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演習 行政法

昨年10月に東京大学出版会より出版させて頂いた『例解 行政法』の姉妹編である『演習 行政法』が完成しました。全国の書店では3月25日から販売されます。

行政法を教える側にとって最大の悩みは,学部でも法科大学院でも,時間数に比して扱うべき内容が多いことです。そのため授業では行政法総論の教科書の内容を押さえるのに多くの時間を費やさざるを得ず,それだけでは具体的な行政法規を読み解くことはできないのが実情です。行政法の授業数の増加が見込めない現状からすれば,行政法総論の内容の理解から行政法規の読解や事例問題の解析ができるようになるまでの部分の多くは自習に委ねられることになります。『例解 行政法』は,このような状況に対して,具体的な行政法規を読み解く上での土地勘を身につけてもらうことを目的として執筆した,行政法各論(参照領域)の基本書でした。

これに対して本書は,具体的な行政法規を読み解き,事例問題が解けるようになるまでを扱うものであり,『例解』の内容に対応したいわば問題集として構想されました。しかし,演習書単独で利用することもできるように,事例問題を解く上で必要となる前提知識を丁寧に説明することとしました。本書の具体的な目次はこちらをご覧下さい。

法科大学院制度導入から10年が経過し,このような演習書のジャンルに属する本の種類はかなり増えてきました。例えば,応用的な問題を豊富に練習したい場合には『事例研究行政法』がすでに存在し,事例問題の解き方の勘所を掴むには『行政法解釈の基礎』が極めて示唆に富む内容をすでに示しています。スタンダードな演習書としては『行政法事例演習教材』,『ロースクール演習行政法』,『行政法──事案解析の作法』があり,またハイレベルな演習書としては『公法系訴訟実務の基礎』があります。これらと比較した本書の特徴は,事例問題にまだ馴染みがない初心者から司法試験直前の受験生まで,必要となる知識・技能をステップに区切って示していることにあります。本書の序の部分は,まだ事例問題を解いたことがない学部生向けの内容であり,第1部は事例問題についてこれから本格的に学ぼうとする学部生上級者から法科大学院生に対して典型論点の考え方を説明したものです。第2部では具体的な条文を豊富に使って,どうすれば行政法規を読み解けるようになるかを体得することを目指しています。この技能を踏まえ,第3部では司法試験問題やその類題を使って,事例問題に対応する力を総合的に高めることを目標としています。重要な論点は複数回登場するように構成されているため,本書を通読すれば,行政法に関する主要論点について一定の理解に達することができると思われます。

本書の刊行の際にも,東京大学出版会の山田秀樹さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

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