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第26回 ゼミ論文報告会

新年最初のゼミ活動記録執筆にして,本年度最後のゼミ活動です。

新年そうそうインフルエンザになり,ゼミ論提出が迫っているにも関わらずパソコンが壊れるなど,今年は厄年なんじゃ...と本気で思いましたが,何とか論文も完成して一安心しながら今日の日を迎えました。

例年とおり,ゼミ最終回は,ゼミ論提出+その報告会です。今回は,オープンゼミ期間とも重なり,たくさんの二年生,三年生そして,さりげなくM先生も見学に来てくださいました。

報告会では,論文報告に対する指摘,1年間のゼミ感想を述べるなどして終了し,またまたお決まりのゼミ論打ち上げへと場所を変えることとなりました。

今日で最後のゼミでしたが,短かったような長かったような・・・去年と同様にほんとに中味の濃いゼミでした。大橋ゼミ,原田ゼミと在籍し,大学時代の後半はゼミの思い出が非常に強いです。
三年生も四年生も積極的に発言し,本当に毎回白熱した議論があり,今日はどんな議論になるのか,とゼミに行くのが毎回楽しみでした。
元気な三年生,しっかり者の四年生に囲まれて非常に有意義な一年間を過ごすことができました。
原田先生,ゼミ生のみんな一年間お世話になりました!! (ぱにっく)

提出されたゼミ論文の要旨は次の通りでした。ゼミ論文報告会の報告順に掲載しています。

ばんちょ「国立大学法人化制度」

本稿は,国立大学法人評価が持つ,大学財政との連動機能に焦点をあてて,この評価制度が‘大学の自治’という,大学運営上の大前提に適うものなのかどうかを検討するものである。大学評価とはそもそも,米国において大学の自己改善を目的として開始された,大学の自発的,自律的運営に資する評価制度である。しかしながら,国立大学法人評価には,その「自己改善」を促進する機能が生かされておらず,また法人評価としての機能を有するために,評価結果を次期中期目標期間の運営費交付金の算定に反映させることとなっている。 しかしながら運営費交付金を評価結果にもとづいて配分することは,大学の教育基盤を損ない,研究を特定種の研究部門,大学のみに偏重させることとなる。競争的配分は,したがって,成果主義に基づく競争的配分を肯定する現行の国立大学法人評価は,自由かつ多様な教育研究を保障する「大学の自治」に反するものといえる。 大学評価を大学の自治に適うものとするためには,その制度を「大学の自発的改善」に資するものにする必要がある。その具体的方策としては,まず大学の基盤的資金を十分に確保することである。そしてそれへのプラスのインセンティブとして,「大学の質改善への取り組みの積極性」を評価基準とした評価結果に対する資金を競争配分するという手法が提案される。また,教育財政改革における公財支出の効率化ついては,評価・競争による効率化ではなく,各大学の,別大学との資源の共有による効率化が望まれる。

ぱにっく「PFI刑務所活用による過剰収容対策」

刑務所は,受刑者に犯した罪の罰を与え,受刑者の更正を行い,彼らの社会復帰を目指す重要な場所でもある。その刑務所が万年的な過剰収容状態により刑務官が受刑者の処遇に専念できないという問題に直面している。過剰収容状況の解決のため,PFIという民営化手法による刑務所新設が行われた。 日本でPFI刑務所を導入する際に問題となったのは,刑務所の事務の委任の範囲である。日本は,権力的な行為は従来通り公務員である刑務官が行い,非権力的な行為を民間に委任する刑務所運営を採用した。民間職員は,逃走者の確保,規律秩序の維持のための合理的な範囲の実力行使も認められない。必然的にPFI刑務所には暴動の恐れのない優秀な被収容者に限定せざるをえず,過剰収容の解決策としては活用しにくい施設となってしまった。権力的な権限行使の委任の可否を分けるのは,各国の憲法解釈である。行政権限を国家に留保する明文規定があるドイツと異なり,日本国憲法は行政権限の委任を禁止する明文規定を置いていない。よって,委任先の私人の中立更正な職務執行,行政の直接的,間接的な監督の担保措置により,日本においても権力的な権限行使の私人への委任は可能と考えられる。本稿では,イギリス等の諸外国の制度を参考に,日本のPFI刑務所の担保措置を考えた。この担保措置により,民間職員の活躍の幅を広がることは,民間職員が対応できる被収容者の範囲を広げることにつながる。このことにより,現在のように被収容者の範囲を限定する必要がなくなり,PFI刑務所が活用しやすくなるものと思われる。権力的な権限行使の委任が可能となった新PFI 刑務所の活用が,過剰収容の解決への一手段となることを信じている。

