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国際自主規制と公法理論

3月10日に東京グリーンパレスで開催された,人文社会科学振興プロジェクト「市場補完・統御の法制度設計に向けた知の再編」研究グループ総括シンポジウム「『市場化』する社会と法──法制度設計への視座」において,「国際自主規制と公法理論」と題する報告(コメント)をさせていただきました。

研究グループによる総括報告が5本行われた後で,同種の事例を念頭に置きながら別の視角(自主規制)からコメントをするという形式で,国際自主規制がもたらす公法理論の改革可能性を展望する内容でした。2006年6月の同研究グループの研究会(「金融市場におけるガバナンスの検討」)に参加させて頂いて以来,ほぼ同世代の研究者で構成されている同グループの研究の幅広さと問題関心のアクチュアリティに注目しておりましたが,今回の総括シンポジウムにおいても多くの知的刺激を得ることができました。

研究グループリーダーの藤谷武史先生(北海道大学)をはじめ,研究グループの諸先生方には大変お世話になりました。ありがとうございました。

実体的財政法学と行政法理論

1月12日に神戸大学において開催されたCDAMS 公共空間研究会第8回例会において,「実体的財政法学と行政法理論」と題する報告をさせていただきました。これは,藤谷武史先生(北海道大学)の「財政活動の実体法的把握のための覚書(1)」の続編を構想するご報告「財政法研究における経済学的思考と法学的思考:対立・融合・差異」に対する行政法学からのコメントという位置づけで,憲法学からの棟居快行先生(大阪大学)のコメントに引き続くものでした。質疑の時間ではさまざまな観点からの質問・意見が出され,大変刺激的な研究会でした。

研究会のコーディネーターである角松生史先生(神戸大学)と興津征雄先生(神戸大学)には大変お世話になりました。ありがとうございました。

法秩序・行為形式・法関係

法秩序・行為形式・法関係──書評・仲野武志著『公権力の行使概念の研究』」と題する書評を,法政研究74巻3号(2007年)661-682頁に掲載しました。これは,2007年9月に開催された第2回行政法制研究会における同名の報告を公表したものです。

683-687頁には,東北大学の仲野武志准教授による質疑応答の要旨等が附記として掲載されています。書評としては珍しい書評の書評を著者が行うというスタイルですが,これにより同書の内容や仲野准教授の今後の研究の方向性がより展望できるようになっていると思います。

メディア法における自主規制の課題

12月2日に九州大学で開催された第3回放送法制研究会(放送文化基金共同研究)において,「メディア法における自主規制の課題」と題する報告をさせていただきました。拙著『自主規制の公法学的研究』の書かれたコンテクストにも触れながら,自主規制の一般論からみたメディア法の自主規制の特色を明らかにすることと,その法的課題を整理することに主眼を置いた内容でした。研究会参加のみなさまから,今後の研究のヒントを多く頂きました。

研究会代表者の稲葉一将先生(名古屋大学)と,事務局の井上禎男先生(名古屋市立大学)には大変お世話になりました。ありがとうございました。

行政法学から見た制度的契約論

11月9日に北海道大学で開催された,科研基盤A「市場環境・生活環境の秩序形成における公私の協働」研究会(共同開催:北海道大学民事法研究会・公法研究会)において,「行政法学から見た制度的契約論」と題するコメントをさせていただきました。同研究会では内田貴先生(法務省経済関係民刑基本法整備推進本部参与)が「制度的契約論の構想」と題する報告をされ,その後民法学から池田清治先生(北海道大学)のコメントに続いて,行政法学の側からコメントをいたしました。制度的契約論がどのような過程を経て着想・展開されたのかを直接伺うことが出来,またコメントの後の議論の中では制度的契約論のキー概念の持つ意義を検討する活発な意見交換がなされました。

科研基盤Aの研究代表者であり北大民事法研究会幹事でもある吉田克己先生と,北大公法研究会幹事の藤谷武史先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。この研究会の内容(報告・コメント・討論)は,この科研基盤Aによって開催された過去のシンポジウムと同じように,北大法学論集に掲載される予定です。

