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行政法総論と参照領域理論

「行政法総論と参照領域理論」と題する論文を,法学論叢(京都大学)174巻1号(2013年)1-20頁に掲載させて頂きました。これは,参照領域(行政法各論)の教科書として2013年10月末に出版させていただいた『例解 行政法』の理論的な背景を説明したものです。参照領域論と伝統的な行政法各論との相違点を,相互学習過程の設定と制度設計論・政策論の要素の2点に分けて説明することを試みました。

本稿の執筆に当たっては,米丸恒治先生・中川丈久先生・角松生史先生・興津征雄先生・神山弘行先生(神戸大学)に大変お世話になりました。また藤谷武史先生(東京大学)からも多くのご教示を頂きました。ありがとうございました。

Atomenergie

"Atomenergie: Freund oder Feind des Gemeinwohls?"と題する論文を,DÖV 2014, S.74-78 に掲載させて頂きました。これは,2012年5月に日独社会科学学会で報告させて頂いた内容に加筆修正を加えたものです。当初は学会の出版物に掲載する予定でしたが,途中で学会の出版予定がなくなり,ドイツの公法学の専門雑誌の1つであるDie Öffentliche Verwaltungに掲載して頂けることになりました。

掲載に際しては,コンスタンツ大学のHans Christian Röhl教授と,ベルリン・フンボルト大学のChristoph Möllers教授からご教示を得ました。ありがとうございました。

環境条約の国内実施

12月7日に上智大学で開催された「環境条約の国内実施──国際法と国内法の関係 」において「国内法学(行政法学)の立場から」と題するコメントをさせていただきました。

このシンポジウムは,北海道大学の児矢野マリ先生を代表とする科研プロジェクトの中間総括の報告会であり,論究ジュリストに掲載された論文を中心とする報告が行われた後,5人のコメントがありました。行政法学の立場から,条約の担保法のあり方と,条約自体の国内法的効力の意義を中心に,行政法学の問題関心からいくつかのコメントをさせて頂きました。

北海道大学の児矢野先生,神戸大学の島村健先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。

指定確認検査機関

11月9日に京都市で開催された,第60回京都行政法研究会において「指定確認検査機関」と題する報告をさせて頂きました。民営化・公私協働の進展とともに,民営化された後の活動に対して国家賠償法がどう適用されるのかという問題が生じています。最高裁の東京建築検査機構事件決定や積善会事件判決を踏まえ,民営化に伴って被害者救済が十全に果たされない事態を防ぐと共に,責任の度合いに応じて国・公共団体と私的主体とが賠償責任を分担する理論枠組としてどのようなものが考えられるかを検討しました。

京都行政法研究会は,公務員・弁護士などの実務家と研究者が共に参加するユニークな研究会ですが,このたび満10年を迎えたそうです。記念の回に報告の機会を与えて下さった岡田博史さん(京都市)はじめ,研究会でご教示を賜った参加者の皆様に御礼申し上げます。

例解 行政法

10月25日に東京大学出版会『例解 行政法』を出版させていただきました。本書は,近時刊行がなされてこなかった行政法各論を中心とする単著の基本書で,第2部において4つの参照領域(租税法[税法]・社会保障法・環境法・都市法)を取り上げています。また,第1部では行政法総論の概要(行政過程論・行政救済論)をコンパクトに説明しています。本書の構成や刊行に至った経緯については,本書の「はしがき」「本書のねらいと学習方法」に書かせて頂いています。

行政法を学び始めた学部2年生の頃,行政法は難解でつかみどころがないという印象を持っていました。そう感じた理由はおそらく2つありました。1つは,行政法総論の全体像を把握するのが難しいということでした。当時は行為形式論で行政過程論を説明することが今ほど一般的ではなく,基本書によって行政法総論の目次自体がばらばらでした。体系論をどのように組み立てるか自体に論争があるのは理論的には興味深いですが,行政法を勉強し始めた学部生にとっては何やら敷居が高いように感じられました。もう1つは,行政法の授業を聞いても具体的な行政法規を読解する力が付いた実感が涌かなかったことです。行政法の授業では具体的な行政法令の共通要素を取り出して説明するため,具体例としてある法制度のごく一部がしばしば切り出されます。その部分のみは理解できますが,そのしくみが埋め込まれた法制度が全体としてどうなっているのかはよく分かりませんでした。

本書は,こうした初学者の段階での経験を踏まえ,行政法を分かりやすく説明するのはどうすればよいか試行錯誤する中で生まれました。第1の,全体像の把握については,自分自身が学習していた当時には高木光先生の『ライブ行政法』や石川敏行先生の『はじめて学ぶプロゼミ行政法』があり,こうした入門書の力を借りて行政法の全体像を何とか把握し,基本書を曲がりなりにも読み進めることができる基礎的な知識を得ていました。これらはいずれも現在においても秀逸な入門書ですが,どちらも改訂がなされておらず,現在の初学者には勧めづらくなっています。そこで本書第1部では,行政過程論・行政救済論の現在の輪郭をなるべくシンプルに説明することにしました。また図解を多用し,行政法の複雑な構造をなるべく視覚的に捉えてもらえるように工夫しました。頁数の制約から詳しい説明をすることはできませんでしたが,この点については現在出版されている行政法総論の基本書との併読を前提に執筆しています。