ファービー「食品表示問題」

2007年,不二家をはじめとして,私たちも良く知っている「白い恋人」,や「赤福」などの大手お菓子メーカーの不祥事が発覚し,消費者の食の安全に対する不信感はますます大きくなった。不二家の期限切れの原料使用事件を,見てみると驚くほどずさんで,怠慢な衛生管理であり,偽装も行っていた。それを受けて日本の食品表示の主要な法律である,食衛生法及びJAS法について調べ,どのような法律でどういう改正が行われたのかを知り,また食品の期限表示というものがどのようなものかを理解した上で最近のような食品表示における偽装をなくすためにどのようなことが必要であるかを考えてみる。その結果,不二家の事件を受け,生産の記録,その保存を努力義務規定にするのではなく,企業の責務として位置づけること,消費者の安心感向上のために,製造年月日と期限表示を併記すること,閉鎖的な空間で行われる食品表示の偽装発見のために,保健所による抜き打ちでの立入り検査の実施を行うという提案をする.

市原奈都子「牛肉の安全」

BSE問題はいまだ忘れられてはならない。安全な牛肉を確保することは過去で保証されれば済むことではなく,それは未来に向かって安全を保障することで国民の食文化を守り,健康な生活を担保することとなる。BSE問題を受けて食品安全基本法はこのような路線を提示したが,それでもそこにはまだなお不備が残ると考えられる。ひとつには,厚生労働省・農林水産省の縦割り行政の弊害である。牛肉流通ルートはこの両省の二分割に任せるべきではなく,両省の関係部分を新たにくりぬいて,新組織をたちあげるべきであった。また,消費者がリスクコミュニケーションに関わっていく体制も必要である。さらに,米国産牛肉輸入問題について,米国からの輸入がなければ関税収益も減り国際問題を発生させる可能性もありえるが,とはいってもずさんな管理の牛肉を国内へ取り入れ,有用な国内農家を苦しめることがあってはならない。国は断固として安易な輸入・安易な米国検査体制を拒否すべき,と考える。

三笠怜美「欠陥住宅」

2005年に姉歯元一級建築士を中心として国会まで巻き込んだ構造計算書偽装事件,通称耐震偽装事件は何故起こったのか。様々な言い逃れを続けたあげくに議院証言法違反(証人喚問での偽証)容疑や建築基準法違反容疑で起訴された姉歯元一級建築士が国家の裏をかいて狡猾に計画した,起こるはずのない事件であったのか。耐震偽装事件をきっかけに建築関連法案は大改正された。その際,もちろん建築士の悪意でもって行われる偽装に対する策を講ずると共に,制度自体にも大きく手が加えられていることを考えれば,姉歯元一級建築士のみに責任を押し付けるべきではないと考えられる。 大きく様変わりした建築関連法案の中でも特に注目すべきは確認審査の厳格化と,新たな建築士資格―設備・構造建築士―の新設,建築士登録業務の民間化などである。確認審査の厳格化はこの改正が耐震偽装事件をきっかけとしている以上,避けては通れぬ道でもあるが,それゆえに確認許可下りないという弊害も生み出している。建築士資格新設は,意匠設計者に比べて認知度の低い,しかし安全な住居の実現のためには不可欠な存在である構造・設備設計者の社会的・経済的地位向上のために重要な役割を果たすだろう。建築士登録業務の民間化は建築士行政に大きな変化をもたらすことになる。 市民が一生に一度の買い物として購入する住宅で,耐震偽装事件のような被害者を生み出さないために,新しく生まれ変わった建築関連法を注意深く見守っていかなければならない。

