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第5回 ゼミ論文テーマ報告①
本日のゼミから,各自のゼミ論文のテーマ発表が行われました。
伊藤さんは「防災大国日本にむけて」というテーマで災害対策法や環境法から自然災害による被害を未然に防ぐ施策について発表してくれました。
小池さんは「多様なニーズに応える民泊を実現するための現状と今後の課題」として,現行の民泊法の課題や今後推進していく上で問題となる点について発表してくれました。
和多田さんは「高齢運転者とその安全対策をめぐる諸問題」というテーマで,話題となっている池袋での車暴走事故から,考えられるこのような事故を防ぐ手立てについて,物・人の両側面からの解決策について発表してくれました。
今回の発表者のテーマはどれも実生活に身近な問題を取り上げており,ゼミ生から多くの質問が出るなど活発な議論ができました。(古閑)
2019.11.13 | Comments(0) | Trackback(0)
第4回 判例評釈② 道路判定の処分性
道路判定と登録価格決定に関する判例についてグループ発表が行われました。
発表では,まず,判旨や道路判定や固定資産税等の制度について説明がありました。その後,今回の判例での道路判定に処分性がなぜ認められないのかという論点を中心に他の事例との比較などを通じて検討がなされました。発表を聞いたゼミ生からは今回の判例の意義や処分性の有無を判断する上での考慮事項について質問がありました。
行政法の学習の中でも大変重要なテーマである処分性に関して,どのような根拠で裁判所がその有無を判断しているかを具体的な制度の違いに注目して考えることができました。今後の処分性に関する判例にも是非注目し,理解を深められたらと思います。(小池)
2019.10.30 | Comments(0) | Trackback(0)
第3回 判例評釈① 教員採用処分の職権取消
今回は判例評釈の1回目で,授益的行政処分の職権取消にかかる制限に関する高裁判例についての発表がありました。引用判例や類似事件の判例,学説とを比較しつつ職権取消の許否の判断枠組みについて議論を行いました。(古閑)
2019.10.23 | Comments(0) | Trackback(0)
2019年度第2回GNL科研研究会
科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2019年度第2回研究会(ローカル実証チーム主催)を,2019年10月19日(土)に京都大学大学院法学研究科で開催しました。分担研究者・ゲスト・京都大学の教員・院生等約20名が参加しました。
○「圏域構想の法的意義」(原田大樹・京都大学教授)
自治体戦略2040で登場し,現在でも議論が続いている「圏域」の問題について,その議論の背景や,現在の議論状況を踏まえ,広域連携の制度設計の際に考慮すべき要素を検討しました。
○「圏域構想と民主主義」(待鳥聡史・京都大学教授)
現在検討が進んでいる圏域という考え方の文脈を明らかにしたうえで,民主主義・民主的正統性の観点から圏域の特色やあるべき姿を議論しました。
○「地方制度調査会での現地調査からみた圏域連携」(牧原出・東京大学教授)
圏域が議論されている地方制度調査会が実施している現地調査でのヒヤリング結果を踏まえ,圏域をめぐる地方公共団体の具体的なニーズや圏域形成が成功する要素を明らかにしました。
2019.10.19 | Comments(0) | Trackback(0)
政策実現過程のグローバル化
昨年度まで実施していた科学研究費・基盤研究B「政策実現過程のグローバル化に対応した法執行過程・紛争解決過程の理論構築」の研究成果として,弘文堂から『政策実現過程のグローバル化』を刊行させて頂きました。
本書は,序論に続き,「法執行(エンフォースメント)」「権利救済(紛争解決)」「グローバル化の諸相」の3つの部から構成されています。各部は5~6章から成っており,公法学・私法学の双方から,グローバル化の現状分析と,理論的な整理の方向性が示されています。具体的な内容と初出(初出表示がない論文は書き下ろし)は以下の通りです。
本書の企画・刊行に当たっては,弘文堂の北川陽子さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。
2019.10.16 | Comments(0) | Trackback(0)
第2回 行政法総論の復習
四回生が三回生に教えるという形で,行政法の復習を行いました。ゼミ生より内容がわかりづらいとの声が多くあった「公定力」について取り上げました。
