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合同ゼミ(学習院大学・京都大学)

9月8日(月)9時30分から19時まで,京都大学法学部大会議室で,学習院大学法学部大橋ゼミとの合同ゼミが開催されました。学習院大学からは16人のゼミ生全員が参加し,京都大学からもゼミ内定者(サブゼミ参加者を含む)5人が参加しました。

合同ゼミでは,学習院大学のゼミ生のゼミ論文に関するテーマ報告が行われました。身近で現代的なテーマが多く,かつテーマが多岐にわたっている点が特徴的でした。これから後期の半期をかけてどのようなゼミ論文が完成するのか楽しみです。京大生も,論文のテーマを決める上で多くのヒントを得たのではないかと思います。

「生活保護法」の適用

「『生活保護法』の適用」と題する小稿を,法学教室408号(2014年)29-34頁に掲載させていただきました。

今年度前期の法学教室は,条文に注目して,その解釈の方法を説明する特集を憲法・民法・刑法と連続して組んでおり,9月号では行政法が特集されています。憲民刑では個別の条文を対象としていましたが,行政法では1つの条文に焦点を当てることが難しいため,関連する複数の条文を挙げて解説するスタイルになっています。

行政法の条文の解釈・適用にあたっては,問題となっている条文だけではなく,関連する法律の条文,当該法律の委任を受けた法規命令の内容,委任を受けずに設けられている通達等の行政規則の内容などにも目を配り,また行政通則法と個別法,行政上の法の一般原則と個別法の間でも視線の往復を図る必要があります。この小稿では,「生活保護法」の指導指示・不利益処分を具体例にして,そのような作業の方法を説明すると共に,行政法総論の重要な諸概念を具体例に則して説明しています。

団体訴訟の制度設計

7月26日に九州大学西新プラザで開催された公開シンポジウム「団体訴訟の制度設計」において,同名のコメントをさせていただきました。

このシンポジウムは,村上裕章先生を研究代表者とする科研基盤B「現代行政の多様な展開と行政訴訟制度改革」が主宰したもので,暑い中ではありましたが,25人程度の参加がありました。まず,神戸大学の島村健先生から,環境法の団体訴訟に関する正統化論と具体的な制度設計に関するご報告があり,続いて東京大学の斎藤誠先生から,消費者法の団体訴訟をめぐる解釈論・立法論が展開されました。これを受けて,東京大学の宇賀克也先生とともに,両報告に対するコメントをさせていただきました。さらに,東京大学の山本隆司先生からも,コメントも含めた全体に対するご意見を頂戴し,その後フロアでの議論となりました。

団体訴訟に関する行政法上の諸課題やその相互関係が改めて整理され,今後の議論に向けて解決すべき課題とその方向性が明確になったように思われます。ご報告・コメントを頂いた先生方と,主宰の村上裕章先生に感謝申し上げます。

障害者差別禁止(改訂稿)

2007年に『行政課題別条例実務の要点』に収録された「障害者差別禁止」の改訂稿が,2014年5月刊行の追録に含まれています。

前回の刊行時からこれまでの間に,障害者差別禁止を内容に含む条例の数が急増すると共に,国連の障害者差別禁止条約を日本も署名・批准するという大きな変化がありました。そこで今回の改訂稿では,障害者差別禁止条約の国内実施法の現状を検討した上で,障害者差別禁止条例の意義・機能を明らかにすることと,新たに登場した条例に見られる興味深い政策実現手法を取り上げることを中心としました。

集団的消費者利益の実現と法の役割

名古屋大学の千葉恵美子先生を中心とする研究プロジェクトの成果物として,商事法務から『集団的消費者利益の実現と法の役割』と題された論文集が刊行されました。本書の前半1/3程度は,2011年の日本消費者法学会における諸報告の原稿に加筆修正を加えたものであり,これにNBLでの連載原稿や,新たな原稿を加えた総ページ数590頁,執筆者数24人の大規模な論文集となりました。

本書には以下の2本の論文を収録させていただきました。

  • 「集団的消費者利益の実現と行政法の役割──不法行為法との役割分担を中心として」千葉恵美子他編『集団的消費者利益の実現と法の役割』(商事法務・2014年)52-75頁
  • 「適合性評価の消費者保護機能」千葉恵美子他編『集団的消費者利益の実現と法の役割』(商事法務・2014年)514-531頁 

上の論文は消費者法学会報告を加筆したもの,下の論文はNBL連載論文に加筆したものです。『公共制度設計の基礎理論』にも両論文の内容は収録されていますが,いずれも別の原稿と融合させたものであるため,上記の2論文の方が初出時に近い構成となっています。

行政法関係では,ほかに,消費者法学会におけるコメントを頂戴した山本隆司先生(東京大学)がそのコメントに加筆修正を加えられた

  • 「集団的消費者利益とその実現主体・実現手法──」行政法学の観点から(商事法務・2014年)217-237頁

が掲載されています。これは,山本先生が近時公表された

  • 「行政制裁の基礎的考察」長谷部恭男他編・高橋和之先生古稀記念『現代立憲主義の諸相(上)』(有斐閣・2013年)253-292頁
  • 「行政制裁に対する権利保護の基礎的考察」磯野弥生他編・宮崎良夫先生古稀記念『現代行政訴訟の到達点と展望』(日本評論社・2014年)236-274頁

と問題領域・問題意識を共通にするご論文で,極めて幅広い問題群を取り扱った刺激的な内容になっています。

行政法教育の改革

「行政法教育の改革──『例解 行政法』『演習 行政法』が目指すもの」と題する小稿を,UP499号(2014年)1-6頁に掲載させていただきました。これは,行政法の研究・教育の特色や課題を他分野の方々に説明すると共に,昨年秋と今年春に出版させていただいた『例解 行政法』『演習 行政法』が目指す方向性を素描したものです。UPは東京大学出版会が発行する小冊子で,全国の書店等で手にとっていただけます。

