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現代実定法入門
弘文堂より『現代実定法入門―人と法と社会をつなぐ』を出版させて頂きました。
単著の法学入門を書いてみたいと思ったのは,今から10年以上前のことでした。博士論文(『自主規制の公法学的研究』)を書いているときに,自主規制の素材を集めるため行政法以外の分野の著書・論文を多く読んでいると,それぞれの分野で議論している内容は外見上は全く違うように見えても,同じような頭の使い方をしているのではないかと感じることがよくありました。その思いはその後,多くの学際的な研究会に参加させて頂いて報告や議論をしたりするたびに強化され,そのような法分野を越えた共通の考え方を示すことができれば,研究面で新たな発見に繋がるのではないかと感じていました。
また,教育の場面でも法学入門の必要性を感じていました。行政法の授業では,六法科目や応用科目の内容を前提としていることが多く,必ずしも全ての学生が行政法の前提となっているこうした科目を履修した上で行政法の授業に来ている訳ではないことから,こうした科目の内容を短く紹介する必要があります。その作業の過程で,法学部出身者であれば少なくともこのくらいの知識があった方がよいのではないかという要素がある程度固まってきました。
本書は,こうした経験を背景にして,法学のそれぞれの分野を超えた共通の概念や考え方をできるだけ明快に説明すること,法学部出身者であれば知っておきたい法的な知識(=さまざまな社会問題の背景に存在している法的な構造)をコンパクトに説明することに主眼を置いた法学入門書です。単著の法学入門であるため,各章のまとまりは必ずしも法学の各科目には対応せず,人間社会のルールという観点から再構成したものとなっています。本書の副題が「人と法と社会をつなぐ」となっている背景には,こうした事情があります。
本書の出版に当たっては,弘文堂の北川陽子さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。
2017.04.22 | Comments(0) | Trackback(0)
第3回ERG科研研究会
科学研究費基盤研究B「政策実現過程のグローバル化に対応した法執行過程・紛争解決過程の理論構築」(ERG科研) の第3回研究会を同志社大学司法研究科で開催しました。
【3月29日(水)】
○「独占禁止法におけるベスト・プラクティスと『アウトソーシング』」(中川晶比兒・北海道大教授)
行政機関の国際ネットワークの具体例として言及されるICNや,域外適用の問題でかならず引き合いに出される独禁法の適用問題を中心とする報告をして頂きました。競争法領域と他の領域の構造的な違いがよくわかりました。
○「租税・財政・金融分野におけるグローバル化と法執行の現状」(藤谷武史[研究分担者])
BEPSの問題で国際的な執行協力の枠組が加速しつつある国際租税法を中心に,法執行におけるグローバル化の現状とそれによって生じる新たな法的課題への対応が議論されました。
【3月30日(木)】
○「法的・政治的現象としてのドイツ帝国」(大西楠テア[研究分担者])
トリーペルの議論から,今日の公法学にも通じる方法論的課題やグローバル化の法的把握のヒントを得ようとする意欲的な報告でした。
このほか,今年度・来年度の活動に関する調整や,研究成果報告の方法についても活発な議論が行われました。
2017.03.30 | Comments(0) | Trackback(0)
行政法クロニクル
本日発売の法学教室2017年4月号(439号)から2年間の予定で,行政法の連載を担当することとなりました。
連載は「行政法クロニクル」と題して,行政法理論の近時の変容とその方向性を展望することを目的としています。かつて行政法学の通説と呼ばれた田中二郎先生の体系と,現在の基本書がとっている説明との間には,かなり大きな差があります。他方で,実務や公務員試験の世界では,なお田中説の影響と思われる議論や概念が残っています。そこで,現在の行政法理論に田中二郎説がどの程度の影響を残し,あるいは残していないのかを,田中二郎説において重要な概念・議論と位置付けられてきた項目を取り上げながら説明するのが,この連載の中心的な課題です。