まず初めに,公定力について四回生から三回生に向けて各々発表し,その後,発表に関して三回生から質問がなされました。発表の内容は多様でしたが,公定力の定義や根拠,及ぶ範囲(国家賠償訴訟との関係等),機能等について多くのゼミ生が言及しました。次に,議論等の中で生じたゼミ生の疑問に答える形で原田先生より公定力に関する説明がありました。特に,判例や学説の推移についてお話頂き,公定力に関する最先端の議論にも触れることができました。
公定力という難しいテーマでしたが,それに関してお互いの疑問点を共有し,解決することで,あらゆる角度から公定力を捉えられるようになり,理解が深まりました。ゼミならではの充実した学びができ,今後の判例評釈や各自の論文の発表に向けて良いスタートダッシュになったと思います。(小池)
2019.10.09 | Comments(0) | Trackback(0)
第1回 オリエンテーション
2019年度後期のゼミが始まりました。今年は例年よりも人数が小規模ですが,その分,突っ込んだ議論もできそうです。
初回となった今回は,自己紹介の後,今期のゼミで行うことの紹介や,ゼミ報告の割当,ゼミ役員の決定がありました。その後,行政法総論のアウトラインの説明や,判例評釈の報告にむけた事前の準備を行いました。
2019.10.02 | Comments(0) | Trackback(0)
2019年度第1回GNL科研全体研究会
科学研究費基盤研究A「グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析」(GNL)の2019年度第1回全体研究会を,2019年7月21日(日)に京都大学大学院法学研究科で開催しました。分担研究者・ゲスト・京都大学の教員・院生等約30名が参加しました。
○「グローバル化をめぐる議論の現状と課題」(原田大樹・京都大学教授)
本科研に先行する科研基盤B「政策実現過程のグローバル化に対応した法執行過程・紛争解決過程の理論構築」の成果物としてまもなく刊行が予定されている研究書の内容を紹介しながら,前科研の到達点と,今後の研究課題を整理しました。
○「基盤研究(B)『トランスナショナル・ローの法理論―多元的法とガバナンス』―これまでの研究」(横溝大・名古屋大学教授,浅野有紀・同志社大学教授)
本科研と密接な関係を有する科研基盤B(TNL科研)のこれまでの研究を整理するとともに,最終年次に予定される研究活動と,本科研との接続関係を議論しました。
○「ローカルな法秩序とその調整のあり方」(飯島淳子・東北大学教授)
本科研から研究対象として取り組むことになったローカルな法秩序の中でも,公法学にとって代表的な法領域である地方自治の問題について,その現状や改革の動向,さらにはグローバル法研究との接続可能性を検討しました。
2019.07.21 | Comments(0) | Trackback(0)
行政法のさらなる発展
3月15日・16日に,ドイツ・コンスタンツで,Fortentwicklung des Verwaltungsrechts(行政法のさらなる発展)と題された日独行政法シンポジウム(主宰:コンスタンツ大学法学部,共催:独日法律家協会,科学研究費・基盤研究A「持続可能な公共財としての原子力法システムの可能性」(研究代表者:高木光・京都大学教授))が開催されました(プログラム[ドイツ語]・プログラム[日本語])。
【1日目(3月15日)】
初日の午前中は,大橋洋一・学習院大学教授の司会で,手続・組織・訴訟法の視角から,5つの報告がありました。
○Kooperation und Verständigung im Verwaltungsverfahren(須田守・京都大学准教授)
和解(契約)の許容性をめぐる日独のスタンスの違いを提示した上で,事実認定・調査の観点から法律の優位との関係を意識しつつその許容性を検討する意欲的な報告でした。報告後にドイツ人参加者から出された質問・コメントで示された議論の方向性も興味深いものでした。
○Neue Strukturelemente im nationalen und europäischen Verwaltungsverfahrensrecht(Ann-Katrin Kaufhold ミュンヘン大学教授)
「受容」(Akzeptanz)の概念と市民参加手続の関係を,原子力廃棄物の場所選定を手がかりに検討するもので,議論素材としても非常に興味深いものでした。「受容」概念は日本でもこのところ言及されることが多くなっていますが,日本とドイツの概念定義を揃えるべきかはやや難しい問題と感じました。
