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第15回 ゼミ論文テーマ報告②

今回もゼミ論文の報告会を行いました。各論文の内容は以下の通りです。

「大規模災害時における復興までの課題」(前本),「プロ野球と独占禁止法」(長谷川),「自動運転と保険」(坂本),「ビッグデータの制度設計」(佐古),「技能実習制度」(橋本),「働き方改革」(守田),「医療分野における個人情報の保護と利活用」(鴛海),「PFI法からみる官民協働の展開」(志水),「避難行動要支援者の個人情報保護と活用に関する課題」(田中),「公的年金制度」(甲斐),「図書館の自由」(内村),「高齢者個別支援の制度設計」(小田)

 どのテーマも今の日本を取り巻く重大な問題を扱っており,論文の本稿を読むのが楽しみです。(上田)

第14回 ゼミ論文テーマ報告①

後期初のゼミでしたが,夏季休業中に合宿が行われたこともあり,より打ち解けた雰囲気での報告会となりました。

各論文の内容としては,以下のようなものでした。
「政令指定都市」(諸隈),「住民監査請求と住民訴訟―議決による損害賠償請求権の破棄の是非―」(毛利),「中国環境行政の特徴と諸問題」(佐々木),「再犯防止と情報公開―メーガン法をもとに―」(渡邉),「学校教育現場における体罰と法」(藤原),「民泊と消防行政」(東島),「空港発着数増大による問題」(上田),「コンセッション方式―水道と空港を比較して―」(林)

第1回目の報告のため,今回は簡単な方向性の確認をメインとし,それぞれがゼミ生や先生方からアドバイスを頂く形となりました。(志水)

第13回 忘れられる権利

今回は「忘れられる権利」をテーマに,グーグル検索結果削除請求事件について扱いました。本件は,削除請求者であるXが過去に犯した児童売春・ポルノ禁止法違反の逮捕歴を表示した記事が,グーグル検索でXの氏名や住所,件名を検索したところ表示されたため,「更生を妨げられない利益」が違法に侵害されているとして,検索結果として表示されるURL等の情報の削除をグーグルインクに対し請求したものでした。本報告では,EUやアメリカにおける議論を紹介したり,検索エンジンの特性による検討を行ったりと,様々な角度から検討がなされました。

報告後,田代先生から今回の問題点や本判決では拾えない権利について,大脇先生から本判決自体から読み取れることは何なのかについて,村上先生から憲法上のプライバシー権・民法上の差止請求に関わる人格権・立法上の問題(新しい権利を創設)という風に議論のレベルで切り分けて論じることの重要性についてお話がありました。

今学期最後の報告ということで,報告のレベルが高く,議論が盛り上がり良かったです。次回からゼミ論文の執筆に取りかかりますが,今回のように多角的に検討できると良い論論文になるのではないかと感じました。(上田)

第12回 住基ネットとマイナンバー制度

今回は住基ネットとマイナンバー制度をテーマに,それぞれの概要説明や問題点が検討されました。住基ネットはマイナンバー制度の土台となったということでしたが,これらはともに,制度成立時,「行政の情報処理の効率化」と「個人情報保護上の安全性」との対立が争われたものです。報告では,マイナンバー制度への賛否や,住基ネット訴訟の論点をマイナンバー訴訟にも応用可能か,といった議論が盛り上がりました。

報告後,大脇先生からは,マイナンバー制度における潜在的な情報漏洩の恐怖感と現実にそれが生じうる可能性について,村上先生からは,アメリカの社会保障番号の例から,それと同様の汎用性の高さにマイナンバーが到達する可能性とその是非についてのお話がありました。

今回は,報告者が「議論を活発にしたい」との目的をもって私見を書かれたこともあって,いつも以上に白熱した議論となりました。次回は前期最後のゼミなので,集中して取り組みたいと思います。                         (志水)

第11回 本人情報の訂正請求

今回は本人情報の訂正請求をテーマに,京都レセプト訂正請求事件が取り上げられました。本件は,原告が受けた歯科治療報酬明細書(レセプト)に事実に関し誤りがあるとして,京都市長に対しその訂正請求を求めたところ,市に訂正権限がないこと,市長に調査権限がないことを理由に訂正を拒否したため,その取消しを求めたものでした。報告では,レセプトという文書の性格や訂正権限が誰にあるのか,訂正基準の判断等が争点となりました。

