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第7回 処分性
本日は,「処分性」について争われた浜松市土地区画整理事業事件判決についての報告が行われました。
先行判例であったいわゆる「青写真判決」の処分性の枠組みを変更した重要判例です。報告班は,「青写真判決」の論理構成・土地区画整理事業の概要からしっかりと概観したうえで,本判決がどのように「青写真判決」を変更していったのかという点を,補足意見などにも触れながら丁寧にまとめてくれました。ゼミ生同士の議論でも処分性の拡大の是非を中心に活発に議論が交わされました。
先生方からは,本判決は「青写真判決」をようやく判例変更してくれた画期的な判決でありどこが変更されたかに注意することや,処分性を巡る学説と判例の変遷,土地区画整理事業の補償が不十分であることなどに留意するように,との指摘を頂きました。(中山)
2020.06.23 | Comments(0) | Trackback(0)
第6回 司法的執行
今回は宝塚市パチンコ事件を題材に,司法的執行について検討しました。
本件は,被告が宝塚市長にパチンコ店の建築申請に不同意されたにも関わらず,建築主事より建築確認を受けて工事に着手し,宝塚市長の建築工事中止命令にも従わなかったため,宝塚市工事の続行禁止を求めたものでした。上告審における最高裁の判断に批判が集まった,難解な事案でした。
報告後,大脇先生からは中止命令ではなく除却命令であればこのような訴訟に発展しなかっただろうという話がありました。また村上先生からも本件の背景等についてお話があり,理解をさらに深めることができました。
今回も3年生から活発に質問・意見があり,有意義なゼミになったと感じました。また,本件は理解が難しい判例でしたが,報告班は多くの文献を参考にして上手くまとめていて,感心しました。今学期中はオンラインによるゼミを継続していくことになりましたが,レベルの高い発表・議論を続けていきたいと思います。(上田)
2020.06.17 | Comments(0) | Trackback(0)
第5回 違法性の承継
本日は,「違法性の承継」が主論点であり,「タヌキの森事件」とも称される「東京都建築安全条例事件」についての判例報告が行われました。
事案の概要や処分の関係性が複雑で難しいテーマでした。大脇先生からは,自身が学生時代から「違法性の承継」が一大論点であったことや,最高裁が近年になってようやく立場を示した,現在でもホットな話題であるとのコメントを頂きました。
本判決の評釈の執筆もされている村上先生からは,「違法性の承継」の簡単な解説と,処分性・開発許可などの問題と相まって,現在進行形で「違法性の承継」という論点の議論が盛んであることなどについて,コメントを頂きました。
事案自体が非常に難しかったものの,報告班は数々の文献・判例・学説を深く調査し,質の高い報告を行ってくれました。(中山)
2020.06.09 | Comments(0) | Trackback(0)
第4回 理由付記
今回は「一級建築士免許取消事件」を題材に,理由提示について判断された他の判例や不利益処分の理由付記について現在の考え方を学びました。この事件は,建築基準法に違反する建築物を設計したことを理由になされた一級建築士免許または建築士事務所登録の取消処分には,裁量権の逸脱・濫用,理由不備の違法があるとして出訴されたものです。
報告後,大脇先生は学説のトレンドを浮き彫りにしつつ行政手続の重要性をみせた点と判例を適切にまとめた点を褒めてくださいました。村上先生からは,様々な意見の対立を紹介していた点やドイツでの観点も触れていた点を褒めつつ,処分基準を提示するとさらに良くなるとのアドバイスがありました。
今回は,短い時間で様々な判例に触れてから私見を提示しており,とても完成度が高いと感じました。次回は3年生3人,4年生1人のフレッシュなメンバーでの報告となりますが,今回のお手本に頑張ってもらえればと思います。(上田)
2020.06.02 | Comments(0) | Trackback(0)
第3回 専門技術的裁量