○Organisation und Legitimation im Europäischen Verwaltungsverbund(Bettina Schöndorf-Haubold ギーセン大学教授)
欧州の行政連携に関する一般理論(さまざまな組織形態の分析)と,データ保護における新たな展開を紹介するものでした。最後に示されていた日本法に関する質問事項は,時間の関係もあってほとんど議論できませんでしたが,ひとつひとつが重たい課題でした。
○Ermessenslehre im Wandel – Problematik der gerichtlichen Kontrolldichte(巽智彦・成蹊大学准教授)
ドイツの裁量論の現状を分析しつつ,日本の裁量論を大胆に合理化しようとする内容で,ドイツ人側からの質問・コメントも非常に多く寄せられていました。
○Kontrolldichte im deutschen und europäischen Verwaltungsrecht: technisches Ermessen und Beurteilungsspielräume im Vergleich (Jens-Peter Schneider フライブルク大学教授)
ドイツの裁量論の現状を,ドイツの裁判所とEUの裁判所の判断方法の違いに注目しながら論じるもので,巽報告と好対照をなしていました。時間の制約から質疑ができなかったのは残念でした。
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初日の午後は,原田大樹・京都大学教授の司会で,規制の視角から4つの報告がありました。
○Intra- und Interadministrative Rechtsstreitigkeiten(西上治・神戸大学准教授)
行政組織・行政機関間の訴訟に関する日独の議論状況や法制度・判例の相違を詳細に分析するもので,ドイツで認められている機関訴訟の背景事情をいくつかに類型化した視点が関心を惹きました。
○Zwangseinweisung ins Krankenhaus im japanischen Gesundheitsrecht: Ein Schnittpunkt vom Sozialrecht und Polizeirecht(太田匡彦・東京大学教授)
感染症予防や精神病の場合になされる強制入院に関する詳細な検討を踏まえ,行政法総論の意義を再検討しようとする壮大な内容でした。法技術的な内容も含め,ドイツ人側から多くの質問が寄せられていました。
○Privatverwaltungsrecht? Am Beispiel des Finanzmarkt- und Bankenrechts in Japan(山本隆司・東京大学教授)
「私行政法」の概念を示し,その具体的な素材として資本市場規制法・金融法における自主規制を豊富に取り上げるものでした。ドイツ人側からは私人の関与の仕方に関する日本法の特殊性に,日本人側からは「私行政法」の他の類似概念との違いに関する質問が多く寄せられました。
○Variationen zum Thema: „Ius publicum est quod ad statum rei publicae spectat (Eberhard Schmidt-Aßmann ハイデルベルク大学名誉教授)
公法と私法の相違や共通性を比較法と憲法の視点から論じ,熟慮の枠組としてこの問題を再定位する内容の報告でした。
【2日目(3月16日)】
2日目は,前半は原田大樹・京都大学教授,後半はHans Christian Röhlコンスタンツ大学教授の司会で,地方自治の構造と持続可能性を統一テーマに4つの報告がありました。
○Neuere Entwicklung des Selbstverwaltungsrechts in Japan(大橋洋一・学習院大学教授)
第二次地方分権改革とその成果としての提案制度について,多面的な側面から検討する内容で,政策調整の具体例としても非常に興味を惹くものでした。
○Selbstverwaltungsgarantie und geänderte kommunale Organisations- und Kommunikationsstrukturen(Hans Christian Röhl コンスタンツ大学教授)
行政手続の電子化によるコミュニケーション構造の変化を前にして,従来の地方自治の憲法保障はどのように変容するかを論じるもので,直接民主政の問題や自治監督の恒常化が多く扱われていました。
