wollenは英語のwillに相当するものですが,少し意味や使い方が違います。まず文における配置が違います。
[英語] I will meet Mr. Hamano.
[ドイツ語] Ich will Herrn Hamano treffen.
英語の場合,助動詞は本来動詞が来る位置に置かれ,その直後に動詞の原形(原型不定詞)が来ます。これに対してドイツ語では,本来動詞が来る位置に助動詞が置かれる点までは同じですが,動詞の原形は助動詞の直後ではなく文の最後に移動します。助動詞と本動詞でサンドイッチしているこの構造を枠構造と言います。ドイツ語では定動詞が基本的に2番目の文成分となりますが,その定動詞と最も関係が深い語が文の最後に来ます。
次にwollenと英語のwillの意味の違いです。英語のwillは単純未来も意志未来も表す助動詞ですが,ドイツ語の場合には未来時制を表す助動詞は別にあります(werdenが用いられます)。ドイツ語でwollenが使われるのは主語の意志を表す場合です。