宮崎 輝「YouTubeと著作権制度―デジタル時代の著作権制度に向けて―」

動画共有サイトYouTubeは私たちに新たな「表現の場」とビジネスモデルを提供するサービスを提供しているが,ユーザーがデジタルコンテンツを共有しうるサービスであるため,ファイル交換ソフト同様著作権侵害の問題がある。表現行為の萎縮を避け,また権利者救済のためには侵害行為の態様や法的責任の所在について,明らかにされる必要がある。 現行著作権制度下において,(1)著作物をアップロードするユーザーの行為は著作権侵害にあたり,権利者の損害賠償請求・差止請求は当然認められる。(2)いわゆる「間接侵害」に差止請求が認められるのは,サービス等提供者の行為が一定の事情に着目したときに,プロバイダ責任制限法と照らし合わせた上,112条における「侵害」にあたると解される場合に限られるべきである。カラオケ法理や幇助者に112条1項の適用および類推適用を認める従前の判例は現行法の解釈上無理があり採用できない。よってサービス提供者がサービスを管理・運営する一方で著作権侵害の防止に努めている場合,提供者は差止請求の対象とならない。(3)著作物を閲覧・ダウンロードするユーザーの行為は,「私的使用のための複製」にあたり著作権の制限規定の適用を受ける。 現行制度における問題は,間接侵害における責任主体性がどういった要件で認められるかが明確でないこと,ユーザーに対する責任追及が困難で権利の円満性が確保できないことである。今後は,実務的解決が図られつつある状況に目をやりつつ,問題解決に向けて産業の発展を阻害せず,かつ権利侵害状態が円滑に排除できるような法制度設計が求められる。

UR!「中心市街地活性化」

中心市街地は長い歴史の中で,文化,伝統を育み,商業機能,都市機能といった各種の機能を培ってきた「街の顔」である。ところが,全国の地方都市において,その多くが中心市街地の空洞化という問題を抱えている。このような現状に対応するため,中心市街地活性化法,改正都市計画法,大規模小売店舗立地法から成る,いわゆる「まちづくり3法」が制定された。 しかし,これらのまちづくり3法,特に改正都市計画法には強い批判がある。それは,「中小小売業を保護するものではないのか」「中心市街地は活性化させる意義はあるのか」というものだ。しかし,中心市街地活性化は,まちづくりの観点立つものであって,その目的は「商業機能・都市機能の集約によって地方自治体の負担を軽減すること」にあり,これこそが中心市街地を活性化させる意義である。 ところが,各地方都市の取り組み,特に商業機能の活性化に関しては,まちづくり3法の目的に沿うものではない。イベントに頼りきった商店街や規制に偏る地方自治体が存在している。これでは,商業機能は活性化しない。商業機能を活性化させ,中心市街地の活性化に繋げる。そのためには,チャレンジの場を提供したり,まちづくり会社を設立し,商店街全体を再開発することで,商店街に外部の参入を促し商店街の活性化につなげていくこが必要なのではないかと考える。

曽我まどか「著作物再販制度」

1953年の独占禁止法改正時より,日本には書籍を含む6品目の著作物に対して再販制度の適用除外がなされてきた。1978年には新再販制度が導入され,それまでの包括再販,永久再販という概念の変化を目指して部分再販,時限再販等の新しい制度が取り入れられた。しかし周知の不徹底と行政指導のまずさからそれらが浸透することはなく,いまだに原則再販という硬直した運用が続けられている。出版流通は二大取次が大部分を担っており,寡占状態にある。取次は主要な流通制度である委託販売の要であり,出版社や書店に対して優越的な地位に立っていると言える。だが,特に出版社に対する差別取引については「特典」を受けていない新規参入の出版社から不満の声が上がっており,取次のこの行為が出版業界を混乱させている新刊ラッシュの原因となっているなど問題も多い。その他再販制度下では中小書店の相次ぐ廃業や新古書店の隆盛など,解決すべき問題は山積している。そこで,再販制度を廃止することを提案した。そこでは,廃止した場合には取次,出版社,書店にはどのような影響が出てどのような変革が求められるのかについて触れ,再販維持派の主張する再販制度の文化的意義に関する検討する。そして最後に再販制度廃止後の価格政策としてポイントカード制度の導入について提案を行う。

11番「尊厳死問題―医療現場のジレンマ―」

射水市の人工呼吸器問題を皮切りにして,尊厳死の問題が注目を集めた。少し前まで,日本には尊厳死に関する制度が何もなかった。そのことにより,医師は患者の人工呼吸器を取り外すことが法的責任に触れるのではないかという恐れを感じ,患者の意思があっても,延命治療中止をためらうケースが少なくなかった。 医師の延命治療中止行為を適法化するためのアプローチとしては,患者の自己決定権の尊重議論と医師の治療義務の限界の議論との二つが主に挙げられる。これら二つに当てはまる医師の正当な延命治療中止行為は適法化され得る余地がありながら,それでも医師は法的責任を恐れる傾向にあり,患者の意思との板挟み状態にある。 医師のジレンマを解消しない限り,患者が望んでいても,自然な死を迎えられない可能性は否定できない。国は,射水市の事件を受けて,尊厳死ルール作りに関する検討会を立ち上げ,去年5月に国としては初めて,終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインを示した。 ガイドラインには,医師の独断の排除,患者の意思が確認できない場合も患者にとって最善の治療方針を取ることを定められており,評価する声も多い。その反面,医師の免責規定は盛り込まれておらず,状況は変わらないのではないかとの批判の声もあがっている。 本稿では,医師の免責規定の要件として,患者か家族(患者と最も親しい人物)と医師が話し合いの末,合意に達した場合と,純粋なる医学的判断,主に今回のガイドラインのように複数の医師が関与するプロセスを経た判断がある場合との二つを私見として提案した。