報告後,大脇先生からは本件のような請求が行われることの社会的背景について,村上先生からは本件を審議するにあたり論点とすべきであった点についてお話がありました。

今回も難しい内容でしたが,よくまとまっているという印象を受け,議論も活発に行われ良かったです。報告も残すところあと2回となりましたが,今回のようにしっかりと議論できるような報告をしていきたいと思います。 (上田)

第10回 本人情報の開示請求

今回は本人情報の開示請求をテーマに,東京都大田区で起こった指導要録の開示請求が取り上げられました。本件は,中学に在学するXが,小学校在学時の指導要録の開示を請求したところ,教育委員会委員長Yから当該情報は同区の公文書開示条例の非開示情報に該当するとして全面非開示の決定を受けたため,その取消しを求めたものでした。報告では,指導要録を開示することによる支障を主張する信頼関係喪失論や,利益を主張する信頼関係構築論の対立など,当該情報が教育にまつわるからこそ生じる争点が話し合われました。

報告後,田代先生からは私見の書き方の型について,大脇先生からは指導要録が持つ機能の多面性についてお話していただきました。また村上先生は,教師への信頼性の低下を背景にすでに指導要録は形骸化しているのではないかと仰っており,報告者として興味深く思いました。

今回は報告する側でしたが,なかなか新しい文献が見つからずレジュメ作成には苦労しました。教育情報にしぼった内容となりましたが,その分深く掘り下げることができました。(志水)

第9回 特定秘密情報保護法

今回は,特定秘密情報保護法をテーマに,その問題点や是非について検討しました。前回までとは違い,判例評釈ではなく法律の検討ということで,概要や制定の経緯,諸外国の秘密保護法についてなど,様々な視点が盛り込まれたものとなりました。参考文献・条文も多く,盛りだくさんでした。

報告後は,大脇先生から法制定の目的について,村上先生から政治情勢や野党の与党を批判する動きについてお話ししていただきました。

報告も2周目ということで,レベルがどんどん上がっているという印象を持ちました。次回以降も楽しみです。(上田)

第8回 情報公開訴訟

今回は情報公開訴訟をテーマに,インカメラ審理検証申立事件が取り上げられました。本件は,Xが外務省保有の行政文書の開示を請求したところ,外務大臣から当該文書の一部に関して不開示決定を受けたため,Y(国)を被告として不開示決定の取消を求めたものでした。また,Xが原審において本件不開示文書の検証と,それに伴う自らの立会権の放棄を申し出たことに関しては,実質的にインカメラ審理を意図したものとしてこれが認容されるかが争われました。

報告では,インカメラ審理導入と併せて必要性が主張されるヴォーン・インデックス手続や,民主党の平成17年度情報公開法改正案など様々な角度からのトピックスが挙げられ,インカメラ審理の目的や課題点が議論されました。

報告後,大脇先生からはインカメラ審理の体験談などについて,村上先生からは民主党政権時の情報公開法改正案に関する問題点などについてお話していただきました。

今回のインカメラ審理は,肯定説と否定説のどちらにも説得力があり,議論しがいのあるテーマでした。次回からも学説の違いなどを楽しんでいきたいです。(志水)

第7回 存否応答拒否・権利濫用

今回は,横浜市国庫補助金事件・関東運輸局教習車申請事件をもとに報告が行われました。これらの事件は,条例に基づき文書の公開請求をしたところ,文書不特定・不存在を理由に却下・不開示決定がなされたため,その取消しを求めたものです。大量の文書の公開を対象とするこのような開示請求は,自治体に過度な負担を与えることから制度の見直しがされているという現状があるため,権利濫用について検討しました。

村上先生からは,この問題の深刻さについて行政側の視点からお話があり,制度の理想と現実の乖離を感じました。

今回も3年生だけでの報告ということで苦労も多かったと思いますが,論点をしっかりおさえよくまとめていて,とても参考になりました。次回からは2周目ということで,前回より更に完成度・議論の白熱が求められますが,頑張っていきたいです。(上田)

第6回 部分公開

今回は部分公開をテーマに,大阪府知事交際費事件が取り上げられました。本件は,大阪府の住民Xらが大阪府知事Yに対し,Yの交際費についての公文書公開を請求したところ,一部文書の非公開決定を受けたためその取消を求めたものでした。報告を受け,交際とは何かという点や,情報の個別の内容によりどう公開・非公開の線引きをするか,といった独立一体情報論の有用性等が議論となりました。

報告後,田代先生からは本判決が独立一体情報論をとるべきと主張する狙いについて,大脇先生からは黒塗りばかりの開示決定を行う行政側の心情に関して,村上先生からは情報の単位を客観的に統一できるとした点などの,本判決における疑問点に関してお話がありました。