公共制度設計の基礎理論

『公共制度設計の基礎理論』と題する論文集を,弘文堂より出版させていただきました。伝統ある『行政法研究双書』の30巻目に加えていただきました。

本書は,国家がこれまでになってきた作用が私人に委ねられたり(複線化),国際機構や自治組織に拡散したり(多層化)する現状を『多元的システム』の概念で把握した上で,行政法学の変容可能性を主として制度設計論の観点から模索したものです。全体は2部構成で,合計10章+補論3章(書評)からなります。2007年から2012年までに公表された論文をベースに,関連するものを一本化したり,初出時に十分でなかった言及を追加したり,最新の文献までの引用に改めたりしています。

本書の刊行にあたっては,塩野宏先生と,弘文堂の北川陽子さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

※追記(2014年9月29日)

本書の書評として,興津征雄「書評 原田大樹著『公共制度設計の基礎理論』」季刊行政管理研究147号(2014年)54-60頁 が刊行されました。本書の主張とその構造上の特色,今後の理論的課題を明確に提示している書評であり,本書と併せてお読み頂ければと思います。

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グローバル化時代の公法・私法関係論

グローバル化時代の公法・私法関係論──ドイツ「国際的行政法」論を手がかりとして」と題する論文を,社会科学研究(東京大学)65巻2号(2014年)9-33頁に掲載させていただきました。これは,東京大学の藤谷武史先生を中心とする科研基盤B「グローバル化に対応した公法・私法協働の理論構築」の中間総括として,研究グループのメンバーに加え,共通の関心を有するさまざまな分野の研究者からのご協力も得て刊行された特集に含まれています。本特集号所収の論文は全てここからダウンロードできます。幅広い問題関心の論考が多数掲載されていますので,是非ご一読下さい。

本稿では,ドイツのInternationales Verwaltungsrecht論を手がかりに,グローバル化時代において国家にいかなる役割が期待されているのか,公法学はグローバル化にどのようにアプローチすべきかを検討しました。

演習 行政法

昨年10月に東京大学出版会より出版させて頂いた『例解 行政法』の姉妹編である『演習 行政法』が完成しました。全国の書店では3月25日から販売されます。

行政法を教える側にとって最大の悩みは,学部でも法科大学院でも,時間数に比して扱うべき内容が多いことです。そのため授業では行政法総論の教科書の内容を押さえるのに多くの時間を費やさざるを得ず,それだけでは具体的な行政法規を読み解くことはできないのが実情です。行政法の授業数の増加が見込めない現状からすれば,行政法総論の内容の理解から行政法規の読解や事例問題の解析ができるようになるまでの部分の多くは自習に委ねられることになります。『例解 行政法』は,このような状況に対して,具体的な行政法規を読み解く上での土地勘を身につけてもらうことを目的として執筆した,行政法各論(参照領域)の基本書でした。

これに対して本書は,具体的な行政法規を読み解き,事例問題が解けるようになるまでを扱うものであり,『例解』の内容に対応したいわば問題集として構想されました。しかし,演習書単独で利用することもできるように,事例問題を解く上で必要となる前提知識を丁寧に説明することとしました。本書の具体的な目次はこちらをご覧下さい。

法科大学院制度導入から10年が経過し,このような演習書のジャンルに属する本の種類はかなり増えてきました。例えば,応用的な問題を豊富に練習したい場合には『事例研究行政法』がすでに存在し,事例問題の解き方の勘所を掴むには『行政法解釈の基礎』が極めて示唆に富む内容をすでに示しています。スタンダードな演習書としては『行政法事例演習教材』,『ロースクール演習行政法』,『行政法──事案解析の作法』があり,またハイレベルな演習書としては『公法系訴訟実務の基礎』があります。これらと比較した本書の特徴は,事例問題にまだ馴染みがない初心者から司法試験直前の受験生まで,必要となる知識・技能をステップに区切って示していることにあります。本書の序の部分は,まだ事例問題を解いたことがない学部生向けの内容であり,第1部は事例問題についてこれから本格的に学ぼうとする学部生上級者から法科大学院生に対して典型論点の考え方を説明したものです。第2部では具体的な条文を豊富に使って,どうすれば行政法規を読み解けるようになるかを体得することを目指しています。この技能を踏まえ,第3部では司法試験問題やその類題を使って,事例問題に対応する力を総合的に高めることを目標としています。重要な論点は複数回登場するように構成されているため,本書を通読すれば,行政法に関する主要論点について一定の理解に達することができると思われます。

本書の刊行の際にも,東京大学出版会の山田秀樹さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

Verwaltungsrechtliche Aspekte der Atompolitik

2014年3月14・15日にハーゲン通信大学(Fernuniversität Hagen)で開催されたVerantwortung von Staat und Unternehmen in Katastrophenfällenというテーマのシンポジウムにおいて,Verwaltungs- und Verfassungsrechtliche Aspekte der Katastrophenbewältigung in Japanと題する報告をさせていただきました。福島第一原発事故以降の日本の原子力政策をめぐる動きや法制度の動向を,電力事業規制・原子炉規制・安全保障の3つの観点から分析する内容でした。このテーマの報告をドイツ語で行うのは3回目ですが,今回のシンポジウムには法学以外の参加者も多く,ドイツ人がどのような点に注目しているのかを改めて認識することができました。

ハーゲン通信大学・同志社大学法科大学院のMarutschke教授には大変お世話になりました。ありがとうございました。

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