藤田麻裕子「限界にある医療」

「医療過誤」「医療訴訟」「白い巨塔」「医療費抑制」「保険料値上がり」・・・などなど。医療に関する報道は数々あるが,医療関係に対する一般的なイメージは概して悪くなっているように思える。しかし,最近医療者の努力だけでは手の打ちようのない事態の報道が徐々に増えてきている。マスメディアも医療への不信と医療崩壊の危機の間を揺れ動いている。医療の現実はどこにあるのか。それを探るため最近医療関係者のなかで最も問題視されてきている産婦人科について,「未受診妊婦(飛び込み出産)の受け入れ拒否」について各原因について検討した。その結果,患者側にも多々問題があるものの,より深刻なのは医療提供体制の限界であると見た。医療提供体制は様々な制度疲労を起こし,あるいは時代の変化による新たなシステムの構築を求めてしており,それに対応していく必要がある。訴訟の急増に伴う体制の確立や質の高い医療提供のための教育体制の見直し,ひいては大学病院の抜本的改革など問題は山積している。ことに対応が急がれるのが勤務医の待遇改善,マンパワーの補充や勤務時間の短縮,給与体系の見直しなどであるがそのためには病院経営の改善が必須であり,ひいては保険診療の診療報酬体系の改革が必要である。つまり医療費の増加が絶対的に必要である。しかし現在政府は医療費適正化という名の医療費抑制策を行っているのでこの政策を転換させ,財源を確保する必要がある。そのために診療報酬の構成,社会保険と税の拡大について考察した。

黄昏サラウドン「ホームレス問題」

本論文はホームレス問題を取り扱う。 まず初めにホームレス問題のような貧困問題を解決しなければならない意義を挙げる。それは具体的には国の安定性の維持・生存権という憲法上の要請である。次に第1章ではホームレスの実態を取り上げ,ホームレスを巡る様々な問題を述べる。以降ではホームレス対策を扱っていくことになるが,第2章では現行上の制度を紹介する。主に生活保護と自立支援策であるが,生活保護は認められにくい,自立支援策は評価できる部分もあるが問題点もある,といったことがいえる。それらを踏まえて,第3章では今後の採るべき対策について論じる。対策の方向として,健康上の対策を行った後の住宅対策の重要性・先行性を挙げている。その理由は,ホームレス状態の解消による安全かつ安定した暮らし,就労のし易さにある。具体的な住宅対策は,生活保護との連携による公営住宅の活用などを挙げている。しかし住宅対策の先行性により,就労自立できなければ国は財政負担をいつまでも抱えることになる。それを防ぐために効果的な雇用政策が必要になる。具体的な雇用政策としては,仕事の開拓,民間に高年齢者雇用の理解を図り助成金による支援を行うことなどを挙げている。また国民に理解を求めるための,教育・啓発活動も重要である。 以上のようにホームレス対策を論じてきたが,命に関わる問題であるということを意識しつつ,対策を行っていかなければならない。

明石美紗子「赤ちゃんポストの功罪―必要な施策の考察―」

2007年,欧州の例に倣い,赤ちゃんポストが熊本の慈恵病院で導入された。この制度は路上置き去り事件などから赤ちゃんの命を救うため,最後の砦として導入された制度である。しかし,この制度は運用開始前から様々な問題が指摘されており,先に運用が開始されていた欧州においても,安易な利用や子どもの出自を知る権利の侵害などについて問題が生じている。それらの問題は主に赤ちゃんポストの匿名性によって生じていると考えられる。そこで,本稿では,赤ちゃんの命が守られるという赤ちゃんポストのいい面はそのままに,できるだけ匿名性を排除するという考察を行っている。具体的には,匿名性を排除するために,赤ちゃんポストに預ける前に相談することを義務とする仕組みの提案をしている。また,そのために必要となる相談機関の充実について,既存の機関を活用し,その適切な運用のためにオンブズマン制度を利用するということを述べている。もちろん,相談機関の充実は,赤ちゃんポストの利用を抑制するためにも重要であり,もともと赤ちゃんポスト導入前に議論されるべき点であった。それらの意味を含めて相談機関について述べている。

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