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第12回 国立マンション訴訟
この判決では、当時明文化されていなかった義務付け訴訟が一部認容されました。但し、今回の判決では、従前の判例理論で打ちたてられた厳格な三要件(①〔当該権限を行使することの〕一義的明白性②緊急性③補充性)を維持したために①の要件を満たすことができず、義務付け請求は棄却され、不作為違法確認請求のみ認容されるに留まりました。今回の行政事件訴訟法改正により、①の要件は、「一定の処分又は裁決をすべき」こととされたので、その点では今回認められなかった義務付け請求が認められ易くなるのではないかと思われます。報告については、建築基準法の3条2項の既存不適格に関連し、現実的な問題としてどの程度の利害関係が生じていたか等について多く質問が集まりました。また、先生方からは、「法律の議論でなされていることは、誰もが持っている日常的な公正・公平の感覚とは決して不連続なものではない。法学というのは一面では相手を説得・納得させる学問でもあり、法律用語を駆使した専門的な議論も、法律を学んでない一般の方の正義感情に届くよう日常的な言語でわかりやすく説明することができるよう努力しなければならない。」といった趣旨の指摘がありました。自分が普段、法律用語に埋め尽くされた教科書を開く度に感じる敗北感を思い浮かべてみると、この指摘の重要さを身にしみて感じました。
2005.07.04 | Comments(0) | Trackback(0)
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