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第5回 原告適格

今回の報告では,「原告適格」をテーマに,「一般廃棄物処理業許可事件」についての報告が行われました。今回の事例では,ある地域で一般廃棄物処理業の許可・更新処分を受けている者について,他の者にされた許可・更新処分の取り消しを求める原告適格が認められるかどうかが問題になりました。

大脇先生からは,競争業者に原告適格が認められただけでなく,被侵害利益が身体的被害ではないにもかかわらず原告適格が認められたという点でも重要な判決であると補足していただきました。

今回の報告は過去の判例や学説も踏まえ,原告適格について詳しく検討している良い報告だったと思います。次回以降の報告にも期待しています。(井上)

第4回 処分性

今回の報告では,「処分性」をテーマに,「病院開設中止勧告事件」についての報告が行われました。今回の事例では,「勧告」が,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められている行為である「処分」にあたるかどうかが問題になりました。議論では,今回の勧告に対して,事件後に施行された行手法36条2項に基づいて中止を求めることができるかといった質問が上がりました。

大脇先生からは,今回の事例では,処分性を肯定したことに伴い違法性の承継等の問題が発生していることを説明していただきました。また,今回の事例の背景として,病院の開設が限定されている現状に疑問を抱いた徳洲会の徳田虎雄氏が,わざと国の方針に逆らうことで発生した事件であるということを補足していただきました。

今回の報告は,重要な論点を丁寧に説明している良い報告だったともいます。次回以降の報告にも期待したいです。(井上)

第3回 バイパス理論

今回の報告では,「バイパス理論」をテーマに,「農業共済掛金強制徴収事件」についての報告が行われました。今回の事例では,行政上の強制徴収の手段がとれるにもかかわらず,あえて民事訴訟法上の強制執行を採ることができるかどうかということが問題になりました。議論では,行政上の強制徴収の手段が認められていない場合にどうなるのかという質問が上がりました。

大脇先生からは,バイパス理論について,裁判所が国民の税金による有限のリソースであることから,行政上の強制執行という特別の方法があるにもかかわらず裁判所に頼ることは,本来裁判所を利用する人の迷惑になるため許されないと解説していただきました。また,発展的な内容として距離保障の解説もしていただきました。

今回の判例報告は私が担当しましたが,調査が不十分なためバイパス理論の説明や場合分けに改善の余地がある判例報告になってしまいました。今回の発表を反省し,次回に活かそうと思います。(井上)

第2回 行政指導の限界

今回の報告では,「行政指導の限界」をテーマに,「品川建築確認留保事件」についての判例報告が行われました。今回の事例では,行政指導が継続していることを理由として,建築主事が建築確認申請に対して行うべき処分を留保することが国賠法1条1項の適用上違法となるかが問題になりました。議論では,確認処分の留保が例外的に認められる社会通念上正義の観念に反するものが具体的に何なのかという質問があがり,産業廃棄物処理場の例を挙げて回答していただきました。

大脇先生からは,本判決が,行手法32条などの条文に書かれていない内容を充足する,後の判決の基準となった重要判例であることを説明していただきました。

今回は,主観説や客観説などの学説をわかりやすくまとめた良い報告だったと思います。次回は私が報告するので,明瞭かつ詳細な報告ができるように頑張ります。(井上)

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