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第8回 義務付け訴訟
2025.06.16 | Comments(0) | Trackback(0)
第7回 現在の法律関係に関する訴え
今回は「現在の法律関係に関する訴え」をテーマに「もんじゅ事件」が取り上げられました。報告では,争点訴訟ではない本件民事差止訴訟が行政法36条にいう「現在の法律関係に関する訴え」に該当するのかという点を主たる争点として,この部分に係る解釈についての議論が行われました。解釈には,還元不能説,目的達成不能説,直截・適切基準説の3つの考え方があり,大脇先生からは,最高裁の判決文中の「当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合」が3つ目の直截・適切基準説に立ったものであるとの見方ができるという説明がありました。
今回の報告では,行政法36条の解釈における一元説,二元説に関する説明や民事訴訟と無効確認訴訟における考慮要素や審理対象の比較など,広範囲にわたる論点の説明があり,大変充実した内容でした。(安富)
2025.06.02 | Comments(0) | Trackback(0)
第6回 処分基準と訴えの利益
今回の報告は,「処分基準と訴えの利益」をテーマに「営業停止処分事件」が取り上げられました。
報告では,先行処分の付随的効果が行訴法9条1項括弧書きの狭義の訴えの利益に該当するかについて,判例の動向を踏まえた判断枠組みが示され,また,本判決の分析として処分基準に自己拘束力を認めたことが示されました。
大脇先生からは,行政規則である処分基準はもともと内部的なものであるものの,行政手続法の制定により外部的なものになったことや,意見公募手続を必要とするものの中に審査基準や処分基準が含まれたことで格上げがなされたという説明をしていただきました。
今回の報告は,処分基準や審査基準といった少し馴染みのないものが中心的に扱われる難しいテーマでしたが,かなり説得力のあるものだったと思います。自分も引き続き励んでいきたいです。(大久保)
2025.05.26 | Comments(0) | Trackback(0)
第5回 原告適格
2025.05.19 | Comments(0) | Trackback(0)
第4回 処分性
今回の報告では「処分性」をテーマに,「病院開設中止勧告事件」についての報告が行われました。今回は,行政指導であって本来は処分性を有しない勧告に,いかにして処分性を認めたのかについて報告されました。そして「法効果」に言及がないまま処分性を認めた点が従来の判例とは異なるとして,関連判例の藤田裁判官の補足意見も参照しました。
大脇先生からは,本判決の病院が徳洲会病院であり,国のやり方に不満をもって,勧告が拒否されることもわかった上で争おうとしたというそもそもの話をして頂きました。また,関連して医療計画や病床数の現状や意義についても教えて頂きました。
今回の報告は私含めた3年生2人で担当しました。準備に時間をかけたつもりでしたが,当日は鋭い質問が多く,時には大脇先生に助けて頂きながら議論することができ,大変勉強になりました。また,形式面でもいくつかの指摘を頂いたので,訂正して次回以降の報告に活かしたいです。(大西)
2025.05.12 | Comments(0) | Trackback(0)
第3回 バイパス理論
今回は「バイパス理論」をテーマに「農業共済掛金強制徴収事件」について議論しました。報告で扱われた論点は,行政上の強制徴収はどのような場面において認められるのか,行政上の民事執行の強制徴収権が付与されている場合に,当該強制徴収の手段によることなく,民訴法上の強制執行の手段による公法上の債権の実現が可能なのか,また,元来有しない債権を代位取得し,民事訴訟によって当該債権を執行し得るのか,という3点でした。
大脇先生からは,原告が農業共済組合に代わって,民事訴訟を提起したことに関し,「距離保障」の観点から,被告と組合の間柄を理由に,組合が強制徴収を行わなかったのだろうと一般的に推測されるという補足がありました。
今回の報告は,判決の分析に加え,題材となったバイパス理論そのものに関する理解が求められるものだったので,難解な回でしたが,論点に加えて,行政上の徴収手続と民事訴訟上の手続きの比較を通して,それぞれの特徴を把握することも出来たため,充実したものだったと思います。(安富)
2025.05.08 | Comments(0) | Trackback(0)
第2回 行政指導の限界
昨年度に引き続き広報委員を務めさせていただく大久保です。今年度もよろしくお願いいたします。
今回の報告は,「行政指導」の限界をテーマに「品川建築確認留保事件」が取り上げられました。
報告では,行政指導の限界についての学説が主観説と客観説に分かれていることや,一審から上告審までの判断枠組みなどについて説明されました。その後,行政の調整能力の高さに応じて行政指導の適法性が変わるのではないかといった点や,行政が出した新高度地区案は建築主に対する嫌がらせと捉えることが可能なのではないかという点が議論されました。
