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集団的消費者利益の実現と法の役割
名古屋大学の千葉恵美子先生を中心とする研究プロジェクトの成果物として,商事法務から『集団的消費者利益の実現と法の役割』と題された論文集が刊行されました。本書の前半1/3程度は,2011年の日本消費者法学会における諸報告の原稿に加筆修正を加えたものであり,これにNBLでの連載原稿や,新たな原稿を加えた総ページ数590頁,執筆者数24人の大規模な論文集となりました。
本書には以下の2本の論文を収録させていただきました。
- 「集団的消費者利益の実現と行政法の役割──不法行為法との役割分担を中心として」千葉恵美子他編『集団的消費者利益の実現と法の役割』(商事法務・2014年)52-75頁
- 「適合性評価の消費者保護機能」千葉恵美子他編『集団的消費者利益の実現と法の役割』(商事法務・2014年)514-531頁
上の論文は消費者法学会報告を加筆したもの,下の論文はNBL連載論文に加筆したものです。『公共制度設計の基礎理論』にも両論文の内容は収録されていますが,いずれも別の原稿と融合させたものであるため,上記の2論文の方が初出時に近い構成となっています。
行政法関係では,ほかに,消費者法学会におけるコメントを頂戴した山本隆司先生(東京大学)がそのコメントに加筆修正を加えられた
- 「集団的消費者利益とその実現主体・実現手法──」行政法学の観点から(商事法務・2014年)217-237頁
が掲載されています。これは,山本先生が近時公表された
- 「行政制裁の基礎的考察」長谷部恭男他編・高橋和之先生古稀記念『現代立憲主義の諸相(上)』(有斐閣・2013年)253-292頁
- 「行政制裁に対する権利保護の基礎的考察」磯野弥生他編・宮崎良夫先生古稀記念『現代行政訴訟の到達点と展望』(日本評論社・2014年)236-274頁
と問題領域・問題意識を共通にするご論文で,極めて幅広い問題群を取り扱った刺激的な内容になっています。
2014.04.28 | Comments(0) | Trackback(0)
行政法教育の改革
「行政法教育の改革──『例解 行政法』『演習 行政法』が目指すもの」と題する小稿を,UP499号(2014年)1-6頁に掲載させていただきました。これは,行政法の研究・教育の特色や課題を他分野の方々に説明すると共に,昨年秋と今年春に出版させていただいた『例解 行政法』『演習 行政法』が目指す方向性を素描したものです。UPは東京大学出版会が発行する小冊子で,全国の書店等で手にとっていただけます。
2014.04.27 | Comments(0) | Trackback(0)
公共制度設計の基礎理論
『公共制度設計の基礎理論』と題する論文集を,弘文堂より出版させていただきました。伝統ある『行政法研究双書』の30巻目に加えていただきました。
本書は,国家がこれまでになってきた作用が私人に委ねられたり(複線化),国際機構や自治組織に拡散したり(多層化)する現状を『多元的システム』の概念で把握した上で,行政法学の変容可能性を主として制度設計論の観点から模索したものです。全体は2部構成で,合計10章+補論3章(書評)からなります。2007年から2012年までに公表された論文をベースに,関連するものを一本化したり,初出時に十分でなかった言及を追加したり,最新の文献までの引用に改めたりしています。
本書の刊行にあたっては,塩野宏先生と,弘文堂の北川陽子さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。
※追記(2014年9月29日)
本書の書評として,興津征雄「書評 原田大樹著『公共制度設計の基礎理論』」季刊行政管理研究147号(2014年)54-60頁 が刊行されました。本書の主張とその構造上の特色,今後の理論的課題を明確に提示している書評であり,本書と併せてお読み頂ければと思います。
2014.04.03 | Comments(0) | Trackback(0)
グローバル化時代の公法・私法関係論
「グローバル化時代の公法・私法関係論──ドイツ「国際的行政法」論を手がかりとして」と題する論文を,社会科学研究(東京大学)65巻2号(2014年)9-33頁に掲載させていただきました。これは,東京大学の藤谷武史先生を中心とする科研基盤B「グローバル化に対応した公法・私法協働の理論構築」の中間総括として,研究グループのメンバーに加え,共通の関心を有するさまざまな分野の研究者からのご協力も得て刊行された特集に含まれています。本特集号所収の論文は全てここからダウンロードできます。幅広い問題関心の論考が多数掲載されていますので,是非ご一読下さい。
本稿では,ドイツのInternationales Verwaltungsrecht論を手がかりに,グローバル化時代において国家にいかなる役割が期待されているのか,公法学はグローバル化にどのようにアプローチすべきかを検討しました。
2014.03.31 | Comments(0) | Trackback(0)
演習 行政法
昨年10月に東京大学出版会より出版させて頂いた『例解 行政法』の姉妹編である『演習 行政法』が完成しました。全国の書店では3月25日から販売されます。
行政法を教える側にとって最大の悩みは,学部でも法科大学院でも,時間数に比して扱うべき内容が多いことです。そのため授業では行政法総論の教科書の内容を押さえるのに多くの時間を費やさざるを得ず,それだけでは具体的な行政法規を読み解くことはできないのが実情です。行政法の授業数の増加が見込めない現状からすれば,行政法総論の内容の理解から行政法規の読解や事例問題の解析ができるようになるまでの部分の多くは自習に委ねられることになります。『例解 行政法』は,このような状況に対して,具体的な行政法規を読み解く上での土地勘を身につけてもらうことを目的として執筆した,行政法各論(参照領域)の基本書でした。
これに対して本書は,具体的な行政法規を読み解き,事例問題が解けるようになるまでを扱うものであり,『例解』の内容に対応したいわば問題集として構想されました。しかし,演習書単独で利用することもできるように,事例問題を解く上で必要となる前提知識を丁寧に説明することとしました。本書の具体的な目次はこちらをご覧下さい。
