ernst

paco Home>ernst

行政法教育の改革

「行政法教育の改革──『例解 行政法』『演習 行政法』が目指すもの」と題する小稿を,UP499号(2014年)1-6頁に掲載させていただきました。これは,行政法の研究・教育の特色や課題を他分野の方々に説明すると共に,昨年秋と今年春に出版させていただいた『例解 行政法』『演習 行政法』が目指す方向性を素描したものです。UPは東京大学出版会が発行する小冊子で,全国の書店等で手にとっていただけます。

公共制度設計の基礎理論

『公共制度設計の基礎理論』と題する論文集を,弘文堂より出版させていただきました。伝統ある『行政法研究双書』の30巻目に加えていただきました。

本書は,国家がこれまでになってきた作用が私人に委ねられたり(複線化),国際機構や自治組織に拡散したり(多層化)する現状を『多元的システム』の概念で把握した上で,行政法学の変容可能性を主として制度設計論の観点から模索したものです。全体は2部構成で,合計10章+補論3章(書評)からなります。2007年から2012年までに公表された論文をベースに,関連するものを一本化したり,初出時に十分でなかった言及を追加したり,最新の文献までの引用に改めたりしています。

本書の刊行にあたっては,塩野宏先生と,弘文堂の北川陽子さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

※追記(2014年9月29日)

本書の書評として,興津征雄「書評 原田大樹著『公共制度設計の基礎理論』」季刊行政管理研究147号(2014年)54-60頁 が刊行されました。本書の主張とその構造上の特色,今後の理論的課題を明確に提示している書評であり,本書と併せてお読み頂ければと思います。

続きを読む

グローバル化時代の公法・私法関係論

グローバル化時代の公法・私法関係論──ドイツ「国際的行政法」論を手がかりとして」と題する論文を,社会科学研究(東京大学)65巻2号(2014年)9-33頁に掲載させていただきました。これは,東京大学の藤谷武史先生を中心とする科研基盤B「グローバル化に対応した公法・私法協働の理論構築」の中間総括として,研究グループのメンバーに加え,共通の関心を有するさまざまな分野の研究者からのご協力も得て刊行された特集に含まれています。本特集号所収の論文は全てここからダウンロードできます。幅広い問題関心の論考が多数掲載されていますので,是非ご一読下さい。

本稿では,ドイツのInternationales Verwaltungsrecht論を手がかりに,グローバル化時代において国家にいかなる役割が期待されているのか,公法学はグローバル化にどのようにアプローチすべきかを検討しました。

演習 行政法

昨年10月に東京大学出版会より出版させて頂いた『例解 行政法』の姉妹編である『演習 行政法』が完成しました。全国の書店では3月25日から販売されます。

行政法を教える側にとって最大の悩みは,学部でも法科大学院でも,時間数に比して扱うべき内容が多いことです。そのため授業では行政法総論の教科書の内容を押さえるのに多くの時間を費やさざるを得ず,それだけでは具体的な行政法規を読み解くことはできないのが実情です。行政法の授業数の増加が見込めない現状からすれば,行政法総論の内容の理解から行政法規の読解や事例問題の解析ができるようになるまでの部分の多くは自習に委ねられることになります。『例解 行政法』は,このような状況に対して,具体的な行政法規を読み解く上での土地勘を身につけてもらうことを目的として執筆した,行政法各論(参照領域)の基本書でした。

これに対して本書は,具体的な行政法規を読み解き,事例問題が解けるようになるまでを扱うものであり,『例解』の内容に対応したいわば問題集として構想されました。しかし,演習書単独で利用することもできるように,事例問題を解く上で必要となる前提知識を丁寧に説明することとしました。本書の具体的な目次はこちらをご覧下さい。