大脇先生からは,この事件が一部下敷きとなって制定された行政手続法の規定は,完全主観説に立っており,私人を保護することに重点を置いているものの,判例では中間説が維持されていることや,新高度地区案の必要性について説明していただきました。
今回は私が担当した回でしたが,議論において私が考えつかなかった論点が次々と出てきた有意義な報告になったのではないかと思います。ただ,質問に対する応答が少し曖昧模糊となってしまった印象が強いため,次回はさらに深堀りした報告ができるよう精進したいと思います。(大久保)
2025.04.28 | Comments(0) | Trackback(0)
第1回 信義則
今回は,今年度の初回報告として「信義則」をテーマに,青色申告事件について議論しました。報告では,信義則適用の際,考慮要素のうち「税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと」について,公的見解の表示に当たらないとして信義則の適用を否定したことが説明されました。また,これに対し,批判的な見解が述べられました。さらに,議論の中では,本件の信義則判断において,原告が元税務署職員であったことが判決に影響を及ぼしたという点について言及されました。
大脇先生からは,本判決は行政法の世界にも信義則があることを示した点で画期的であった一方,信義則が認められるのは難しい,というお話をしていただきました。また,信義則適用の際の5つの考慮要素について,「少なくとも」とあることから,他の要素が考慮されることもありうる,と教えていただきました。
今回の報告は,3年生にとっては初めての報告でしたが,判決や判例評釈を批判的に読もうとする姿勢が伝わってきました。他のゼミ生にとっても,いい刺激になったと思います。これから,ゼミ全体で成長していけるよう,私自身頑張っていこうと思います。(古瀬)
2025.04.21 | Comments(0) | Trackback(0)
第20回 ゼミ論文構想報告
今年度最後のゼミが行われました。今回はゼミ論文についての概要と,執筆にあたってできたこと,できなかったことについての報告が行われました。大脇先生からは,それぞれのテーマが被らず,かつ人数が少ないからこそ濃蜜な議論ができ,結果として良い論文につながったと評価していただきました。
今年度は,前期に判例報告,後期にゼミ論文の執筆という形での活動となりました。すべての報告を一人で行ったため,大変な部分もありましたが,文章を作る力や質疑応答の力などが養われたと思います。
今年度は4年生が1名でしたが,私を含めた3年生の模範となるような報告や質疑をしてくださいました。新天地でのご活躍を祈念いたします。3年生5名全員は来年度も大脇ゼミにお世話になります。来年度はさらにレベルの高いゼミとなるよう努力する所存です。今年度ゼミを開講してくださった大脇先生,ありがとうございました。(大久保)
2025.01.07 | Comments(0) | Trackback(0)
第18回 ゼミ論文構想報告
今回は,ゼミ論文報告の3巡目の初回として「これからの行政訴訟を考える-処分性拡大の理解と当事者訴訟の活用-」「公務員の飲酒運転と退職金不支給処分の裁量」について報告が行われました。3巡目ということで,論文の全体像や方向性がより明確になるとともに,脚注の整理も大きく進んだと思います。
議論では,行政処分や行政裁量といった行政法の代表的な論点から司法と世論の関係まで,というように幅広く意見交換を行いました。大脇先生からは,論文の序盤の内容を後半部分に効かせることで論文がよりよくなることを教えていただきました。また,論文完成に向けて励ましの言葉もいただきました。(古瀬)
2024.12.02 | Comments(0) | Trackback(0)
第17回 ゼミ論文構想報告
今回は,ゼミ論文報告の2巡目として,「国又は公共団体の機関相互間における係争処理のあり方」「自衛隊基地と行政訴訟」というテーマで報告が行われました。今回の報告では,泉佐野ふるさと納税事件や厚木基地訴訟など,テーマに深く関連する判例を中心に議論しました。
大脇先生からは,主に行政法上の論点を踏まえた判例の扱い方について教えていただきました。その中で,論文の方向性がより明確になったと思います。また,行政法上の論点と社会問題は関わり合っていることをより強く感じ,行政法がより面白く感じられるようになりました。(古瀬)
2024.11.25 | Comments(0) | Trackback(0)
第16回 ゼミ論文構想報告
今回は,ゼミ論文報告の2巡目として「一時保護と行政法」「マイナンバー制度と個人情報保護法制」というテーマで報告が行われました。二巡目ということで,論文の全体像がより鮮明になってきたと思います。
議論の中では,執筆者がどのような考えを持っているのか,論文をどのような方向に進めるつもりか,といった質問がありました。また,大脇先生にご指摘をいただき,論文の山場をどこに持ってくるかについて,行政法上の論点をふまえて考えることができました。