○Reform der Verwaltungsrechtsdogmatik angesichts der Reduzierung des demographischen Saldos(原田大樹・京都大学教授)
人口減少時代に変容する都市法と地方自治法の展開を紹介し,これらを理論的に整序する手がかりとして,地方自治構造の複線化と公的任務の調整・媒介作用の重要性を指摘するものでした。
○Die Bedeutung der Generationengerechtigkeit für das Verfassungsrecht(毛利透・京都大学教授)
Kahl教授の持続可能性論を素材に,持続可能性の憲法上の位置づけや,民主政との関係を包括的に検討するものでした。
○Kommunaler Bürgerentscheid als Instrument der Nachhaltigkeit?(Wolfgang Kahl ハイデルベルク大学教授)
直接民主政に関する包括的な研究の一環で,バーデン・ヴュルテンベルク州の住民参加(住民発議・住民投票)制度を素材に,持続可能性に対するその影響を検討する内容でした。
国際シンポジウムは,コンスタンツ旧市役所の大ホールで開催され,日本側・ドイツ側併せて30人程度が参加しました。ドイツ側では,コンスタンツ大学のMaurer名誉教授やIbler教授が参加されました。日本側は若手の研究者(院生・助教・准教授)が比較的多く参加しました。報告はいずれも興味深いもので,日独の行政法学の学問交流の新たなステージの幕開けに立ち会えたように思われます。
2019.03.16 | Comments(0) | Trackback(0)
ERG科研等国際ワークショップ
科学研究費基盤研究B「政策実現過程のグローバル化に対応した法執行過程・紛争解決過程の理論構築」(ERG科研)及び野村財団「政策実現過程のグローバル化と法執行・紛争解決の法理論」による国際ワークショップを,3月5日(火)に同志社大学で開催しました。
前半は,日・独・仏の公法・私法それぞれの立場から,4つの報告がありました。
○Globalization on Policy Materialization and the Future of the Japanese Law (Prof. Dr. Hiroki Harada, Kyoto University)
本科研のプロジェクトの研究成果を総括する報告で,グローバル化に共通して見られる日本法の解釈論上の問題点を取り出し,どのような法的議論が必要かを提示しました。
○Powers of Tax Authorities and Courts of Auditors in Cross-border Cases in a Globalizing World (Prof. Dr. Christian Waldhoff, Humboldt-University of Berlin)
国際租税法の観点から,ドイツ法・EU法・国際法の相互関係や執行協力の状況,さらに会計検査院の対外的活動についても説き及ぶ内容でした。
○The Migration of Professionals: Free Labor Mobility and its Frictions (Prof. Dr. Winfried Kluth, Martin Luther University Halle-Wittenberg)
移民法を素材に,ドイツ法の現状を紹介するとともに,国連の移民に関するグローバルコンパクトが持つ法理論的特性や可能性を提示しました。
○The Future of Investor-State Dispute Settlement and the Multi-lateral Investment Court Project (Prof. Dr. Mathias Audit, Pantheon-Sorbonne University)
投資協定仲裁に代わる新たな紛争解決手段としてEUが重視する投資裁判所構想の利点や問題点を明らかにする内容でした。
後半は,東京大学の藤谷武史先生(分担研究者)の司会で,フロアからの質疑や報告者間での質疑が活発になされました。広義の法執行(エンフォースメント)や紛争解決に関係するグローバル化の現状と課題について,さまざまな視点からの議論が提示され,その問題状況の共通性と個別性とが重層的な形で明らかになったように思われます。
2019.03.05 | Comments(0) | Trackback(0)