今回は3年生のみの報告でしたが,文献の数や論点が網羅的であったことなどが高く評価されていました。私も同じ3年生として大いに刺激を受けられました。(志水)

第5回 審議検討情報・意思形成過程情報

今回は「審議検討情報・意思形成過程情報」をテーマに,鴨川ダムサイト・安威川ダムサイト訴訟が取り上げられました。これらの訴訟ではダムサイト候補地点選定位置図やダムサイト調査資料が公開請求されましたが,それぞれの訴訟において公開・非公開の判断が違ったため,審議検討情報について,非公開事由とされることの妥当性や判断基準等が検討されました。

報告後は,大脇先生から計画を早い段階で公開し議論することのメリットを,現在行われている核廃棄物処理場の話を例に説明していただきました。また,村上先生からは情報公開法5条の条文にある「3つのおそれ」についてお話がありました。

今回はレジュメの形式が完璧で,内容も漏れのないものだったので,議論が活発に行われ良かったです。次回の報告は3年だけで行いますが,今回の報告をお手本に頑張りたいと思います。(上田)

第4回 国家安全情報・事務事業情報

今回は,「国家安全情報・事務事業情報」をテーマに,内閣官房報償費情報公開訴訟が取り上げられました。本件は,原告が国に対して,内閣官房報償費の支出に関する行政文書のうち,支払決定書等の文書に記載された情報が情報公開法所定の不開示情報に当たるとして受けた不開示決定の取消し及び開示決定の義務付けを求めた事案でした。同時期に本件と係属していた報償費を巡る情報公開訴訟の存在もあり,各訴訟において微妙に異なる開示・不開示の判断枠組みをどう定めるかが問題とされました。また関連して,部分開示の範囲に関する議論の一つである独立一体情報論にも触れました。

報告後は,大脇先生から裁判所が不開示決定を下す目的,すなわち情報提供者の保護について,村上先生から不開示情報そのものを示さずに不開示の主張をする方法として「推認」について説明して頂きました。

初めて報告者を担当して,レジュメの作成から当日の準備に至るまで力不足な点を多々感じました。毎回の授業でもっと力をつけていきたいと思います。 (志水)

第3回 大阪市食糧費事件と情報公開

今年度の広報委員となりました3年の上田です。1年間よろしくお願いします。

今回の報告は,「大阪市食糧費事件と情報公開」がテーマでした。
当事件は原告らが大阪市公文書条例に基づき,大阪市財務局財務部財務課に対して食糧費の支出関係文書の公開を請求したところ,条例で定める不開示条項に該当するとして全部非公開とする決定が下されたため,その取り消しを求めたというものでした。この条例は情報公開法制定以前に制定された個人識別情報型であり,公務員や民間の法人等の従業員の職務の遂行に関する情報について明文の規定を置いていなかったため,請求された文書を開示できるか否かが問題となり,また射程を考える上でのポイントとなりました。

報告後は,大脇先生から個人識別情報型の条例等の問題,またオンブズマンを使い行政の悪事を暴こうとした運動について,村上先生から現在の公務員の情報の取り扱いについて説明がありました。

今回の報告は,4年生のご指導を受けながら3年生3人だけで行われたものでしたが,先生方からは完成度の高さについて絶賛されており,私も頑張らなければと強く思いました。(上田)

第2回 情報公開と個人情報保護の関係

今年度のゼミ広報委員となりました,三年の志水です。これからよろしくお願いします。

今回は初回の報告で,「情報公開と個人情報保護の関係」をテーマに兵庫県レセプト公開請求事件が取り上げられました。
当事件は,医療過誤で子を亡くしたと主張する夫妻が,公文書の公開等に関する条例に基づいて分娩に関する診療報酬明細書(レセプト)の公開を共同請求したところ,本文書記載の情報は先の条例に定められた非公開情報に該当するとして非公開決定を受けたため,その取消を訴えたものでした。特に,本判決は情報公開条例制定後,個人情報保護条例制定前という過渡期にあったことが射程を考える上でのポイントとなりました。
報告後は,田代先生からレジュメで抑えるべき型や基礎的な知識について,大脇先生からはスキル獲得と頭を柔軟にして聞く姿勢の両立について,村上先生からは授業では味わえない部分を学ぶ意義についてお話して頂きました。

初めてのゼミということでレジュメを理解しようとするので精一杯でしたが,これからは「一日一発言」を実行していきたいと思います。
またゼミ終了後には,今年度のメンバーで初めてのコンパが開催されました。先生方,ゼミ生の方ともに初めてお話する方も多く,とても楽しい会になりました!(志水)

