frontier

paco Home>授業関連>演習科目一覧(九州大学)>frontier>[九大]行政法演習33期(25年度)

第8回 義務付け訴訟

今回は,「義務付け訴訟」をテーマに,「保育園入園承諾義務付け訴訟」が取り上げられました。
報告では,行政庁の判断に裁量の逸脱,濫用があると示されたこと,「義務付けの訴えに係る処分がされないことにより生ずる償うことの出来ない損害を避けるため緊急の必要がある場合」と認められるとして仮の義務付けが認容されたことが説明されました。
 
大脇先生からは,義務付け訴訟と取消訴訟の訴訟手続上の関係や,この訴訟の背景として考えられる裏話をしていただき,大変興味深かったです。
 
今回の報告は,学説による批判を踏まえた上で,それに対する報告者の意見が私見としてまとめられていたので,説得力が増しているように感じました。私も見習い,説得力のある文章を書くことを心がけたいです。(大西)

第7回 現在の法律関係に関する訴え

今回は「現在の法律関係に関する訴え」をテーマに「もんじゅ事件」が取り上げられました。報告では,争点訴訟ではない本件民事差止訴訟が行政法36条にいう「現在の法律関係に関する訴え」に該当するのかという点を主たる争点として,この部分に係る解釈についての議論が行われました。解釈には,還元不能説,目的達成不能説,直截・適切基準説の3つの考え方があり,大脇先生からは,最高裁の判決文中の「当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合」が3つ目の直截・適切基準説に立ったものであるとの見方ができるという説明がありました。

今回の報告では,行政法36条の解釈における一元説,二元説に関する説明や民事訴訟と無効確認訴訟における考慮要素や審理対象の比較など,広範囲にわたる論点の説明があり,大変充実した内容でした。(安富)

第6回 処分基準と訴えの利益

今回の報告は,「処分基準と訴えの利益」をテーマに「営業停止処分事件」が取り上げられました。

報告では,先行処分の付随的効果が行訴法9条1項括弧書きの狭義の訴えの利益に該当するかについて,判例の動向を踏まえた判断枠組みが示され,また,本判決の分析として処分基準に自己拘束力を認めたことが示されました。
大脇先生からは,行政規則である処分基準はもともと内部的なものであるものの,行政手続法の制定により外部的なものになったことや,意見公募手続を必要とするものの中に審査基準や処分基準が含まれたことで格上げがなされたという説明をしていただきました。

今回の報告は,処分基準や審査基準といった少し馴染みのないものが中心的に扱われる難しいテーマでしたが,かなり説得力のあるものだったと思います。自分も引き続き励んでいきたいです。(大久保)

第5回 原告適格

今回は、原告適格をテーマとして、一般廃棄物処理業許可事件について報告が行われました。報告では、法律上保護された利益説や、競業者の原告適格についての判例の動向を踏まえて、本件で原告適格が認められた特殊性について述べられました。
議論では、本件を準名宛人に関する事例とみることはできるのかについてや、一般廃棄物処理業と「信頼保護」の関係について検討しました。大脇先生からは、本件は経済上の利益をめぐる事例にも関わらず原告適格が認められたこと、需給調整の仕組みがあることを条文の解釈によって導いていることが本件の特徴的な点であることを教えていただきました。また、「許可」と「特許」について、産業廃棄物処理業が許可によるものであるのに対して、一般廃棄物処理業は特許である点が興味深かったです。
今回の報告は、内容面や脚注が充実していたと思います。自分の報告回も頑張ろうと思います。(古瀬)

第4回 処分性

今回の報告では「処分性」をテーマに,「病院開設中止勧告事件」についての報告が行われました。今回は,行政指導であって本来は処分性を有しない勧告に,いかにして処分性を認めたのかについて報告されました。そして「法効果」に言及がないまま処分性を認めた点が従来の判例とは異なるとして,関連判例の藤田裁判官の補足意見も参照しました。