今年度,広報委員を務めさせていただきます,3年の中山です。よろしくお願いいたします。
今回の第3回ゼミは「伊方原発訴訟」についての,判例報告が行われ,特に「専門技術的裁量」の部分を中心に議論が交わされました。科学技術の審査にどこまで司法が介入するか,という難しい問題で,報告者も含めてゼミ生の多くが,どこかすっきりとしないものを感じていたのではないかと思います。
大脇先生からも,「この判決はしっかりと読めば読むほどすっきりとしないものが残ってしまう難しい判決だ」とのご指摘をいただくとともに,伊方原子力発電所自体についての簡単な解説もしていただき,東日本大震災・福島第一原発事故を経ての現在の司法の姿勢の説明などもしていただきました。村上先生からは,原審も含めて判決を見ていくことの重要性,高度に政治的な判断をも内包する原発問題を裁判官に委ねることの難しさ,などのご指摘を頂きました。
私は今回,報告班の一員として報告にあたったのですが,非常に根深く複雑な問題を孕んでいる,非常に難解な判決だと感じました。準備も報告もオンラインで大変なことも多かったですが,4年生のサポートを受けながらなんとかやりきる事ができました。(中山)
2020.05.26 | Comments(0) | Trackback(0)
第2回 委任立法の限界
今年度も広報委員となりました,4年の上田です。どうぞよろしくお願いします。
今年度最初の報告は,「委任立法の限界」をテーマに医薬品ネット販売権確認訴訟を取り上げました。本件は改正薬事法の施行に伴って改正された薬事法施行規則において,郵便等による一定の医薬品の販売ができない旨の規定が設けられたことについて,インターネットによる医薬品販売事業者が上記一定の医薬品につき郵便等販売をすることができる権利ないし地位を有することの確認を求めたものでした。報告では,立法過程への言及についてや委任立法をめぐる問題を始めとして,様々な論点からの検討がなされました。
報告後,大脇先生からは「誰と誰の利害関係の対決か」を考えると面白いこと,村上先生からは何故法律ではなく施行規則に規定されたのか,また従来していたことを禁止することの問題についてお話がありました。
初回は4年生4人のグループということもあり,時間も資料も少なかったとは思えないとても完成度の高い報告でした。3年生の発言も目立ち,良い滑り出しでした。次回からも,まずは「1日1発言」を目標に活発な議論ができたらと思います。(上田)
2020.05.19 | Comments(0) | Trackback(0)
第26回 ゼミ論文報告会
今年度最後のゼミは論文報告会を行いました。村上先生・大脇先生に加え,原田先生・田代先生・森尾先生をお招きし,各人が論文を簡単に報告して先生方からコメントをいただきました。半年間かけて執筆してきたものの集大成ということで,それぞれ力作で,熱のこもった報告となりました。
今年度は,前期は行政情報法について学び,個人情報保護といった近年重要視されている問題について知識を深めることができました。後期は論文執筆ということで,各人が様々な分野についての論文を書いていたので,法律・行政法についての総合的な知識をつけることができたのではないかと思います。新しい法律や制度等についてのものもあり,自分以外のゼミメンバーの報告を聞くことは新鮮で興味深いものでした。
4年生は人数が少ないなか3年生を引っ張ってくださり,知識が豊富でとても頼もしかったです。来年度は新しく入ってくるメンバーを引っ張っていけるよう,先輩方を見習って頑張りたいです。(上田)
2020.01.21 | Comments(0) | Trackback(0)
第25回 ゼミ論文テーマ報告⑫
今回は,ゼミ論文報告会の最終回でした。内容と報告者は以下の通りです。
「公的年金制度」(甲斐),「高齢者個別支援の制度設計―ごみ出し支援に焦点を当てて―」(小田),「PFI事業と賠償責任」(志水)
先生方からは,制度の存在理由に立ち返ったり,政治システムの違う国での制度活用に着目したりするなどの工夫の仕方を教えて頂きました。また,自治体への直接の問い合わせも有力な情報源になる,と経験談を交えてお話して頂きました。
