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第2回 行政指導の限界
昨年度に引き続き広報委員を務めさせていただく大久保です。今年度もよろしくお願いいたします。
今回の報告は,「行政指導」の限界をテーマに「品川建築確認留保事件」が取り上げられました。
報告では,行政指導の限界についての学説が主観説と客観説に分かれていることや,一審から上告審までの判断枠組みなどについて説明されました。その後,行政の調整能力の高さに応じて行政指導の適法性が変わるのではないかといった点や,行政が出した新高度地区案は建築主に対する嫌がらせと捉えることが可能なのではないかという点が議論されました。
大脇先生からは,この事件が一部下敷きとなって制定された行政手続法の規定は,完全主観説に立っており,私人を保護することに重点を置いているものの,判例では中間説が維持されていることや,新高度地区案の必要性について説明していただきました。
今回は私が担当した回でしたが,議論において私が考えつかなかった論点が次々と出てきた有意義な報告になったのではないかと思います。ただ,質問に対する応答が少し曖昧模糊となってしまった印象が強いため,次回はさらに深堀りした報告ができるよう精進したいと思います。(大久保)
2025.04.28 | Comments(0) | Trackback(0)
第1回 信義則
今回は,今年度の初回報告として「信義則」をテーマに,青色申告事件について議論しました。報告では,信義則適用の際,考慮要素のうち「税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと」について,公的見解の表示に当たらないとして信義則の適用を否定したことが説明されました。また,これに対し,批判的な見解が述べられました。さらに,議論の中では,本件の信義則判断において,原告が元税務署職員であったことが判決に影響を及ぼしたという点について言及されました。
大脇先生からは,本判決は行政法の世界にも信義則があることを示した点で画期的であった一方,信義則が認められるのは難しい,というお話をしていただきました。また,信義則適用の際の5つの考慮要素について,「少なくとも」とあることから,他の要素が考慮されることもありうる,と教えていただきました。
今回の報告は,3年生にとっては初めての報告でしたが,判決や判例評釈を批判的に読もうとする姿勢が伝わってきました。他のゼミ生にとっても,いい刺激になったと思います。これから,ゼミ全体で成長していけるよう,私自身頑張っていこうと思います。(古瀬)
2025.04.21 | Comments(0) | Trackback(0)