今回は私が報告の番でしたが,自分がどう考えるのか,という点を無視して文献を読み進めていたことに気が付きました。これからは,文献を批判的に眺める視点を持って論文執筆を進めていきます。(古瀬)
2024.11.18 | Comments(0) | Trackback(0)
第15回 ゼミ論文構想報告
今回からゼミ論文の進捗報告が2周目に入りました。今回は, 「これからの行政訴訟を考える―処分性概念拡大の理解と実質的当事者訴訟の活用―」「公務員の飲酒運転と退職金不支給処分の裁量」というテーマで報告が行われました。
両報告とも,1週目の報告と比較して質・量ともにかなりレベルアップしたものとなっていいました。前者については,処分性拡大の傾向がみられる判例が多数とり上げられ,その分析と学説をもとに当事者訴訟と抗告訴訟の関係性について検討がなされていました。後者については,最新の判例について十分な評釈などがない状況下でありながら,最高裁の判断枠組みやその問題点などについて整然とまとめられていました。2周目でありながら,全体的な流れがかなり見えてきた今回の報告は,私自身にとって刺激となる部分が多かったため,引き続きゼミ論文の執筆に注力していこうと思います。(大久保)
2024.11.11 | Comments(0) | Trackback(0)
第14回 ゼミ論文構想報告
今回は,ゼミ論文報告の一回目として「国又は公共団体の機関相互間における係争処理のあり方」「自衛隊基地・在日米軍基地と行政訴訟」というテーマで報告が行われました。
前者については,国地方係争処理委員会の存在意義や泉佐野市ふるさと納税事件判決の重要性について理解しました。また,後者については,自衛隊関連訴訟における「騒音」に着目し,大阪空港事件における「将来の損害賠償」を踏まえて今後の論文の展開について考えました。今回の2つの報告は問題関心が分かりやすく,行政法的な論点も明確でした。論文を書き進める上で,各テーマの中で論点となりうるポイントを明確にすることが重要であると感じたので,この点を踏まえて自分の論文を振り返ってみようと思います。(古瀬)
2024.11.06 | Comments(0) | Trackback(0)
第13回 ゼミ論文構想報告
今回もゼミ論文の進捗報告が行われました。今回は,「一時保護と行政法(古瀬)」,「マイナンバー制度と個人情報保護法制(倉橋)」というテーマで報告が行われました。1週目ということもあり,様々な観点から情報が集められていたため,その点に関する質疑応答や全体的な章立て・筋道についての議論が行われました。
両テーマともそもそもの制度が難しい一方で,報告者がしっかりと文献や資料を収集できていたため,刺激になりました。私も多様な文献に当たりつつ,充実した内容の論文を仕上げていきたいと思います。(大久保)
2024.10.28 | Comments(0) | Trackback(0)
第12回 ゼミ論文構想報告
今回から,ゼミ論文完成に向けた報告が始まりました。今回は「これからの行政訴訟を考える―処分性概念拡大の理解と実質的当事者訴訟の活用―」「公務員の飲酒運転と退職金不支給処分の裁量」というテーマで報告が行われました。今回は初回だったので,ゼミ論文の構成や深めていくと面白そうな論点について質疑応答を行い,論文を書き進めていくうえでの疑問点や構想をゼミ全体で共有しました。
自分以外の人のゼミ論文の構想に触れる中で,章立てや問題関心など刺激を受ける部分が多くありました。私も,自分の中の問題関心と行政法との関わりを明確にしながら論文完成に向けて頑張っていこうと思います。(古瀬)
2024.10.21 | Comments(0) | Trackback(0)
第11回 不作為の違法性
今回の報告では,不作為の違法性というテーマで,関西水俣病訴訟が取り上げられました。報告では,裁量権収縮論と裁量権消極的濫用論について触れられたのち,本判決の判断枠組みや関連判例について詳しい説明がありました。議論の中では,控訴審と上告審の判断の差異や裁量権収縮論が提示した4つの考慮要素について深めました。
大脇先生からは,学説がとっている裁量権収縮論は精密な審査が可能であるのに対し,裁量権消極的濫用論はスカスカの理論であること,しかし最高裁は「絶対に救済しなければいけない場面」で権利救済を行なえるように裁量権消極的濫用論をとっていることを教えていただきました。また,
本件最高裁判決でも裁量権収縮論の4つの考慮要素が検討されているようにも見えることについて理解することができました。
今回は,不作為の違法性を認めることが難しいとされてきた歴史を踏まえることが,本判決の何が画期的だったのかについて考える上で重要であったと感じました。
次回からはゼミ論文の作成に入りますが,選んだテーマの歴史的変遷を丁寧に押さえられた論文を目指したいと思います。(古瀬)
2024.07.08 | Comments(0) | Trackback(0)