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第8回 水道水源保護条例訴訟

ある町が、産廃施設の建設を阻止しようと制定した条例にもとづく認定(事実上の設置不許可処分)をめぐる判例でした。憲法31条にもとづく適正手続の要請に関連して、事前の経過措置を設ける「配慮義務」の存否が争われ、行政庁に配慮義務のあることを認めた判決となりました。この点につき、「立法者の配慮義務」とするジュリスト1289号(2005年)211-213頁の杉原則彦調査官の解説は誤りと思われます。 もっとも、判例は配慮義務について述べたものの、この事件では本件条例が当該産廃施設排除目的で制定されており、条文の質などからそれが明らかなため、行政庁の、民法上の信義則違反ともなりうる態度を暗に指摘しているようです。 本件条例により、事業者は設置許可申請をする、すなわち行政庁と民法上でいえば契約締結段階に入る以前に、町に協議書を提出するという手続を踏む必要がありました。そのため、町(の審議会)が協議書を検討後、実質的な不許可処分となる認定が下され、町と何らかの法的関係を持つ前に設置を拒まれたことになります。したがって、無関係の者の間で信義則を用いることは出来ませんが、本来法的関係に入っていたはずの状況を考慮して、最高裁は結論を出したのではないかということでした(大橋先生)。 判例が本当は何を言いたかったのか、ということを読み取ることを難しさを再三思い知らされています。 そのほか、判決の射程については、国立マンションや山形県個室付浴場事件などの判例を分析した説明がありました。 最後に原田先生が、今後司会は全員の発言促進のため学生にすると宣言され、次回の司会者は松永君が拝命しました。頑張ってください。

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