法科大学院制度導入から10年が経過し,このような演習書のジャンルに属する本の種類はかなり増えてきました。例えば,応用的な問題を豊富に練習したい場合には『事例研究行政法』がすでに存在し,事例問題の解き方の勘所を掴むには『行政法解釈の基礎』が極めて示唆に富む内容をすでに示しています。スタンダードな演習書としては『行政法事例演習教材』,『ロースクール演習行政法』,『行政法──事案解析の作法』があり,またハイレベルな演習書としては『公法系訴訟実務の基礎』があります。これらと比較した本書の特徴は,事例問題にまだ馴染みがない初心者から司法試験直前の受験生まで,必要となる知識・技能をステップに区切って示していることにあります。本書の序の部分は,まだ事例問題を解いたことがない学部生向けの内容であり,第1部は事例問題についてこれから本格的に学ぼうとする学部生上級者から法科大学院生に対して典型論点の考え方を説明したものです。第2部では具体的な条文を豊富に使って,どうすれば行政法規を読み解けるようになるかを体得することを目指しています。この技能を踏まえ,第3部では司法試験問題やその類題を使って,事例問題に対応する力を総合的に高めることを目標としています。重要な論点は複数回登場するように構成されているため,本書を通読すれば,行政法に関する主要論点について一定の理解に達することができると思われます。
本書の刊行の際にも,東京大学出版会の山田秀樹さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。
2014.03.19 | Comments(0) | Trackback(0)
Verwaltungsrechtliche Aspekte der Atompolitik
2014年3月14・15日にハーゲン通信大学(Fernuniversität Hagen)で開催されたVerantwortung von Staat und Unternehmen in Katastrophenfällenというテーマのシンポジウムにおいて,Verwaltungs- und Verfassungsrechtliche Aspekte der Katastrophenbewältigung in Japanと題する報告をさせていただきました。福島第一原発事故以降の日本の原子力政策をめぐる動きや法制度の動向を,電力事業規制・原子炉規制・安全保障の3つの観点から分析する内容でした。このテーマの報告をドイツ語で行うのは3回目ですが,今回のシンポジウムには法学以外の参加者も多く,ドイツ人がどのような点に注目しているのかを改めて認識することができました。
ハーゲン通信大学・同志社大学法科大学院のMarutschke教授には大変お世話になりました。ありがとうございました。
2014.03.15 | Comments(0) | Trackback(0)
行政法総論と参照領域理論
「行政法総論と参照領域理論」と題する論文を,法学論叢(京都大学)174巻1号(2013年)1-20頁に掲載させて頂きました。これは,参照領域(行政法各論)の教科書として2013年10月末に出版させていただいた『例解 行政法』の理論的な背景を説明したものです。参照領域論と伝統的な行政法各論との相違点を,相互学習過程の設定と制度設計論・政策論の要素の2点に分けて説明することを試みました。
本稿の執筆に当たっては,米丸恒治先生・中川丈久先生・角松生史先生・興津征雄先生・神山弘行先生(神戸大学)に大変お世話になりました。また藤谷武史先生(東京大学)からも多くのご教示を頂きました。ありがとうございました。
2014.02.25 | Comments(0) | Trackback(0)
Atomenergie
"Atomenergie: Freund oder Feind des Gemeinwohls?"と題する論文を,DÖV 2014, S.74-78 に掲載させて頂きました。これは,2012年5月に日独社会科学学会で報告させて頂いた内容に加筆修正を加えたものです。当初は学会の出版物に掲載する予定でしたが,途中で学会の出版予定がなくなり,ドイツの公法学の専門雑誌の1つであるDie Öffentliche Verwaltungに掲載して頂けることになりました。
掲載に際しては,コンスタンツ大学のHans Christian Röhl教授と,ベルリン・フンボルト大学のChristoph Möllers教授からご教示を得ました。ありがとうございました。
2014.01.23 | Comments(0) | Trackback(0)
環境条約の国内実施
12月7日に上智大学で開催された「環境条約の国内実施──国際法と国内法の関係」において「国内法学(行政法学)の立場から」と題するコメントをさせていただきました。
このシンポジウムは,北海道大学の児矢野マリ先生を代表とする科研プロジェクトの中間総括の報告会であり,論究ジュリストに掲載された論文を中心とする報告が行われた後,5人のコメントがありました。行政法学の立場から,条約の担保法のあり方と,条約自体の国内法的効力の意義を中心に,行政法学の問題関心からいくつかのコメントをさせて頂きました。
北海道大学の児矢野先生,神戸大学の島村健先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。
2013.12.07 | Comments(0) | Trackback(0)
指定確認検査機関
11月9日に京都市で開催された,第60回京都行政法研究会において「指定確認検査機関」と題する報告をさせて頂きました。民営化・公私協働の進展とともに,民営化された後の活動に対して国家賠償法がどう適用されるのかという問題が生じています。最高裁の東京建築検査機構事件決定や積善会事件判決を踏まえ,民営化に伴って被害者救済が十全に果たされない事態を防ぐと共に,責任の度合いに応じて国・公共団体と私的主体とが賠償責任を分担する理論枠組としてどのようなものが考えられるかを検討しました。
京都行政法研究会は,公務員・弁護士などの実務家と研究者が共に参加するユニークな研究会ですが,このたび満10年を迎えたそうです。記念の回に報告の機会を与えて下さった岡田博史さん(京都市)はじめ,研究会でご教示を賜った参加者の皆様に御礼申し上げます。
2013.11.09 | Comments(0) | Trackback(0)