法科大学院制度導入から10年が経過し,このような演習書のジャンルに属する本の種類はかなり増えてきました。例えば,応用的な問題を豊富に練習したい場合には『事例研究行政法』がすでに存在し,事例問題の解き方の勘所を掴むには『行政法解釈の基礎』が極めて示唆に富む内容をすでに示しています。スタンダードな演習書としては『行政法事例演習教材』,『ロースクール演習行政法』,『行政法──事案解析の作法』があり,またハイレベルな演習書としては『公法系訴訟実務の基礎』があります。これらと比較した本書の特徴は,事例問題にまだ馴染みがない初心者から司法試験直前の受験生まで,必要となる知識・技能をステップに区切って示していることにあります。本書の序の部分は,まだ事例問題を解いたことがない学部生向けの内容であり,第1部は事例問題についてこれから本格的に学ぼうとする学部生上級者から法科大学院生に対して典型論点の考え方を説明したものです。第2部では具体的な条文を豊富に使って,どうすれば行政法規を読み解けるようになるかを体得することを目指しています。この技能を踏まえ,第3部では司法試験問題やその類題を使って,事例問題に対応する力を総合的に高めることを目標としています。重要な論点は複数回登場するように構成されているため,本書を通読すれば,行政法に関する主要論点について一定の理解に達することができると思われます。

本書の刊行の際にも,東京大学出版会の山田秀樹さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

Verwaltungsrechtliche Aspekte der Atompolitik

2014年3月14・15日にハーゲン通信大学(Fernuniversität Hagen)で開催されたVerantwortung von Staat und Unternehmen in Katastrophenfällenというテーマのシンポジウムにおいて,Verwaltungs- und Verfassungsrechtliche Aspekte der Katastrophenbewältigung in Japanと題する報告をさせていただきました。福島第一原発事故以降の日本の原子力政策をめぐる動きや法制度の動向を,電力事業規制・原子炉規制・安全保障の3つの観点から分析する内容でした。このテーマの報告をドイツ語で行うのは3回目ですが,今回のシンポジウムには法学以外の参加者も多く,ドイツ人がどのような点に注目しているのかを改めて認識することができました。

ハーゲン通信大学・同志社大学法科大学院のMarutschke教授には大変お世話になりました。ありがとうございました。

行政法総論と参照領域理論

「行政法総論と参照領域理論」と題する論文を,法学論叢(京都大学)174巻1号(2013年)1-20頁に掲載させて頂きました。これは,参照領域(行政法各論)の教科書として2013年10月末に出版させていただいた『例解 行政法』の理論的な背景を説明したものです。参照領域論と伝統的な行政法各論との相違点を,相互学習過程の設定と制度設計論・政策論の要素の2点に分けて説明することを試みました。

本稿の執筆に当たっては,米丸恒治先生・中川丈久先生・角松生史先生・興津征雄先生・神山弘行先生(神戸大学)に大変お世話になりました。また藤谷武史先生(東京大学)からも多くのご教示を頂きました。ありがとうございました。

Atomenergie

"Atomenergie: Freund oder Feind des Gemeinwohls?"と題する論文を,DÖV 2014, S.74-78 に掲載させて頂きました。これは,2012年5月に日独社会科学学会で報告させて頂いた内容に加筆修正を加えたものです。当初は学会の出版物に掲載する予定でしたが,途中で学会の出版予定がなくなり,ドイツの公法学の専門雑誌の1つであるDie Öffentliche Verwaltungに掲載して頂けることになりました。

掲載に際しては,コンスタンツ大学のHans Christian Röhl教授と,ベルリン・フンボルト大学のChristoph Möllers教授からご教示を得ました。ありがとうございました。

環境条約の国内実施

12月7日に上智大学で開催された「環境条約の国内実施──国際法と国内法の関係 」において「国内法学(行政法学)の立場から」と題するコメントをさせていただきました。

このシンポジウムは,北海道大学の児矢野マリ先生を代表とする科研プロジェクトの中間総括の報告会であり,論究ジュリストに掲載された論文を中心とする報告が行われた後,5人のコメントがありました。行政法学の立場から,条約の担保法のあり方と,条約自体の国内法的効力の意義を中心に,行政法学の問題関心からいくつかのコメントをさせて頂きました。

北海道大学の児矢野先生,神戸大学の島村健先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。

指定確認検査機関

11月9日に京都市で開催された,第60回京都行政法研究会において「指定確認検査機関」と題する報告をさせて頂きました。民営化・公私協働の進展とともに,民営化された後の活動に対して国家賠償法がどう適用されるのかという問題が生じています。最高裁の東京建築検査機構事件決定や積善会事件判決を踏まえ,民営化に伴って被害者救済が十全に果たされない事態を防ぐと共に,責任の度合いに応じて国・公共団体と私的主体とが賠償責任を分担する理論枠組としてどのようなものが考えられるかを検討しました。

