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第10回 規制権限の不行使
今回の報告では,「規制権限の不行使」をテーマに,「泉南アスベスト事件」についての報告が行われました。今回の事例では,行政庁の不作為が国家賠償法1条1項における違法となるかどうかが問題となりました。報告では,規制権限不行使の責任を否定する反射的利益論・行政便宜主義や,行政庁に作為義務を付与する裁量権消極的濫用論・裁量収縮論についての説明が行われました。
大脇先生からは,裁判所は固定的な判断枠組みにとらわれないようにするため裁量権消極濫用論を採用しながらも,裁量収縮論の判断枠組みを一部利用していると説明していただきました。
今回のゼミでは大雨の影響で登校できない学生もいたためZOOMを併用して行い,接続が途切れる不具合はありましたが全体を通して大きな不具合はなく,無事前期のゼミが終了しました。
後期ではゼミ論文の執筆を頑張ります。(井上)
2023.07.11 | Comments(0) | Trackback(0)
第9回 職務行為基準説
今回の報告では,「職務行為基準説」をテーマに,「奈良民商事件」についての報告が行われました。今回の事例は,税務署長の所得税更正処分についての取消訴訟において,所得金額の過大認定が違法と認められた場合,その更正処分が国家賠償法1条1項に定める違法にあたるかどうかが問題となりました。
議論では,どうして課税処分が裁判行為や立法行為と同様に特殊な国家作用といえるのかといった質問が挙がりました。大脇先生からは,公務員の行為を違法と判断する基準がないため,職務行為基準説によって違法性に「過失」を含めて判断していると説明していただきました。
次回で前期のゼミは最後となります。少し早いですが後期に執筆するゼミ論文のことも少しずつ考えていこうと思います。(井上)
2023.07.04 | Comments(0) | Trackback(0)
第8回 要綱行政と公権力の行使
今回の報告では,「要綱行政と公権力の行使」をテーマに,「武蔵野市宅地開発負担金事件」についての報告が行われました。今回の事例は,開発指導要綱に基づく金銭負担を要求した市の行為が,実質的に寄付を強制しており行政指導の限度を超え,違法な公権力の行使にあたるというものでした。議論では,本件指導要綱が水道法上違法であるにもかかわらず,なぜ被告は水道法違反ではなく国家賠償法違反を主張したかという質問などが挙がりました。
大脇先生からは,被告が,不服に感じた行政指導を拒絶せず一応承諾した理由として,行政訴訟の問題点を挙げ,国家賠償法に基づき損害賠償請求を行う方が現実的であるということを説明していただきました。
今回は私が報告を担当しましたが,ゼミでの議論を通じてさらに理解が深まったと思います。前期のゼミも残すところ後2回となりましたが,気を引き締めて頑張っていきます。(井上)
2023.06.27 | Comments(0) | Trackback(0)
第7回 現在の法律関係に関する訴えの意味
今回の報告では,「『現在の法律関係に関する訴え』の意味」をテーマに,「もんじゅ事件」についての報告が行われました。今回の事例では,日本初の高速増殖炉「もんじゅ」につき周辺住民らが民事差止訴訟を提起している場合に,「もんじゅ」設置許可処分について無効確認訴訟で争うことが認められるかということが問題になりました。
大脇先生からは,最高裁が行訴法36条をどう解釈したのかについての解説だけでなく,民訴法における確認の利益についても簡単に説明していただきました。
もんじゅ事件には原告適格をはじめ複数の重要な争点がありますが,今回はテーマの無効確認訴訟に絞り学説や判例をまとめたレベルの高い報告だったと思います。次回以降の報告にも期待です。(井上)
2023.06.13 | Comments(0) | Trackback(0)
第6回 処分基準と訴えの利益
今回の報告では,「処分基準と訴えの利益」をテーマに,「営業停止処分事件」についての報告が行われました。今回の事例では,処分期間が経過している状態で,訴えの利益が認められ,狭義の訴えの利益や処分基準が法令に該当するかという点が問題になりました。
大脇先生からは,行手法12条における処分基準の公開が努力義務であることは,公開された基準をかいくぐる法令違反を防ぐためであるということについて解説していただき,パチンコ店がどういう風に営業しているかという点についても補足していただきました。
今回からは2周目の報告だったため,形式面でのミスも少なく重要な論点をきちんと押さえた良い報告だったと思います。次回以降の報告にも期待です。(井上)
2023.06.06 | Comments(0) | Trackback(0)
第5回 原告適格
今回の報告では,「原告適格」をテーマに,「一般廃棄物処理業許可事件」についての報告が行われました。今回の事例では,ある地域で一般廃棄物処理業の許可・更新処分を受けている者について,他の者にされた許可・更新処分の取り消しを求める原告適格が認められるかどうかが問題になりました。