全員が3周目の報告をし,今年度最後のゼミを終えました。年明けの締切日に向けて,今回のアドバイスを参考にしつつ,最後まで書き上げたいと思います。(志水)
2019.12.17 | Comments(0) | Trackback(0)
第24回 ゼミ論文テーマ報告⑪
今回も,引き続きゼミ論文の3周目の報告が行われました。論文内容と報告者は以下の通りです。
「高度プロフェッショナル制度の検討」(守田),「次世代医療基盤法」(鴛海),「図書館における図書等の利用制限措置-プライバシー侵害資料に着目して-」(内村)
先生方からは,タイトルやはじめにで結論や私見を打ち出し論文における自分のスタンスを示したり,問題点や私見に強弱をつけたりすることで読みやすい論文になる,といったアドバイスをしていただきました。また,論文完成を目前に,引用の仕方を再度教えていただきました。
次回で第3回の報告が終わり,いよいよ論文発表会となります。よりよい論文となるよう,ブラッシュアップしていきたいと思います。(上田)
2019.12.10 | Comments(0) | Trackback(0)
第23回 ゼミ論文テーマ報告⑩
先週に引き続いて,ゼミ論文の3周目の報告が行われました。論文内容と報告者は以下の通りです。
「技能実習生の意味」(橋本),「プロ野球と独占禁止法」(長谷川),「コンセッション方式―水道を通して―」(林)
先生方からは,自説とは反対の意見も検討し,その上で賛否を明確に示すことで説得力が増すとアドバイスがありました。また,あくまで論文は「自分の興味関心に応じて掘り下げていくもの」という意識を持って書き進めてよいとのことでした。
今回のゼミには多くの先生方がいらっしゃっており,いつも以上に緊張感のある雰囲気の中で議論することが出来ました。先生方やゼミ生のコメントを参考に,最終発表日に向けて納得のいく論文を書き上げていきたいです。(志水)
2019.12.03 | Comments(0) | Trackback(0)
第22回 ゼミ論文テーマ報告⑨
今回も,引き続きゼミ論文の3周目の報告が行われました。論文内容と報告者は以下の通りです。
「民泊と消防行政」(東島),「航空機発着数増大による騒音問題」(上田),「外国人の生活保護受給権」(坂本)
先生方からは,政府の白書などのデータを使うことで論文に信憑性が出るとお話がありました。また,見出しのつけ方にも工夫が必要だと感じました。
それぞれの論文に工夫が施され,内容が充実していました。論文執筆も大詰めとなりましたが,論文を良いものにするためにさらなる努力をしたいです。(上田)
2019.11.26 | Comments(0) | Trackback(0)
第21回 ゼミ論文テーマ報告⑧
今回も,先週に引き続き3周目の報告となりました。報告者と論文内容は以下の通りです。
「避難行動要支援者名簿制度の活用と課題」(田中),「大規模災害時における復興までの法制的課題―災害法制の限界と自主防災組織―」(前本),「法律論から見る体罰防止に向けた一考察」(藤原)
先生方からは,言いたいことを伝えるために中心テーマに沿った文脈づくりをすること,具体的な課題や問題点に焦点を当てることをアドバイス頂きました。また,スッキリとした論文に仕上げるには,長めに書いてから文量を調節するとよいとのことでした。
それぞれに,図やグラフ,関係者の方へのインタビューなど,論文を充実させる工夫が豊富に盛り込まれてありました。論文を面白くしようという姿勢をぜひ見習いたいと思いました。(志水)
2019.11.19 | Comments(0) | Trackback(0)
第20回 ゼミ論文テーマ報告⑦
今回からは,3周目の報告に入りました。報告者と論文内容は以下の通りです。
「政令指定都市」(諸隈),「メーガン法の諸問題」(渡邉),「住民監査請求と住民訴訟―議決による損害賠償請求権の放棄の是非―」(毛利),「中国環境行政の特徴と諸問題」(佐々木)
先生方からは,ある論点と両輪となる論点も意識することや,現時点で活用されていない制度にも着目してみることをアドバイス頂きました。また,論文を読みやすくするために,内容がすぐにわかるタイトルをつけたり,全体を通しての自分のスタンスを明示するよう工夫したりするとよいとのことでした。
