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第9回 当事者訴訟(確認訴訟)

今回の報告では,公法上の確認訴訟というテーマで,在外国民選挙権訴訟が取り上げられました。報告では,確認の訴えにおける確認の利益を認定する要件や,地位確認と違法確認について詳しい解説がありました。議論では,本判決において地位確認と違法確認の両方を行っている点について,その意義を掘り下げました。

大脇先生からは,以前は処分性が認められないものを強引に抗告訴訟にしていたが,2004年行訴法改正によって当事者訴訟を活用する方向性が示されたことについて教えていただきました。また,質疑の中で,確認の利益を認定するための要件のうち「有効かつ適切な事項を確認対象とする」という要件について,自己の権利に引き付ける「地位確認」が使いやすい,と学ぶことができました。

今回は,まだ授業で扱われていない内容に関する報告でしたが,充実した議論を通して内容を深めることができたと思います。次回は私の報告です。重要な部分を丁寧に押さえられたいい報告にしようと思います。(古瀬)

第8回 差止訴訟

今回の報告は,「差止訴訟」をテーマに「東京都教職員国旗国歌訴訟」が取り上げられました。

報告では平成16年の行訴法改正で明文化された差止訴訟の要件やその解釈について細かく説明されそれを踏まえた本判決の分析が述べられました。また「重大な損害を生ずるおそれ」という要件に着目した判例や公法上の当事者訴訟で解決できると判断した判例などを例として射程について検討されました。

大脇先生からは差止訴訟のそもそもの意義やそれが使われるケースなどについて説明していただきまた差止訴訟や公法上の確認訴訟などの法定抗告訴訟と無名抗告訴訟の違いや行訴法改正前後の無名抗告訴訟の扱いなどについて教えていただきました。

今回の報告は未学習の内容であったものの,重要な論点や本判決の判断枠組みがしっかりと示されていたとても良い報告だったと思います。次回のテーマである「公法上の当事者訴訟」に関連するテーマであるためしっかり復習しようと思います。(大久保)

第7回 原告適格

今回は,原告適格をテーマに,小田急訴訟が取り上げられました。

報告では,平成16年の行政事件訴訟法の改正を踏まえ,行政事件訴訟法9条2項について詳しい解説がされました。本件上告審と控訴審の間の時期に行訴法改正があったことから,これまでの権利関係を重視した判断枠組から行訴法9条2項を踏まえた判断枠組への変化について,議論の中で詳しく掘り下げられました。

大脇先生からは,本件鉄道事業は「低周波騒音」などの点でとても危険であり,だからこそ付属街路事業とは切り離されて考えられたことを教えていただきました。また,改正行訴法9条2項は裁判官に裁量を与える側面があるものの,「実効的権利救済」の観点に立ち,厳格な「法律上保護された利益説」から原告適格を認める判断枠組が緩められてきた歴史を踏まえると前向きに捉えることができる,と述べられました。

今回の報告は,形式面のミスも少なく,射程に関わる判例を多く紹介していた点が良かったです。関連判例についても学習し,本件と比較することでより原告適格についての理解を深めていこうと思います。(古瀬)

第6回 処分性

今回の報告は,「処分性」をテーマに「浜松市土地区画整理事業計画事件」が取り上げられました。

報告では,本判決と本判決により判例変更された青写真判決とを比較しながら、判断枠組みや付随的効果論などの学説について述べられました。また,本判決の射程について,非完結型計画と完結型計画に分けて,それぞれで処分性が認められるか検討が行われました。

大脇先生からは,完結型計画には処分性が認められない一方で非完結型計画には認められる根拠や,完結型計画においてどのように取消訴訟に持ち込むかについて解説していただきました。

今回の報告は,射程について細かい検討がなされており,また脚注も充実している良い報告だったと思います。次回以降の報告にも期待しています。(大久保)

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