第2の,具体的な行政法規の読解力を獲得するには,いくつかのステップが必要になります。まず,行政法規の文法というべき行政法総論の知識が必要です。しかしそれだけでは読解力は身につきません。英語の読解においても単語・イディオムの理解に加え,テキストの背景知識を知っておくことが重要であることは,しばしば指摘されます。行政法規の読解もそれと同じであり,単語・イディオムにあたる個別法分野の概念・基本用語の理解や,背景知識にあたる個別法分野の基本原則・基本構造・典型的な法的しくみの理解が求められると思います。本書第2部ではこうした諸要素を4つの分野にわたって説明することで,具体的な行政法規の読解力の獲得を図ろうとしています。

本書は2006年度以降に九州大学法学部・同法務学府(法科大学院)・京都大学法科大学院で開講してきた授業の実践をまとめたものであり,試行錯誤の中間総括としての性格も持っています。行政法総論だけでなく,4つの法分野もカバーすることは困難な作業であり,思わぬ誤解もあろうかと思います。お気づきの点をご指摘頂ければ大変ありがたく存じます。また,本書の刊行を区切りとして,新たな授業実践にも取り組みたいと考えています。

本書の刊行にあたり,東京大学出版会の山田秀樹さんに大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

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行政救済法のグローバル化?

2013年9月17日に国立台湾大学(台湾)で開催された,台湾大学法律学院・京都大学法学研究科交流研討会において,「行政救済法のグローバル化?」と題する報告をさせていただきました。近時とりわけ国際法の分野で議論が活発になっている投資協定仲裁を素材に,国内公法学からみた理論的意義と検討すべき課題を素描しました。台湾側の関心も強く,想像以上に議論も盛り上がりました。

このシンポジウムは,国立台湾大学と京都大学との交流協定を踏まえ,研究面での交流を活発化させるために,今回初めて開催されました。国立台湾大学のスタッフのみなさまには大変お世話になりました。ありがとうございました。

Globalized Social Security Law

2013年9月5日・6日にドイツ・コンスタンツ大学法学部で開催された,Japanisch-Deutscher Workshop “The jurisprudence’s tasks in Globalization“において,"Establishing Partnership between Public and Private Law in the Globalized Policy-making and Enforcement Process: Focusing on Social
Security Law"と題する報告をさせていただきました。これまでの公法・私法関係論を踏まえてそのグローバル化への対応の課題を整理した後,グローバルな社会保障法の成立可能性を,年金の問題を素材として素描しました。

このワークショップの開催に当たっては,コンスタンツ大学のHans Christian Röhl教授の多大なご協力を得ました。ありがとうございました。

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行政法──憲法との共通点と相違点

笹田栄司先生(早稲田大学)との対談記事「行政法──憲法との共通点と相違点」を法学教室396号(2013年)4-18頁に掲載させて頂きました。

法学教室は今年度,法科大学院未修者向けの特集を組んでおり,この対談も一連の特集の構成要素です。編集部からの依頼は,憲法と行政法との共通点や相違点を明らかにすることで,法科大学院未修者が行政法を学習する際につまづかないようにしてほしいということでした。憲法と行政法の接点はさまざまですが,法科大学院未修者が後期に学ぶ内容の多くが行政過程論にあたることを考慮して,「条例論」「委任立法」「裁量」を具体的なテーマとして取り上げることとしました。また,発展学習のために,対談としては珍しく,脚注を55個付しています。関連する判例や論文,さらには行政法に関係する入門書・基本書の一部を脚注で紹介しました。関心のあるテーマについて,これらの脚注をもとに多くの文献を読んでみると,理解が深まると思います。

行政法学から見た原子力損害賠償

「行政法学から見た原子力損害賠償」と題する論文を,法学論叢(京都大学)173巻1号(2013年)1-25頁に掲載させて頂きました。これは,2012年12月20日に開催されたEUSI東京主宰シンポジウムでの報告原稿をもとに,加筆修正したものです。本稿はまた,公益財団法人稲盛財団研究助成(グローバルな政策実現過程の成立条件と主権国家の統治機構への影響──原子力安全分野を素材として)及び公益財団法人トラスト60研究助成(財産管理の客体論[研究代表者 原恵美・学習院大学准教授])の研究成果の一部でもあります。原子力損害賠償法に関する分析は従来,民事法からのものが中心でしたが,行政法から見ても多くの興味深い論点を含んでいます。

シンポジウムの際には,一橋大学大学院法学研究科の川崎恭治先生と中西優美子先生に大変お世話になりました。また,移籍直後の論文掲載に関しては,京都大学大学院法学研究科の毛利透先生のお手を煩わせました。ありがとうございました。

日本の原子力行政の課題

7月8日に西南学院大学法学部で開催された法学部講演会において,「日本の原子力行政の課題」と題する講演をさせていただきました。日本の原子力行政・原子力政策の構造的な特色を,電力事業規制・原子力損害賠償制度・原子炉設置規制の3つの観点から検討するものでした。西南学院大学の勢一智子先生,毛利康俊先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。

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