法秩序・行為形式・法関係

河中自治振興財団の後援で9月8日(土)に開催された第2回行政法制研究会で,仲野武志先生(東北大学准教授)のご著書『公権力の行使概念の研究』の書評報告をさせていただきました。研究会に参加された諸先生方からさまざまなご教示を頂きました。ありがとうございました。

当日の報告内容については,12月に発行される『法政研究』74巻3号に掲載されました。

障害者差別禁止

追録式の自治体法務実務解説書である『行政課題別条例実務の要点』(第一法規・1998年)に「障害者差別禁止」のテーマで執筆させていただきました。千葉県で制定された条例を取り上げ,その制定過程と条例に盛り込まれた法的しくみの特色をかんたんにまとめたものです。

この項目そのものは新規項目ですが,その前の相当項目を担当されていたのは,先日急逝された北海道大学の倉田聡教授でした。倉田先生とは直接の面識を得ることはできませんでしたが,修士論文を書いているときにはとりわけ,先生の論文から多くを学ばせていただきました。先生のご冥福をお祈りするとともに,先生の諸業績から学ばせていただいたことに対する感謝の意味も込めて,執筆させていただきました。

自主規制の公法学的研究

自主規制の公法学的研究 (九州大学法学叢書 1)3月31日に,『自主規制の公法学的研究』と題する拙著が,有斐閣より刊行されました。これは,2004年12月に九州大学に提出した博士論文をリライトしたものです。九州大学大学院法学研究院は,今年度より,有斐閣から『九州大学法学叢書』を刊行することとなり,その第1号として拙著が出版されることとなりました。関係したみなさまに厚く御礼申し上げます。流通ルートにのせるのに時間がかかるため有斐閣の公式情報では,4月9日発売となっています。

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第400回行政判例研究会

福岡法務局でほぼ毎月開催されている九州行政判例研究会が,9月の会で通算400回となりました。記念講演会では西南学院大学名誉教授の川上宏二郎先生より,研究会の経緯やこれまでのあゆみが紹介されました。

この研究会が発足したのは1962(昭和37)年のことで,第1回は1月に開催されました。当時は土曜日の午後に開催していたようです。この研究会の発足の契機となったのは,川上先生のお話によれば,発起人である近藤昭三九州大学名誉教授の人脈が裁判所や法務局などにも広がっていたことと,当時「訴願法」と「行政事件訴訟特例法」の改正問題がホットな話題となっていたことの2点だったそうです。この研究会は開始段階からすでに大学だけではなく,裁判所・弁護士・法務局・自治体といったさまざまな参加者を構成員とした研究会であったようです。

この研究会に参加し始めてからはまだ5年しかたっていませんが,全国的に見ても珍しいこうした構成をもつこの研究会が今後とも続いていくとよいと願っています。

グロース先生講演会

本日は,ギーセン大学教授のトーマス・グロース先生を迎え,講演会が開催されました。グロース先生は学術法や合議制行政機関に関する研究で知られています。今日の講演会のテーマは,「ドイツの大学の自治の法(Das Selbstverwaltungsrecht der deutschen Hochschulen)」で,まさにその分野に関する講演でした。

ドイツにおいても日本と同様,新しい内部組織構造が大学に導入される動きが続いています。その背景にはニューパブリックマネジメントの発想がありますが,他方で学問の自由・大学の自治との緊張関係が生じています。ドイツの制度設計の中には,すでに自治の核心領域を侵してしまっているのではないかとさえ思われるものも出てきているようです。

講演の中で特に面白いと思ったのは,財団形式による大学が登場してきているという話です。財団という形式を利用することによって,州からの距離が保たれ,大学の経営の自由度を高めることができるメリットがあるそうです。雑多な内容が含まれているドイツの自治をどのように理解すべきかという観点から,今回の講演は刺激に満ちたものでした。

なお,この講演の翻訳原稿が法政研究73巻1号に掲載されていますのでご覧下さい(トーマス・グロース(大脇成昭・訳)「ドイツの大学における自治行政権」法政研究(九州大学)73巻1号(2006年)85-105頁)。

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