大脇先生からは,競争業者に原告適格が認められただけでなく,被侵害利益が身体的被害ではないにもかかわらず原告適格が認められたという点でも重要な判決であると補足していただきました。
今回の報告は過去の判例や学説も踏まえ,原告適格について詳しく検討している良い報告だったと思います。次回以降の報告にも期待しています。(井上)
2023.05.30 | Comments(0) | Trackback(0)
第4回 処分性
今回の報告では,「処分性」をテーマに,「病院開設中止勧告事件」についての報告が行われました。今回の事例では,「勧告」が,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められている行為である「処分」にあたるかどうかが問題になりました。議論では,今回の勧告に対して,事件後に施行された行手法36条2項に基づいて中止を求めることができるかといった質問が上がりました。
大脇先生からは,今回の事例では,処分性を肯定したことに伴い違法性の承継等の問題が発生していることを説明していただきました。また,今回の事例の背景として,病院の開設が限定されている現状に疑問を抱いた徳洲会の徳田虎雄氏が,わざと国の方針に逆らうことで発生した事件であるということを補足していただきました。
今回の報告は,重要な論点を丁寧に説明している良い報告だったともいます。次回以降の報告にも期待したいです。(井上)
2023.05.23 | Comments(0) | Trackback(0)
第3回 バイパス理論
今回の報告では,「バイパス理論」をテーマに,「農業共済掛金強制徴収事件」についての報告が行われました。今回の事例では,行政上の強制徴収の手段がとれるにもかかわらず,あえて民事訴訟法上の強制執行を採ることができるかどうかということが問題になりました。議論では,行政上の強制徴収の手段が認められていない場合にどうなるのかという質問が上がりました。
大脇先生からは,バイパス理論について,裁判所が国民の税金による有限のリソースであることから,行政上の強制執行という特別の方法があるにもかかわらず裁判所に頼ることは,本来裁判所を利用する人の迷惑になるため許されないと解説していただきました。また,発展的な内容として距離保障の解説もしていただきました。
今回の判例報告は私が担当しましたが,調査が不十分なためバイパス理論の説明や場合分けに改善の余地がある判例報告になってしまいました。今回の発表を反省し,次回に活かそうと思います。(井上)
2023.05.16 | Comments(0) | Trackback(0)
第2回 行政指導の限界
今回の報告では,「行政指導の限界」をテーマに,「品川建築確認留保事件」についての判例報告が行われました。今回の事例では,行政指導が継続していることを理由として,建築主事が建築確認申請に対して行うべき処分を留保することが国賠法1条1項の適用上違法となるかが問題になりました。議論では,確認処分の留保が例外的に認められる社会通念上正義の観念に反するものが具体的に何なのかという質問があがり,産業廃棄物処理場の例を挙げて回答していただきました。
大脇先生からは,本判決が,行手法32条などの条文に書かれていない内容を充足する,後の判決の基準となった重要判例であることを説明していただきました。
今回は,主観説や客観説などの学説をわかりやすくまとめた良い報告だったと思います。次回は私が報告するので,明瞭かつ詳細な報告ができるように頑張ります。(井上)
2023.05.09 | Comments(0) | Trackback(0)
第1回 信義則
昨年度に引き続き,広報委員を務めます井上です。今年度もよろしくお願いします。
今年度最初の報告は「信義則」をテーマに「青色申告事件」が取り上げられました。
報告では,法律による行政の原理と信義則や,信義則適用の要件,判決の射程を中心に報告が行われました。
大脇先生からは,本判決が,信義則は民法に由来するため公法の枠組みにはなじみにくいが,適用されること自体はあると示したということについて説明いただきました。
初回の発表だったため,フォントなどの形式面でのミスがやや目立ちましたが,内容は綺麗にまとまった良い判例報告だったと思います。次回以降の発表にも期待したいです。(井上)
2023.04.25 | Comments(0) | Trackback(0)
第24回 ゼミ論文報告会
前回はゼミ論文の提出について数分間の質疑応答があり,今回は今年度最後のゼミが行われました。内容としては,ゼミ論文の内容についての報告が行われ,主にゼミ論文の要約とできたこと,できなかったことについて報告しました。寒波の影響で天候が悪かったため,残念ながら教室ではなくZOOMを利用したオンラインでのゼミとなりましたが,目立った不具合もなく全員が発表することができました。大脇先生からは,全員のゼミ論の総括として出典をインターネットに頼りすぎず,きちんと文献にあたっていることが評価されました。