3周目に入り,論文の中心テーマがそれぞれで明らかになってきました。どの議論も興味深いものばかりで,論文集の完成を一層楽しみに思いました。(志水)
2019.11.12 | Comments(0) | Trackback(0)
第19回 ゼミ論文テーマ報告⑥
今回は2周目の最後の報告でした。報告者と論文内容は以下の通りです。
「図書館における図書等の利用制限措置―少年事件報道資料に着目して―」(内村),「医療分野における個人情報の保護と利活用―次世代医療基盤法を中心として―」(鴛海),「PFI事業と訴訟」(志水),「公的年金制度と財政」(甲斐),「高齢者個別支援の制度設計―ごみ出し支援に焦点を当てて―」(小田)
先生方からは,扱う部分の前段階の議論について触れること,論文の立ち位置をマクロにすることで論文がわかりやすく深いものになるというお話がありました。また新しい法や制度については,独自の意見を書くのではなく,仕組みを整理して理解することも大事だとわかりました。
次回からは3周目の報告ということで,完成形に近い論文が求められます。私も気合いを入れて執筆作業に取り組みたいと思います。(上田)
2019.11.05 | Comments(0) | Trackback(0)
第18回 ゼミ論文テーマ報告⑤
今回も,先週に引き続きゼミ論文の2周目の報告となりました。報告者と各論文の内容は以下の通りです。
「働き方改革関連法から検討する労働時間政策の今後」(守田),「大規模災害時における復興までの法制的課題―完全復興への諸問題―」(前本),「コンセッション方式―水道と空港を比較して―」(林),「適正化せざるを得なかった技能実習制度の謎」(橋本),「外国人の生活保護受給権」(坂本),「プロ野球と独占禁止法」(長谷川)
先生方からは,制度等を初めて知った人でも理解しやすいような書き方や,論文の厚みの出し方に関するアドバイスを頂きました。また,なるべく新しい資料を用いるように心がけるとより良い論文になる,とのことでした。
2周目に入ると3章~4章に取り掛かっている人もおり,論文のメインとなる章だからこそ,方向性や構成面で悩んでいる人も見られました。私も同様の悩みがあったので,先生方や他のゼミ生のアドバイスは非常に参考になりました。(志水)
2019.10.29 | Comments(0) | Trackback(0)
第17回 ゼミ論文テーマ報告④
前回に引き続き,今回もゼミ論文の2周目の報告を行いました。報告者と論文内容は以下の通りです。
「法律論から見る体罰撲滅に向けた一考察」(藤原),「民泊と消防行政」(東島),「航空機発着数増大による騒音問題」(上田)
先生方からは,図表の有効的な使い方や文献の探し方などについてアドバイスがありました。また,各章の繋がりやどこに重点を置くのかなどを考えると,よりよい論文ができるとわかりました。
議論が盛り上がり,多くのアドバイスをいただけてとてもいい報告会となりました。今回のように,学年を問わず全員が意見を言い合うことができるといいなと感じました。(上田)
2019.10.22 | Comments(0) | Trackback(0)
第16回 ゼミ論文テーマ報告③
今回の発表者からは,それぞれが2周目の報告となりました。
報告者と各テーマは以下の通りでした。
「政令指定都市」(諸隈),「再犯防止と情報公開―メーガン法をもとに―」(渡邉),「住民監査請求と住民訴訟―議決による損害賠償請求権の放棄の是非―」(毛利),「避難行動要支援者名簿の活用と個人情報保護に関する課題」(田中)
先生方は,問題意識が明確である点やデータの引用があり説得力がある点などを評価されていました。また今後のアドバイスとして,メインとなる章へのつながりや,制度自体に内在する問題をどう解決するかに着目すると,より完成度の高い論文になるそうです。
各テーマについて現状・課題点を詳しく知ることができ,先輩方の構成の組み立て方等も含めてとても勉強になる回でした。(志水)
2019.10.16 | Comments(0) | Trackback(0)