第1回は「行政の概念」を取り上げており,田中二郎説の内容(I. 原像)と現在の行政法の基本書の説明(II. 現状)を対比させた上で,その差異が生まれた背景事情を説明し(III. 架橋),今後の行政の概念をめぐる議論の可能性を模索する(IV. 展望)こととしています。
なお,現在のところ,以下の項目について順次取り上げることを予定しています。
○2017年度
・行政の概念(4月号)
・行政法と民事法(5月号)
・法律と条例(6月号)
・行政行為論と行為形式論(7月号)
・行政裁量(8月号)
・行政行為の分類(9月号)
・契約と行政行為(10月号)
・行政行為の効力(11月号)
・行政行為の無効と取消(12月号)
・行政行為の取消と撤回(1月号)
・行政立法と行政基準(2月号)
・行政上の義務履行確保(3月号)
○2018年度
・国家賠償(4月号)
・損失補償(5月号)
・行政審判(6月号)
・当事者訴訟(7月号)
・取消訴訟の審理と判決効(8月号)
・取消訴訟の訴訟要件(9月号)
・仮の救済(10月号)
・行政委員会(11月号)
・道州制と圏域構想(12月号)
・独立行政法人論と行政主体論(1月号)
・公物と私法秩序(2月号)
・行政法各論と参照領域論(3月号)
2017.03.28 | Comments(0) | Trackback(0)
第14回 ゼミ論文報告会
最終回のゼミは,論文の骨子を発表し,ゼミの感想を言う回となりました。
最終的に提出された論文タイトルは以下の通りです。
・「廃線と当事者の範囲」青木健吾
・「訪日ムスリム観光客への対応について」石川生希子
・「たばこ規制について」上垣希美
・「老人福祉施設における暴力をめぐる問題—利用者による暴力からの職員の保護—」大野花代
・「虐待防止へ向けての提言」川端 悠平
・「暴対法と暴排条例の関わりと暴力団規制のこれから」國近賢宏
・「地方分権改革」小林奨弥
・「医療事故調査制度の今後のあり方」白崎隼一
・「民泊営業に関わる法律とその実効性について」竹中那月
・「人口減少時代における公私恊働——PFIを中心として」知念良輝
・「外国人の生活保護の救済の模索」平野賢士郎
・「河川管理行政のありかた」原口竜太朗
・「これからの地域運営組織のあり方」山内美佳
・「日本における『忘れられる権利』」吉川聡美
・「スマホゲームにおけるガチャ問題について」權拓成
・「京都の芸娼妓をめぐる歴史と法の変遷」加藤まり
・「制裁を目的とする公表が抱える法的問題」高橋優
2017.01.24 | Comments(0) | Trackback(0)
第2回ERG科研研究会
科学研究費基盤研究B「政策実現過程のグローバル化に対応した法執行過程・紛争解決過程の理論構築」(ERG科研) の第2回研究会を同志社大学司法研究科で開催しました。
【1月21日(土)】
○「国際法適合的解釈と法の多元化・多層化」(山田哲史・岡山大准教授)
グローバル化論の観点から新たな憲法理論の構築を行っている山田哲史・岡山大准教授にお越し頂き,近著で扱われている国際法適合的解釈に関する日・独・米の比較研究の成果をご報告頂きました。
○「憲法学からみた投資協定仲裁(村西良太[研究分担者])
近時国内公法学でも注目を集めつつある投資協定仲裁について,その統治機構論から見た問題点を整理し,今後の検討の方向性を示す報告でした。
【1月22日(日)】
○「国際職務共助手続の法構造」(須田守・京都大准教授)
行政手続に関する基礎理論研究で新機軸を示しつつある須田守・京都大准教授をお招きし,国際職務共助手続を検討する上で必要になる基礎理論や基礎概念について,ドイツでの議論を踏まえた報告をして頂きました。
○「国際通商におけるプライベート・スタンダードの台頭」(内記香子・大阪大准教授)
国内法の議論とも整合性の高い国際取引法・通商法の議論をこれまで提示してこられている内記香子・大阪大准教授に,国際取引法におけるプライベート・スタンダードの現状やその背景,さらには法的アプローチの際に解決が求められる諸課題に関する報告を行ってもらいました。
2017.01.22 | Comments(0) | Trackback(0)
第13回 ゼミ論文経過報告5
今日は今年最初の,そして通常回としては最終回のゼミでした。
大野さんは,「老人福祉施設における暴力をめぐる問題」に関する報告を行いました。締結強制の問題よりも,安全配慮義務に注目した立論が重要となりそうです。