今年度は,前期に2人1組で判例報告を行い,後期はゼミ論文の執筆を行いました。特に判例報告では,4年生の先輩方と組むことで知識,経験ともに未熟な私たち3年生も助けてもらい,勉強になりました。また,発表ではゼミ生や安河内さん,大脇先生に形式面・内容面での指摘を受けることで書く力がとても向上したと思います。いまだに新型コロナウイルスは流行していますが,ゼミのほとんどを対面で行うことができてとてもよかったと思います。
今年度のゼミを開講してくださった大脇先生,ありがとうございました。(井上)
2023.01.24 | Comments(0) | Trackback(0)
第23回 ゼミ論文経過報告
今回は希望者のみ4巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「鬼怒川水害訴訟における検討(西田)」,「住民投票についての考察(井上)」
今回の報告は2名のみでしたが,最後の詰めの部分について内容の濃い議論が行われました。形式面はかなり細かい部分も多いですが,3年生も報告を重ねるにつれて形式面のミスは少なくなっているように感じます。
そしてゼミ論の提出がいよいよ2週間後に迫ってきました。特に4年生は,このゼミ論文が大学4年間の集大成となるので,最後まで粘り強く取り組んでほしいと思います。(中村)
2023.01.17 | Comments(0) | Trackback(0)
第22回 ゼミ論文経過報告
今回も3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「意見公募手続の現状と課題(財満)」「住民投票についての考察(井上)」「難民認定手続が抱える困難性(多田)」
今回で3巡目の進捗報告は終わり,残りの進捗報告は数名によって行われる4巡目報告のみになりました。ほとんどの人が完成に近づいていますが,私はなかなか進んでいないためこの長期休暇を活用し,残された4巡目報告までに一生懸命進めようと思います。(井上)
2022.12.20 | Comments(0) | Trackback(0)
第21回 ゼミ論文経過報告
今回も3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「原子力防災とその限界(中村)」,「処分性の拡大と公法上の当事者訴訟との境界(宮守)」,「上下分離方式における行政の役割(久山)」,「原告適格に関する近年の判例動向(下村)」
2回目報告よりも内容が充実している人が多く,その分,密度の濃い議論ができたのではないかと思います。私も報告者の一人でしたが,さらに完成度を高めるためのアドバイスをたくさんいただくことができました。
また,今週からゼミ見学が始まり,2年生を中心に多くの人が見学に来てくれました。私もゼミ見学をきっかけに大脇ゼミへの参加を決めた経験があるので,2年生にはこの機会を十分に活用してほしいです。このゼミ見学をきっかけに,来年度,多くの学生が大脇ゼミへ参加してほしいなと思います。(中村)
2022.12.13 | Comments(0) | Trackback(0)
第20回 ゼミ論文経過報告
今回も3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「校則裁判における司法的救済(小澤)」,「若者の自殺とその予防(中平)」
今回の発表では,1人が発表できなかったため2人での進捗発表となりました。データの破損のような不具合によって発表できなくなることは,誰にでも起こりうるため,データのバックアップはこまめにとろうと思いました。
次回はオープンゼミです。見学者がたくさん来ることが予想できますが,緊張せずいつも通りのゼミの風景を見せることができたらいいなと思います。(井上)
2022.11.29 | Comments(0) | Trackback(0)
第19回 ゼミ論文経過報告
今回から早くも3巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「御嶽山訴訟から考える火山災害と規制権限不行使責任(藤田)」,「住民救済の面から見た水害判決(西田)」
今回の報告者は二人とも自然災害の訴訟をテーマにしていたため,火山災害判決と水害判決の共通点や相違点を考えながら報告を聞いていました。まだ11月ですが,二人とも完成が見えてきており,順調に進んでいる様子が伺えました。議論でも,形式面,内容面問わず,質問が相次いだので,これからさらに良いゼミ論になるのではないかと思います。いよいよ3巡目報告が始まったので,私もラストスパートをかけていきたいと思います。(中村)
2022.11.22 | Comments(0) | Trackback(0)
第18回 ゼミ論文経過報告
今回も2巡目の進捗報告が行われました。報告者とテーマは以下の通りです。
「上下分離方式における行政の役割(久山)」,「意見公募手続の現状と課題(財満)」,「校則と教育裁量(小澤)」,「原告適格に関する近年の判例動向(下村)」
3年生は,4年生と比べると特に形式面でのミスが目立っているように感じました。私も前回多くの問題点を指摘されたので,内容面に関する議論の時間を削らないように,形式面でのミスはできるだけ少なくするよう心がけようと思います。(井上)
2022.11.15 | Comments(0) | Trackback(0)