第4回 法人等情報

第4回の報告である今回は、「法人等情報」というテーマをもとに、沖縄「密約」訴訟と立証責任を主題として行われました。

日米間の密約に関する文書の開示請求に対し文書不存在を理由とする不開示がなされたことを発端として起きた訴訟で、開示請求の対象となる文書の物理的不存在の場合による立証責任の所在についての判断枠組みを示した判例である。報告は、まず民事訴訟における立証責任の立場を、法律要件分類説等の学説を確認しながら確認し、行政事件訴訟法の解釈に即して民事訴訟法における立証責任分配の原則を修正することを行いました。このことから、本判決は行政文書の保有という事実が開示請求という権利の発生要件であるとする点で、「法律要件分類説」、開示請求権が法によってはじめて成立し、不開示決定は憲法上の自由を制約するものではないということから、「権利制限・拡張区分説」の2つに立脚したものであると認定しました。報告班は、私見として、情報開示請求権が憲法上の「知る権利」に属することは言うまでもないから、本件のような不開示決定の事案においては、公開の要件等に関する法令の規定の解釈適用に際して、憲法の趣旨を踏まえて不開示決定の違法性の判断をするべきとしました。
ゼミの終了間際には、TAの田代さんから立証責任について“わかりやすい”解説がなされ、もやもやしていたところがはっきりした気がします。

来週は審議検討情報・事務事業情報についての報告です。一人一発言を心がけてがんばりましょう!(深川)

第3回 個人情報・法人等情報

今年度村上ゼミ広報委員となりました,新4年の戸島です。よろしくお願い致します。

今回は,村上ゼミ第3回の報告となりました。今回の報告は,大阪市食糧費事件を題材に,「個人情報・法人等情報」という内容で行われました。

この事件は情報公開法が制定される以前に大阪市公文書公開条例に基づいてなされた食糧費の支出に関する請求書等の提出について,該当文書が個人の識別が可能な情報であるとして非公開としたものです。報告は,情報公開条例における個人情報に関する不開示事由について,「個人識別情報型」と「プライバシー情報型」の2つの類型があり,さらに個人識別型の解釈方法として「限定説」と「文言説」を挙げつつ,原審と最高裁の考え方の違いが説明されました。報告班としては,個人情報の公開非公開という点で,どのような情報が個人情報に当たるのかということをより明確に示した最高裁判決を支持するとのことでした。

今回の報告においては,最高裁判決の妥当性や,公務員というだけで情報を非公開とすることの妥当性に関する議論が中心となりました。

また,村上先生からは情報公開法6条1項2項の部分開示について解説して頂きました。部分開示については解釈が難しいようなので,部分開示に関する報告は第六回とまだ先ではありますが,楽しみにしておきたいと思います。

今回は3年生が報告者側として,また,質問者として,積極的に発言できていたと思います。四年生は就活,公務員試験等で忙しいとは思いますが,三年生に負けないよう頑張りましょう!!(戸島)

第2回 情報公開と個人情報保護の関連性

今年度村上ゼミ広報委員となりました,新三年の深川です。よろしくお願い致します。

今回は,今年度村上ゼミが始まって初回の報告でした。今回の報告は,兵庫県レセプト請求事件の判例を題材に「情報公開と個人情報保護の関連性」という内容で行われました。

本判例は兵庫県の住民である夫妻が兵庫県知事に対して分娩に関する診療報酬明細書の公開を請求したところ,本件文書に記載されている情報が兵庫県公文書の公開等に関する条例の非公開事由に当たると判断され,兵庫県知事は非公開処分を取ったというものです。

この判例は個人情報保護条例が制定される以前のものであったということで,今回の報告班は,情報公開制度と個人情報保護制度についてその目的を確認し,それぞれ異なる目的を持ちつつもそれらは表裏一体の関係にあるという事を示しました。
個人情報保護制度がない場合の本人開示請求の取り扱いについて報告班は折衷説を採用し,最高裁に沿った考えを取りましたが,ゼミ終了後の先生からのお話もあったように,他説の検討の必要性も感じられました。

また,今回は初回という事で,レジュメを執筆するさいの細かな注意点や判例評釈の書き方などの解説もなされました。私は来週の報告になりますので,今回注意された点を踏まえて取り組んでいきたいと思います。

個人的な感想ですが,やはり初回はなかなか発言できず,先輩方中心の討論になってしまっていたので,次回からはなんとか議論にもっと参加していきたいと感じました(深川)。

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