川端さんは,「虐待防止へ向けた行政の在り方」に関する報告を行いました。乳児家庭全戸訪問事業がどのくらいの効果をもっているのか,誰が見守るべきかが制度設計の鍵となりそうです。
石川さんは,「訪日ムスリム観光客への対応について」に関する報告を行いました。誘導行政(バリアフリー法)の文脈や認証制度などの行政法の最先端の仕組みが扱われました。
國近さんは,「暴対法と暴排条例の関わりと暴力団規制のこれから」に関する報告を行いました。暴排条例と暴対法との関係がクリアになりましたが,暴排条例をどのように評価すべきかが課題となります。
2017.01.17 | Comments(0) | Trackback(0)
第12回 ゼミ論文経過報告4
今日は今年最後のゼミでした。
原口さんは,「河川管理行政のありかた」に関する報告を行いました。自然公物の瑕疵の問題には位置付けにくい事故の場合に,どのような瑕疵論が展開できるかが扱われました。
青木さんは,「廃線と当事者の範囲」に関する報告を行いました。鉄道の廃止とバス路線や里道の廃止との違いがあるかどうかが今後の課題となりそうです。
知念さんは,「人口減少時代における公共施設等の整備」に関する報告を行いました。前回のコンセッション方式だけではなく,より広く公共施設整備法制の在り方を考えるないようでした。
吉川さんは,「『忘れられる権利』とその運用について」に関する報告を行いました。プライバシー論と司法・行政による救済の可能性との関係が議論されました。
2016.12.27 | Comments(0) | Trackback(0)
第11回 ゼミ論文経過報告3
今日は2限続けての開講で,5限は4人の報告がありました。終了後にゼミコンパ(忘年会)が開催されました。
山内さんは,「自治会のあり方―これからの社会での理想型」に関する報告を行いました。自治会の問題点を改革するために何らかの法制度が必要か,それとも地域自治組織のようなものがあるべきなのかについて,報告者は迷っているようでした。
北村さんは,「番号法に想定される個人情報漏えい問題」に関する報告を行いました。サイバー攻撃に対する技術的な保護をどうするべきかなどの,専門的な議論が展開されました。
高橋さんは,「制裁を目的とする公表が抱える法的問題」に関する報告を行いました。事実行為に関する処分性の問題や,公表内容が間違っていた場合の訂正手法など,検討課題が残されていました。
白崎さんは,「医療事故調査制度の今後のあり方」に関する報告を行いました。行政調査一般の問題に加えて,調査に安心して協力できる体制づくりとしての無過失補償の可能性についても言及がありました。
2016.12.20 | Comments(0) | Trackback(0)
第10回 ゼミ論文経過報告2
今日は2限続けての開講で,4限は3人の報告がありました。
竹中さんは,「インバウンド増加に伴う宿泊施設のあり方について」に関する報告を行いました。民泊の規制に関する様々な動きが紹介され,法執行面の問題も含めた検討が必要であることが指摘されました。
上垣さんは,「たばこ規制について」に関する報告を行いました。ある程度の分煙・禁煙が明確な法規制なしに実現している現状をどう考えるか,立法によって規制することにはどのような意味があるのかが議論されました。
小林さんは,「地方分権改革」に関する報告を行いました。これまでの分権改革の動きがまとめて紹介されましたが,それと論文を書きたい内容との関係が整合するのかについていろいろな意見が出されました。
2016.12.20 | Comments(0) | Trackback(0)
街区管理の法制度設計
12月16日に総務省で開催された2016年度第3回21世紀地方自治制度研究会において,「街区管理の法制度設計──ドイツBID法制を手がかりに」と題する報告をさせて頂きました。
近時,日本では街区や狭域のエリアを単位とするまちづくりの活動が盛んになっており,その法的スキームを検討する必要性も高まっています。報告では,11月下旬にドイツのハンブルク州とバーデン・ヴュルテンベルク州の現地調査を行った結果も踏まえ,ドイツのBID法制の現状と特色,日本に導入する際に論点となる諸問題を取り上げました。
時間的制約からあまり質疑の時間が確保できませんでしたが,多くの貴重なご意見を頂戴できました。ありがとうございました。
2016.12.16 | Comments(0) | Trackback(0)


