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paco Home>授業関連>演習科目一覧(九州大学)>frontier>2020年7月

第12回 権限不行使

今回は前期最後のゼミで,規制権限不行使をテーマに関西水俣病訴訟について報告がありました。難解な水俣病訴訟の概観をわかりやすく説明し,規制権限不行使に加え,国家賠償における除斥期間という論点についても考察してくれました。

先生方からは水俣病という広範で,様々な救済基準が必要となった公害訴訟であり,行政と裁判所の救済基準が異なるダブルスタンダードが未だ解決されていないというお話がありました。また,議論となった射程は人命に関わる事案について及ぶとのことでした。最近,政府がコロナ対策として様々な法律を,当初の目的を逸脱して適用するという方針を出しており,その点でも参考になる重要判例でした。

今回は4年生のグループによる報告ということもあり,前期最後にふさわしい充実した内容で,先生方からも好評だったように思いました。後期にはゼミ論文執筆がありますが,前期で学んだことを活かして頑張っていきたいと思います。ゼミメンバーが何を題材とするのか,楽しみです。(上田)

第11回 国家賠償

本日は,国家賠償責任の主体が争点となった「積善会児童養護施設事件」についての報告が行われました。民法の使用者責任と国家賠償法の棲み分け,行政から委託された私人の行為についての責任,など難しい論点が多かったです。近年は行政活動の民間委託が進んでいることもあり,今後も重要な論点となっていくと感じました。先生方からも,判断を一応は示したが,消化不良さも残る判決である。完璧な判断枠組が決して示されたわけではなく謎が謎を呼ぶ判決でもある,との講評を頂きました。

早いもので次回が前期最後のゼミとなります。オンラインでの開講で,前期はゼミ生同士ついに会うことはできませんでしたが,最後まで頑張りたいと思います。(中山)

第10回 当事者訴訟

今回は公法上の確認訴訟をテーマに,在外国民選挙権訴訟について報告が行われました。この判例は,平成16年の行政事件訴訟法改正によって明示された公法上の確認訴訟について判断し,また国会の立法不作為について国家賠償法上の違法を認めた点でも重要なものでした。報告班は反対意見や補足意見にも触れ,論点を丁寧にひろっていました。

先生方からは,本判決は行訴法改正により使われるようになった確認訴訟の訴訟要件が示されたことについて大いに意義があるとのお話がありました。また,本報告については,大きな題材に加えてディテールの部分にまで言及していた点が良かったと好評でした。判決の裏事情にも触れた杉原則彦さんの解説・報告も紹介していただいたので,ゼミ生は是非読んで理解を深めてほしいです。

今回も多くの論点がある難しい判例でしたが,わかりやすくまとめられていてとても参考になりました。来週も質の高い報告ができるように頑張りたいと思います。(上田)

第9回 差止訴訟

本日は,差止訴訟をテーマとして「東京都教職員国旗国歌訴訟」についての判例報告が行われました。

報告は今回初めて,3年生のみによって行われました。行政事件訴訟法の改正に加え,憲法問題にも絡む難解な判決ではあったものの,補足意見・反対意見なども丁寧に収集された密度の濃い報告が行われました。先生方からは,予防的不作為という一つの考え方,本判決が差止訴訟と確認訴訟の一応の区別をつけたものであるものの,なおも問題は残っていること,などのご指摘を頂きました。

7月に入り,前期のゼミ活動も残り少なくなってきましたが,充実させていきたいです。(中山)

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