京都行政法研究会は,公務員・弁護士などの実務家と研究者が共に参加するユニークな研究会ですが,このたび満10年を迎えたそうです。記念の回に報告の機会を与えて下さった岡田博史さん(京都市)はじめ,研究会でご教示を賜った参加者の皆様に御礼申し上げます。

例解 行政法

10月25日に東京大学出版会『例解 行政法』を出版させていただきました。本書は,近時刊行がなされてこなかった行政法各論を中心とする単著の基本書で,第2部において4つの参照領域(租税法[税法]・社会保障法・環境法・都市法)を取り上げています。また,第1部では行政法総論の概要(行政過程論・行政救済論)をコンパクトに説明しています。本書の構成や刊行に至った経緯については,本書の「はしがき」「本書のねらいと学習方法」に書かせて頂いています。

行政法を学び始めた学部2年生の頃,行政法は難解でつかみどころがないという印象を持っていました。そう感じた理由はおそらく2つありました。1つは,行政法総論の全体像を把握するのが難しいということでした。当時は行為形式論で行政過程論を説明することが今ほど一般的ではなく,基本書によって行政法総論の目次自体がばらばらでした。体系論をどのように組み立てるか自体に論争があるのは理論的には興味深いですが,行政法を勉強し始めた学部生にとっては何やら敷居が高いように感じられました。もう1つは,行政法の授業を聞いても具体的な行政法規を読解する力が付いた実感が涌かなかったことです。行政法の授業では具体的な行政法令の共通要素を取り出して説明するため,具体例としてある法制度のごく一部がしばしば切り出されます。その部分のみは理解できますが,そのしくみが埋め込まれた法制度が全体としてどうなっているのかはよく分かりませんでした。

本書は,こうした初学者の段階での経験を踏まえ,行政法を分かりやすく説明するのはどうすればよいか試行錯誤する中で生まれました。第1の,全体像の把握については,自分自身が学習していた当時には高木光先生の『ライブ行政法』や石川敏行先生の『はじめて学ぶプロゼミ行政法』があり,こうした入門書の力を借りて行政法の全体像を何とか把握し,基本書を曲がりなりにも読み進めることができる基礎的な知識を得ていました。これらはいずれも現在においても秀逸な入門書ですが,どちらも改訂がなされておらず,現在の初学者には勧めづらくなっています。そこで本書第1部では,行政過程論・行政救済論の現在の輪郭をなるべくシンプルに説明することにしました。また図解を多用し,行政法の複雑な構造をなるべく視覚的に捉えてもらえるように工夫しました。頁数の制約から詳しい説明をすることはできませんでしたが,この点については現在出版されている行政法総論の基本書との併読を前提に執筆しています。

第2の,具体的な行政法規の読解力を獲得するには,いくつかのステップが必要になります。まず,行政法規の文法というべき行政法総論の知識が必要です。しかしそれだけでは読解力は身につきません。英語の読解においても単語・イディオムの理解に加え,テキストの背景知識を知っておくことが重要であることは,しばしば指摘されます。行政法規の読解もそれと同じであり,単語・イディオムにあたる個別法分野の概念・基本用語の理解や,背景知識にあたる個別法分野の基本原則・基本構造・典型的な法的しくみの理解が求められると思います。本書第2部ではこうした諸要素を4つの分野にわたって説明することで,具体的な行政法規の読解力の獲得を図ろうとしています。

本書は2006年度以降に九州大学法学部・同法務学府(法科大学院)・京都大学法科大学院で開講してきた授業の実践をまとめたものであり,試行錯誤の中間総括としての性格も持っています。行政法総論だけでなく,4つの法分野もカバーすることは困難な作業であり,思わぬ誤解もあろうかと思います。お気づきの点をご指摘頂ければ大変ありがたく存じます。また,本書の刊行を区切りとして,新たな授業実践にも取り組みたいと考えています。

本書の刊行にあたり,東京大学出版会の山田秀樹さんに大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

続きを読む

研究関連

授業関連

HDG

Links

Weblog

follow us in feedly follow us in feedly

Calendar

<<2026年02月>>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728 

Archives

Category

Blog Post

Comments

Trackbacks