大脇先生からは,本判決の病院が徳洲会病院であり,国のやり方に不満をもって,勧告が拒否されることもわかった上で争おうとしたというそもそもの話をして頂きました。また,関連して医療計画や病床数の現状や意義についても教えて頂きました。

今回の報告は私含めた3年生2人で担当しました。準備に時間をかけたつもりでしたが,当日は鋭い質問が多く,時には大脇先生に助けて頂きながら議論することができ,大変勉強になりました。また,形式面でもいくつかの指摘を頂いたので,訂正して次回以降の報告に活かしたいです。(大西)

第3回 バイパス理論

今回は「バイパス理論」をテーマに「農業共済掛金強制徴収事件」について議論しました。報告で扱われた論点は,行政上の強制徴収はどのような場面において認められるのか,行政上の民事執行の強制徴収権が付与されている場合に,当該強制徴収の手段によることなく,民訴法上の強制執行の手段による公法上の債権の実現が可能なのか,また,元来有しない債権を代位取得し,民事訴訟によって当該債権を執行し得るのか,という3点でした。

大脇先生からは,原告が農業共済組合に代わって,民事訴訟を提起したことに関し,「距離保障」の観点から,被告と組合の間柄を理由に,組合が強制徴収を行わなかったのだろうと一般的に推測されるという補足がありました。

今回の報告は,判決の分析に加え,題材となったバイパス理論そのものに関する理解が求められるものだったので,難解な回でしたが,論点に加えて,行政上の徴収手続と民事訴訟上の手続きの比較を通して,それぞれの特徴を把握することも出来たため,充実したものだったと思います。(安富

第2回 行政指導の限界

昨年度に引き続き広報委員を務めさせていただく大久保です。今年度もよろしくお願いいたします。

今回の報告は,「行政指導」の限界をテーマに「品川建築確認留保事件」が取り上げられました。
報告では,行政指導の限界についての学説が主観説と客観説に分かれていることや,一審から上告審までの判断枠組みなどについて説明されました。その後,行政の調整能力の高さに応じて行政指導の適法性が変わるのではないかといった点や,行政が出した新高度地区案は建築主に対する嫌がらせと捉えることが可能なのではないかという点が議論されました。

大脇先生からは,この事件が一部下敷きとなって制定された行政手続法の規定は,完全主観説に立っており,私人を保護することに重点を置いているものの,判例では中間説が維持されていることや,新高度地区案の必要性について説明していただきました。

今回は私が担当した回でしたが,議論において私が考えつかなかった論点が次々と出てきた有意義な報告になったのではないかと思います。ただ,質問に対する応答が少し曖昧模糊となってしまった印象が強いため,次回はさらに深堀りした報告ができるよう精進したいと思います。(大久保)

第1回 信義則

今回は,今年度の初回報告として「信義則」をテーマに,青色申告事件について議論しました。報告では,信義則適用の際,考慮要素のうち「税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと」について,公的見解の表示に当たらないとして信義則の適用を否定したことが説明されました。また,これに対し,批判的な見解が述べられました。さらに,議論の中では,本件の信義則判断において,原告が元税務署職員であったことが判決に影響を及ぼしたという点について言及されました。

大脇先生からは,本判決は行政法の世界にも信義則があることを示した点で画期的であった一方,信義則が認められるのは難しい,というお話をしていただきました。また,信義則適用の際の5つの考慮要素について,「少なくとも」とあることから,他の要素が考慮されることもありうる,と教えていただきました。

今回の報告は,3年生にとっては初めての報告でしたが,判決や判例評釈を批判的に読もうとする姿勢が伝わってきました。他のゼミ生にとっても,いい刺激になったと思います。これから,ゼミ全体で成長していけるよう,私自身頑張っていこうと思います。(古瀬)

研究関連

授業関連

HDG

Links

Weblog

follow us in feedly follow us in feedly

Archives

Category

Blog Post

Comments

Trackbacks