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第10回 職務行為基準説
今回の報告は,「職務行為基準説」をテーマに「奈良民商事件」が取り上げられました。
報告では,取消訴訟の違法性と国家賠償訴訟の違法性との相違についての学説や,国家賠償法の要件である過失と違法性についての2つの立場等の説明がなされたのち,本判決の分析がなされました。その中で,本判決は所得税の更正処分について「違法性相対説」に立ち,違法性の評価については「職務行為基準説」を採用しているとする見解やそれに反対する見解,また過失相殺法理による違法性阻却の観点から考える見解などが紹介されました。
大脇先生からは,本件は税務署が反面調査などを行い,納税者は税務署の行う調査に協力していない以上,税務者側の落ち度が認められることや,学校や検察といった特定の領域では違法性一元論のように違法性と過失の要件が合わさって検討されることを教えていただきました。
今回の報告は,学説の展開や論理構成などかなり難解な事件を扱ったものでしたが,とてもよく整理されていてわかりやすかったです。いよいよ次回で前期の判例報告は最終回となるので,これまでの振り返りをしつつ,後期に向けて研鑽を積んでいきたいです。(大久保)
2025.07.07 | Comments(0) | Trackback(0)
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